利害りがい)” の例文
利害りがい打算ださんからへば無論むろんことたん隣人りんじん交際かうさいとか情誼じやうぎとかてんからても、夫婦ふうふはこれよりも前進ぜんしんする勇氣ゆうきたなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
各藩相互に自家の利害りがい栄辱えいじょくを重んじ一毫いちごうも他にゆずらずして、その競争のきょくは他を損じても自から利せんとしたるがごとき事実を見てもこれを証すべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
季節きせつむねしくつひやすことが一にちでも非常ひじやう損失そんしつであるといふ見易みやす利害りがい打算ださんからかれ到頭たうとうまかされてまた所懸命しよけんめい勞働らうどう從事じうじした。かれはもう卯平うへい一言ひとことくちかなくなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(九四)曠日くわうじつ彌久びきうして(九五)周澤しうたくすであつきをば、ふかはかるもうたがはれず、交〻こもごもあらそふもつみせられず、すなはあきらか利害りがいはかりてもつ其功そのこういたし、ただちに是非ぜひしてもつ(九六)其身そのみかざる。
小六ころく幾分いくぶん安之助やすのすけ利害りがい代表だいへうしてゐるやう口振くちぶりであつた。それから三にんあひだに、しばらく談話だんわ交換かうくわんされたが、仕舞しまひ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
栄誉えいよ利害りがいを異にすれば、またしたがって同情相憐あいあわれむのねんたがい厚薄こうはくなきを得ず。たとえば、上等の士族が偶然会話の語次ごじにも、以下の者共には言われぬことなれどもこのこと云々しかじか、ということあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それと利害りがいともにすべく滿洲まんしうから一所いつしよ安井やすゐが、如何いかなる程度ていど人物じんぶつになつたかを、あたまなかゑがいてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これを企望きぼうすることせつなれども、誰にむかってその利害りがいを説くべきみちを知らず。故に今この冊子をしるして、さいわいに華族その他有志者の目にれ、ために或は学校設立の念を起すことあらば幸甚こうじんというべきのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)