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冥福
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めいふく
ふりがな文庫
“
冥福
(
めいふく
)” の例文
俗世の人が涙で亡き人を送ろうとも、われわれ
沙門
(
しゃもん
)
は神に召された法師を喜んでやればよいのじゃ。喜んでその
冥福
(
めいふく
)
を祈ればよいのじゃ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
私は、私から
大切
(
だいじ
)
な恋人を奪った奴を憎んだ。初代の
冥福
(
めいふく
)
の為にというよりは、私自身の為に恨んだ。腹の底から、そいつの存在を呪った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
東大寺の大仏
開眼
(
かいげん
)
の日からかぞえると七年目、
天平
(
てんぴょう
)
もすでに末期の宝字三年、
鑑真
(
がんじん
)
が
聖武
(
しょうむ
)
天皇の御
冥福
(
めいふく
)
を祈りつつ草創した寺と伝えられる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
MR
(
ミスタ
)
・タチバナ! 私共の太子殿下は……太子殿下は……お果てになりました。もう万事おしまいです! さあどうぞ! 殿下のために
冥福
(
めいふく
)
を
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
美奈子は、花を供えた後も、じっと蹲まったまゝ、心の中で父母の
冥福
(
めいふく
)
を祈っていた。微風が、そよ/\と、向うの杉垣の間から吹いて来た。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
冥福
(
めいふく
)
を祈らせるか、現福を願わせるようにのみ導いて、宗教がかえって迷信を増長さする手伝いをするありさまである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
羅漢寺
建立
(
こんりゅう
)
当時から、多くの信仰者が、親の
冥福
(
めいふく
)
を祈るためとか、愛児の死の
追善
(
ついぜん
)
のためとか、いろいろ仏匠をもっての関係から寄進したものであって
幕末維新懐古談:32 本所五ツ目の羅漢寺のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それを土に埋めて、中に水を入れ、上の白い花の枝を手折って
挿
(
さ
)
して、うずくまって、神に死児の
冥福
(
めいふく
)
を祈った。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「有難うございます。路用まで澤山頂戴して——もう決して二度と江戸へ出ることぢやございません、巳之松さんの
冥福
(
めいふく
)
をお所りして生涯相良で暮します」
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは
關東大地震
(
かんとうだいぢしん
)
の
際
(
さい
)
、
其處
(
そこ
)
に
生埋
(
いきうづ
)
めにされた
五十二名
(
ごじゆうにめい
)
の
不幸
(
ふこう
)
な
人
(
ひと
)
の
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
るために
建
(
た
)
てられたものである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
人々は心を遠く都へ送って、幾月かを、裏方のために——また、亡き月輪禅閤のために、
冥福
(
めいふく
)
を祈って送った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それもそうだな。じゃあ、仕方がない。ここから君たちの
冥福
(
めいふく
)
を祈っているよ。
南無阿弥陀仏
(
なむあみだぶつ
)
!」
今昔ばなし抱合兵団:――金博士シリーズ・4――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
清明の日には祖先の墓へ行って祖先の
冥福
(
めいふく
)
を祈るのが土地の習慣であるし、両親の無い許宣が寺へ往くことはもっとものことであるから、李将仕は機嫌好く承知した。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
(現世に利益、未来に
冥福
(
めいふく
)
あれ、)と手にした数珠を
揉
(
も
)
んで、別れて帰るその後影を拝んだという……宗匠と、
行脚
(
あんぎゃ
)
の坊さんと、
容子
(
ようす
)
がそっくりだった事も分りますし
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静かに私自身の手で
冥福
(
めいふく
)
をお祈りしようと予定しているのですが、これも中途
半端
(
はんぱ
)
な心でしょうね
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかるに
困
(
こま
)
ったことにこの
娘
(
こ
)
の
両親
(
りょうしん
)
は、きつい
仏教
(
ぶっきょう
)
信者
(
しんじゃ
)
であった
為
(
た
)
め、わが
児
(
こ
)
が
早
(
はや
)
く
極楽浄土
(
ごくらくじょうど
)
に
行
(
ゆ
)
けるようにと、
朝
(
あさ
)
に
晩
(
ばん
)
にお
経
(
きょう
)
を
上
(
あ
)
げてしきりに
冥福
(
めいふく
)
を
祈
(
いの
)
って
居
(
い
)
るのじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私は、そう分るとぞっと寒気だち、あのゴリラがいなければ死んだかもしれぬと思うと、いま頭に手を置いてのそりのそりと歩いてゆく、墓場への旅人に
冥福
(
めいふく
)
の十字をきったのである。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一つには、この杉に願いをかければ、いったん夫婦の
契
(
ちぎ
)
りを結んで一方の欠けた人々には、この上なき
冥福
(
めいふく
)
があるという——かの門杉は縁を結ぶの杉で、この二本杉は縁の切れた杉である。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
先妻やその子供達の写真が飾ってあるのを見せられて好い気持がする
筈
(
はず
)
はないではないか、今は独身でいるのだから、
密
(
ひそ
)
かにそう云うものを飾ってその人達の
冥福
(
めいふく
)
を祈る心情は分らなくはないが
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
名前ですか? 名前は、——さあ、それは明かして
好
(
い
)
いかどうか、わたしにも判断はつきません。ある男の魂のために、——あるいは「ぽうろ」と云う日本人のために、
冥福
(
めいふく
)
を祈ってやりたいのです。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
泥竜館の違った部屋では、うすらわらいを浮べた死骸を取り囲んで、
冥福
(
めいふく
)
をいのり残された身の不幸を悲しんでいる人達が何人かいるのである。私は盃を取り上げた。うっすりとほこりを浮べている。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
僕は、あの恩人たちの、
冥福
(
めいふく
)
を祈りたいと思うんだよ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
かれは老婆の
冥福
(
めいふく
)
を祈つて長い間読経した。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
謹んで兄の
冥福
(
めいふく
)
を祈りましょう。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
女帝の貴き
冥福
(
めいふく
)
のために。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
どうしてそなたは子供の
冥福
(
めいふく
)
に傷をつけるのじゃ? その子供は生きておるのじゃよ。おお生きておるとも、魂は永久に生きるものじゃもの。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
高野山に
青巌寺
(
せいがんじ
)
を建て、諸国に供養所を興して、亡母の
冥福
(
めいふく
)
を
祷
(
いの
)
っても、秀吉の心は、なお
癒
(
い
)
えなかった。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いま中宮寺
思惟
(
しゆい
)
像の傍に断片のまま残っている天寿国曼荼羅は、太子の御
冥福
(
めいふく
)
を祈って、妃のひとりである
多至波奈大郎女
(
たちばなのおおいらつめ
)
が侍臣や
采女
(
うねめ
)
とともに
刺繍
(
ししゅう
)
された繍帳銘である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
しかして、神や仏に祈願するのは、
冥福
(
めいふく
)
を祈るのではなく、現福を願う目的にほかならぬ。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「キンメル提督? ああ神よ、彼の上に
冥福
(
めいふく
)
あれ。おい、ヤーネル提督、
砲撃方
(
ほうげきかた
)
始め」
不沈軍艦の見本:――金博士シリーズ・10――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
凝乎
(
じっ
)
と
頭
(
こうべ
)
を垂れて私は鉄柵越しにこの不思議な懐かしさを湧かせてくれる、しかも見たことも逢ったこともない薄命な天才の
冥福
(
めいふく
)
を祈っていたが、何か墓前に花でも
手向
(
たむ
)
けて上げようかと考えた。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
なき雪子さんの
冥福
(
めいふく
)
を祈ることにかかり果てていた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、彼らの神仏崇拝は、全く一身一家の
冥福
(
めいふく
)
にあらずして現福を祈るのである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
神護寺
(
じんごじ
)
の
廃毀
(
はいき
)
を修復して、仏法の興隆を喚起し、あわせて父母の
冥福
(
めいふく
)
をも祈る、という
勧進
(
かんじん
)
をして、都の市民へ呼びかけていたが、
一日
(
あるひ
)
、法住寺の法殿に貴紳が多く集まると聞いて
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幻も消えてしまえ! 生命はあるんだ! いったいおれはいま生きてないのか? おれの命はあの老いぼれ
婆
(
ばば
)
あと一緒に死にはしなかったんだ! 婆さんには天国の
冥福
(
めいふく
)
を祈っておいたら
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
尚
(
なお
)
、海野ニセ武官の
冥福
(
めいふく
)
を、読者諸君と共に祈り上げる次第であります
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と、心から、かれの
冥福
(
めいふく
)
を祈った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“冥福”の解説
冥福(めいふく、「みょうふく」と読むこともある)とは、仏教や道教などの宗教体系において現世とは異なる基準に基づいて得られる幸福のことである。
(出典:Wikipedia)
冥
常用漢字
中学
部首:⼍
10画
福
常用漢字
小3
部首:⽰
13画
“冥福”で始まる語句
冥福祈祷