僅少きんせう)” の例文
しか卯平うへい僅少きんせう厚意こういたいしてくぼんだ茶色ちやいろしがめるやうにして、あらひもせぬから兩端りやうはしちひさなあな穿うがつてすゝるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
秤座役人は苗字めうじ帶刀たいたうを許され、僅少きんせうながら幕府の手當を受け、相當の見識も持つて居りますが、斯うなると町方の御用聞にすがる外はありません。
ふでさきにてたがやたる收入しふにふきはめて僅少きんせうにして、みづかひ、みづかるにいまらざれども、らざるうちにもそれをたくはへて、もつ子孫しそんつたへるといふ、其子そのこいまいのである。
勘次かんじ燒木杙やけぼつくひてゝかれだい一の要件えうけんたるかり住居すまゐつくつた。近所きんじよからあつめた粟幹あはがら僅少きんせう材料ざいれう葺草ふきぐさであつた。それはやつあめるからないだけのうす葺方ふきかたであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふものは、碌々ろく/\貝塚かひづか發掘はつくつしてもせずに、たゞちに地中ちちう秘密ひみつつたふりをして、僅少きんせうなる遺物ゐぶつ材料ざいれうに、堂々だう/\たる大議論だいぎろんならべ、うして自個じこ學説がくせつてるのにきふひといでもい。
それはかれわづかあひだ放浪者はうらうしやおそろしさをおもつて、假令たとひどうしてもその統領とうりやうあざむいて僅少きんせう前借ぜんしやくかねたふほど料簡れうけんおこされなかつたのである。うち張元ちやうもとから葉書はがきた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)