のり)” の例文
新字:
さるゝもいやさに默止もだしれば駕籠舁かごかき共は夫婦に向ひもし旦那もどり駕籠ゆゑ御安直おやすく參りやす何卒どうぞのりなされといひけるに浪人夫婦は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
堤の下で「おのりなさい」と言つたぎり彼は舟中僕に一語を交へなかつたから、僕は何の爲めに徳二郎が此處に自分を伴ふたのか少しも解らない、然し言ふまゝに舟を出た。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大路おほぢに出づれば馬車ひきもきらず。羅馬の人を載せたるあり、外國の客を載せたるあり。往くあり、還るあり。こは都の習なる夕暮の逍遙あそびのりといふものにいでたる人々なるべし。
うたなるかな。ふるのきにおとづれた。なにすわつてても、苗屋なへやかさえるのだが、そこは凡夫ぼんぷだ、おしろいといたばかりで、やれすだれごしのりだしてたのであるが、つゞいて
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をとこはうすさびしきかほみをうかべて貴孃あなたといふことりませぬので、んだわがまゝの不調法ぶてうはふ、さ、おのりりなされ、おともをしまする、さぞ不意ふいでおおどろきなさりましたろう、くるまくとふもばかり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
掛たる爪折傘に草履取合羽籠等なり引續ひきつゞいて藤井左京も四人徒士にて長棒の駕籠にのり若黨わかたう四人黒叩き十文字もんじやりを持せ長柄傘草履取合羽駕籠等なり少しおくれて山内伊賀亮は白摘毛しろつみげの鎗を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひろのりだと、した塀續へいつゞきなぞで、わざ/\振向ふりむいてつたことさへある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うでれは此樣このやう活地いくぢなし、馬車ばしやおもひもらぬこと此後このご辻車つぢぐるまひくやられたものければ、いまのうちおさまりをかんがへて、利口りこうもの出來できる、學者がくしや好男子いろをとこで、としわかいにのりかへるがずゐ一であらう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
蒙り悦こび身に餘りいさみ進んで下城にこそは及ばれたり下馬先げばさきには迎の駕籠廻り居て夫にのり徐々しづ/\と歸宅せられたりやがて屋敷近くなりしころおさへが一人駈拔かけぬけて表門よりお歸り/\と呼はれば此を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)