何時いつも)” の例文
二人は湯から上って、一局囲んだ後を煙草たばこにして、渋い煎茶せんちゃすすりながら、何時いつもの様にボツリボツリと世間話を取交していた。
二癈人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
知られる樣になる斯の如くして馴染なじみが出來るとくづを買求かひもとめらるゝなりさうさへすると先々で何時いつものくづ屋さんがきたから最早申刻なゝつどきならん夕膳ゆふぜんの支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あはれ、あに元太郎もとたらうは、何事なにごとふりますで、何時いつもよりかへつておそくまで野良のらかへらないでたとふのに。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところ今歳ことしの五月です、僕は何時いつもよりか二時間も早く事務所を退ひいて家へ帰りますと、そのは曇って居たので家の中は薄暗いうちにも母のへやことに暗いのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
唄は波が引いてゆくときのように遠退いて、ふたがとざされると同時にまた向う岸から起ってくるようでした。夜はますます蒼く何時いつもとはちがった夜のように思えるのでした。
不思議な魚 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
或日あるひ自分は何時いつものように滑川なめりがわほとりまで散歩して、さて砂山に登ると、おもいの外、北風が身にしむのでふもとおり其処そこら日あたりのい所、身体からだのばして楽にほんの読めそうな所と四辺あたり見廻みまわしたが
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
はあ、よもや、とはおもふたが、矢張やつぱなまづめがせたげな。えゝ、らちもない、とけて、また番人ばんにんぢや、と落胆がつかりしたゞが、ばんもう一度いちどく、とつともよるけても、何時いつもかげうつらなんだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最初さいしよに見出し候者はわたくせがれ甚之助に御座候其仔細そのしさいは同日の夕刻ゆふこく雪も降止ふりやみ候に何となくあやしにほひ致せば近所の者共表へ穿鑿せんさく致し候に何時いつも何事にても人先に出て世話せわいたし候お三ばゞのみ一人相見え申さざれば私しせがれ甚之助不審ふしんに存じかれが家の戸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はじめからこたへないときもあり、こたへるとき何時いつもこたへをするのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)