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刃傷
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にんじょう
ふりがな文庫
“
刃傷
(
にんじょう
)” の例文
いずれ遺恨あっての
刃傷
(
にんじょう
)
に相違なく、遺恨としたらどういう方面の人物から恨みを買っているか、その間のいきさつを調べました。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
刃傷
(
にんじょう
)
事件に座して、親族立ち会いの上で詰め腹を切らされた十九歳の少年の祖母になる人が、愁傷の余りに失心しようとした。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
是が男女の情を通わす方式になったのも自然であって、そのためにこそしばしば
刃傷
(
にんじょう
)
にも及ぶような、若い人々の盃論が起こったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ある学生とその恋人だったさる芸者との間に起った
刃傷
(
にんじょう
)
事件から、どこの待合の玄関の壁にも学生諸君お断りの制札のはり出されてあったことを。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
「私が乱心してやったことです」と甲斐は
喘
(
あえ
)
ぎながら云った、「酒井家の方がたではない、私が乱心のうえの
刃傷
(
にんじょう
)
です」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
御徒目付はまた、それを
蘇鉄
(
そてつ
)
の
間
(
ま
)
へつれて行って、大目付始め御目付衆立ち合いの上で、
刃傷
(
にんじょう
)
の
仔細
(
しさい
)
を問い
質
(
ただ
)
した。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あれが、近江の胸底にある喬之助への嫉妬を掻き立てて、ああ執拗に喬之助を
玩弄
(
がんろう
)
しつづけ、ついに大事……あの
刃傷
(
にんじょう
)
とこの騒動を捲き起すに到ったのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
広い館、広い庭、まさしく
刃傷
(
にんじょう
)
があったらしいが、感付いたものがないとみえ、ただその後はシーンと静か!
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
刃傷
(
にんじょう
)
でもすれば喧嘩両成敗、氏郷も政宗も
取潰
(
とりつぶ
)
されて終うし、自分も大きな
越度
(
おちど
)
である。二桃三士を殺すの
計
(
はかりごと
)
とも異なるが、一席の会合が三人の身の上である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
後ろから
羽交締
(
はがいじ
)
めに抱き止める者、腕を捻じとる者、足を持つ者、さながらに
刃傷
(
にんじょう
)
でもあるような
喧噪
(
けんそう
)
を起して、ドドドッと後ろの方へ一、二間も
退
(
ひ
)
き戻した。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
花井お梅の
刃傷
(
にんじょう
)
の評判が高かったので「花井お梅、花井お梅」と、はやしたてられていた。
旧聞日本橋:14 西洋の唐茄子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
三味線堀の
刃傷
(
にんじょう
)
まではたった
一刻
(
いっとき
)
そこそこですから、その敵討の話を小耳に挟んだ人間が、敵討らしく
誤魔化
(
ごまか
)
すために、この微妙な機会を利用したに違いないと思っているのです。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は旧主の鈴木源太夫が朋輩の幸田
某
(
なにがし
)
を打ち果した前後の様子を、古い二十年近い昔の記憶から探り出していた。が、旧主の源太夫の
刃傷
(
にんじょう
)
には、少しも武士らしいところはなかった。
仇討三態
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お
膝元
(
ひざもと
)
を騒がしたら、戸田のお家はどうなると思う? 去年
内匠頭様
(
たくみのかみさま
)
刃傷
(
にんじょう
)
の際にも、大垣の
宗家
(
そうけ
)
を始め、わが君侯にも連座のお
咎
(
とが
)
めとして、
蟄居
(
ちっきょ
)
閉門
(
へいもん
)
をおおせつけられたではないか。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
くやしさの余り
刃傷
(
にんじょう
)
に及んだと言い、それがしの人魚の話もいよいようろんの事になって、御貴殿にも御迷惑をおかけする結果に相成りますから、どうせもう、すたりものになったこの身
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
入ってみると、出しものは忠臣蔵で、
刃傷
(
にんじょう
)
の場が開いていたが、目の多いなかで二人きりでいるのが、庸三には
眩
(
まぶ
)
しかった。それに彼は第三者のいることが、いつでも望ましいのであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし
八沢
(
やさわ
)
の長坂の
路傍
(
みちばた
)
にあたるところで口論の末から
土佐
(
とさ
)
の
家中
(
かちゅう
)
の一人を殺害し、その仲裁にはいった一人の親指を切り落とし、この街道で
刃傷
(
にんじょう
)
の手本を示したのも
小池
(
こいけ
)
伊勢
(
いせ
)
の家中であった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
宮迫
(
みやば
)
村出生の清水一学、岡山出生の鳥居理右衛門、乙川出生の斎藤清左衛門等を、松の間
刃傷
(
にんじょう
)
後、上杉家より護衛のため附け人として来たるというがごときその一例にして真に
嗤
(
わら
)
うに堪えぬ、云々
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
嫁が姑を
刃傷
(
にんじょう
)
したということは
稀有
(
けう
)
な事件である。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「何がって、そら、播州浅野の
刃傷
(
にんじょう
)
があったろう」
寺坂吉右衛門の逃亡
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
この庭先で
刃傷
(
にんじょう
)
に及び、かくのごとく双方ともに相討ちとなって落命いたしたようじゃが、それにしても不審は、両名が何をもとに争ったかじゃ。
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
この平太夫はいつぞや
清水
(
きよみず
)
の阪の下で、
辻冠者
(
つじかんじゃ
)
ばらと
刃傷
(
にんじょう
)
を致しました時、すんでに命も取られる所を、あなた様の御かげによって、落ち延びる事が出来ました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元日早々から、いまだに江戸全体は引っくり返るような
騒動
(
そうどう
)
をしていた。何しろ、殿中の
刃傷
(
にんじょう
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「——
刃傷
(
にんじょう
)
の罪は除村久良馬ただ一人、彼に詰腹を切らせれば相済むことでございます、おそれながら一人のために大事を起こすようなことは
思召
(
おぼしめ
)
し違いかと存じます」
初夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
殿中の各お役部屋は、十四年三月十四日の
刃傷
(
にんじょう
)
事件の当日を忍ばせるような空気であった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
片岡千恵蔵
(
かたおかちえぞう
)
氏もよほど苦心はしたようであるが、どうも成効とは思われない。あの前編前半のクライマックスを成す
刃傷
(
にんじょう
)
の心理的経過をもう少し研究してほしいという気がする。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かどわかし、
賭博
(
とばく
)
、喧嘩、
刃傷
(
にんじょう
)
、すり、泥棒というようなことが、昼夜となく行なわれ、しかも法網をくぐっている。
悪漢
(
わる
)
には
悪漢
(
わる
)
の道徳があり、互いに隠し合いかばい合うからだ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、先方が乱暴で、
刃傷
(
にんじょう
)
といった
乱手
(
らんて
)
をやるために、たちまち俺の方が欲深のように世間でとられてしまった。あいつはわしを斬り損じたが、精神的にわしは十分斬られているのだ。
吉良上野の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
去年三月主君
浅野内匠頭
(
あさのたくみのかみ
)
、
殿中
(
でんちゅう
)
にて
高家
(
こうけ
)
の筆頭
吉良上野介
(
きらこうずけのすけ
)
を
刃傷
(
にんじょう
)
に及ばれ、即日芝の田村邸において御切腹、同時に鉄砲洲の邸はお
召
(
め
)
し
上
(
あ
)
げとなるまで、毛利小平太は二十石五人
扶持
(
ぶち
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
して
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ところが、伴をしていた黒木閑斎が、不意の大変に
狼狽
(
ろうばい
)
して、大広間の方へ逃げて行ったなり、これもどこかへ隠れてしまったので、誰もこの
刃傷
(
にんじょう
)
を知るものがない。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「じゃあ、この春殿中で、浅野様が吉良上野介を
刃傷
(
にんじょう
)
したときのような騒ぎかえ」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どうやら訳のあるらしい一座の様子でござりますな」ちょっと真面目の顔をして、「しかしここは拙者の館。恩讐ある者の集まりにもせよ、今宵ばかりは闘争
刃傷
(
にんじょう
)
一切無用に致されよ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
松室の家は長左衛門の代で、中老の席から番がしら格にさげられ、更にその子の伊太夫の代で
平徒士
(
ひらかち
)
におちた。長左衛門は
癇癖
(
かんぺき
)
が
祟
(
たた
)
って
刃傷
(
にんじょう
)
したためであるし、伊太夫は深酒で身を誤った。
柘榴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「最初の贈り
額
(
だか
)
がたりませんでな。手前の主人も、さんざ吉良様にいじめ抜かれ、すんでのことで
刃傷
(
にんじょう
)
におよぶところ、手前が、遅ればせに、例の天瓜冬の届け直しをやって、はははは——。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
遺恨あっての
刃傷
(
にんじょう
)
か、あやまっての刃傷か、いずれにしても問題となるのは槍を使った清正にありましたから、そこに居合わした六、七人の同役たちが血相変えて、舞台裏に飛んではいりました。
右門捕物帖:01 南蛮幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
修理
(
しゅり
)
の
刃傷
(
にんじょう
)
は、恐らく過失であろう。細川家の
九曜
(
くよう
)
の星と、板倉家の九曜の巴と衣類の
紋所
(
もんどころ
)
が似ているために、修理は、佐渡守を
刺
(
さ
)
そうとして、誤って越中守を害したのである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
きょう五回目の白洲は、越前守から、むかし、かれの父大岡五郎左衛門
忠英
(
ただひで
)
が、幕府
番頭
(
ばんがしら
)
の
高力
(
こうりき
)
伊予守を、その私邸で
刃傷
(
にんじょう
)
した事情について、大亀の記憶している限りの証言を求めた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「兄者は、吉良に怒らせられて、きっと殿中で刀を抜く。
刃傷
(
にんじょう
)
——。」
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
べっして大切なるお役目ちゅう、私の争いによって
刃傷
(
にんじょう
)
に及びたる始末、重罪をも申付くべきところ、即座に自裁して
責
(
せめ
)
を負いたる仕方しんみょうに思召され、よって
食禄
(
しょくろく
)
召上げ遺族には領内追放を
日本婦道記:箭竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はい。立花城とよぶ彼方の山こそ、彼が
故郷
(
ふるさと
)
にございまする。……が、その貞載は、箱根合戦からいくばくもない後、都において、
結城
(
ゆうき
)
親光の
刃傷
(
にんじょう
)
に会い、あえなき落命をとげました」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
刃傷
(
にんじょう
)
だった。吉良は、それを、一瞬にこころに描いた。
元禄十三年
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『ただ今、浅野内匠頭様が、高家筆頭の吉良どのを、
刃傷
(
にんじょう
)
なされました』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
刃傷
(
にんじょう
)
だっ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“刃傷”の意味
《名詞》
刃 傷(にんじょう、じんじょう)
刃物で人を傷つけること。
(出典:Wiktionary)
刃
常用漢字
中学
部首:⼑
3画
傷
常用漢字
小6
部首:⼈
13画
“刃傷”で始まる語句
刃傷沙汰
刃傷場
刃傷編
刃傷事件
刃傷以来
刃傷禁断