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髢
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かもじ
ふりがな文庫
“
髢
(
かもじ
)” の例文
髢
(
かもじ
)
や細紐を障子の外へ掛けたところで、前々からの関係を知らない人達には、何のことやら解らなかったのも無理のないことでした。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見るとその中には、小指の太さに束ねた長さ八
寸
(
すん
)
ばかりの
髢
(
かもじ
)
が一房と、よごれた女の革手袋がかたしと、セルロイドの櫛が一枚あった。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その折の
蓑
(
みの
)
にちなんだのが、ばらみの、横みの、
鬢
(
びん
)
みの、
髢
(
かもじ
)
の類、
活毛
(
いきげ
)
さえまじって、女が備える、黒髪が取りつつんで
凄
(
すご
)
いようです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは、右眼の下のところまで被さるもので、
髢
(
かもじ
)
を解いて一本ずつ針に通し、それを
羽二重
(
はぶたえ
)
に植え付けたものである。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「吉弥だッてそうでさア、ね、小遣いを立てかえてあるし、
髢
(
かもじ
)
だッて、早速髷に結うのにないと言うので、
借
(
か
)
してあるから、持って来るはずだ、わ」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
▼ もっと見る
彼を海の向うの仙郷に誘って行ったということになっており、ただその中の一つだけが、
髢
(
かもじ
)
を拾って返してやった御礼のように、言い伝えているのである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
裏切りものめ、そう叫んだ児太郎は、
髢
(
かもじ
)
にかけた弥吉の手をとると、いきなり庭さきへ
叩
(
たた
)
きつけた。起上ろうとするのを上から乗り寄せ、丁々と
額
(
ひたい
)
を打った。
お小姓児太郎
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
被衣を以て頭を隱した其の女こそは、紛れもなく、公の寵姫の
髢
(
かもじ
)
のために髮を奪はれた
己氏
(
きし
)
の妻であつた。
盈虚
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
食物などにはかえって有名なものがあって、
牡蠣
(
かき
)
や干柿や「でびら」などは誰も
味
(
あじわ
)
ったことがあるでありましょう。女の用いる
髢
(
かもじ
)
も多くはこの県から出します。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ふふふ、
気味
(
きみ
)
が
悪
(
わる
)
いか。
情
(
なさけ
)
ねえ
料簡
(
りょうけん
)
だの、
爪
(
つめ
)
の
匂
(
におい
)
がいやだというから、そいつを
嗅
(
か
)
がせてやるんだが、これだって、
髢
(
かもじ
)
なんぞたわけが
違
(
ちが
)
って、
滅多矢鱈
(
めったやたら
)
に
集
(
あつ
)
まる
代物
(
しろもの
)
じゃァねえんだ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
たくさんの
絵馬
(
えま
)
が納められてあったり、
達磨様
(
だるまさま
)
の古いのや、昨年来の
御幣
(
ごへい
)
や、神々のお札や、髪の毛の切ったのが
髢
(
かもじ
)
なりに結えられてあったりするだけのものでしたが、そのなかでただ一つ
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
妹が茶の
室
(
ま
)
へ来て、お銀や磯谷のことでも話しているらしいこともあったし、お銀から
髢
(
かもじ
)
を借りて行ったり、
洋傘
(
かさ
)
を借りて行くようなこともあった。懇意ずくで新漬けを提げ出すこともあった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
知らないでいる間は格別、一度こういう物が眼に触れた以上は、事の真相を突留めずにいられなかったのである。つと箪笥の引出を開けてみた。針箱も探してみた。
櫛箱
(
くしばこ
)
の
髢
(
かもじ
)
まで
掻廻
(
かきまわ
)
してみた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さらに彼はその髪に古風な高い
髢
(
かもじ
)
を入れて、その先きをうしろに垂らした上に、こてこてと髪粉をつけ、ブラシはよく掛けてあるがもうよほどの年数物らしい褐色の
上衣
(
うわぎ
)
をきて、灰色の長い靴下に
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
こんなにふさ/\しているから
鬘
(
かつら
)
(註、こゝに云う鬘は
髢
(
かもじ
)
のこと)にひねったらどんなに見事になるでしょう、
常日頃
(
つねひごろ
)
から髪がうすくって困っていましたのに、ほんとうによいものが手に入りました
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「この舟にはいい
髢
(
かもじ
)
がある筈だから、見せてもらいたい」
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「一番上、右の方にブラ下げたのは
苧
(
を
)
だよ。その次は紐だが輪にして
端
(
はじ
)
つこを結んであるぢやないか。その下は
髢
(
かもじ
)
だ。これを續けて讀んでご覽」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女の袖が肩を抱くと、さし寄せた頬にかかっておくれ毛が、ゆれて、
靡
(
なび
)
いて、そこいらの、みの毛ばら毛、
髢
(
かもじ
)
も一所に、あたりは
真暗
(
まっくら
)
になりました。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
被衣を以て頭を隠した其の女こそは、紛れもなく、公の寵姫の
髢
(
かもじ
)
のために髪を奪われた
己氏
(
きし
)
の妻であった。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
谷村夫人は髪が乱れて居たので、身を汚されたと思ったのだが、大原の手では一旦解いた髪をもとのとおりに結ぶことはむずかしいからね。手箱の
髢
(
かもじ
)
は恐らく谷村夫人のだろう。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
が、後姿のままで、やがて、片扉開いた格子に、ひたと額をつけて、じっと留まると、
華奢
(
きゃしゃ
)
な肩で激しく息をした。髪が
髢
(
かもじ
)
のごとくさらさらと揺れた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そう言う右の手には、
髢
(
かもじ
)
を冠せた、凄まじい鬼女の面が、青い地、赤い
隈
(
くま
)
に、
金色
(
こんじき
)
の眼を光らせております。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
後宮の寵姫の一人の爲にそれで以て
髢
(
かもじ
)
を拵へようといふのだ。丸坊主にされて歸つて來た妻を見ると、夫の己氏は直ぐに被衣を妻にかづかせ、まだ城樓の上に立つてゐる衞侯の姿を睨んだ。
盈虚
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
こういって警部は、
髢
(
かもじ
)
を取り出した。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
さう言ふ右の手には、
髢
(
かもじ
)
を冠せた、
凄
(
すさ
)
まじい鬼女の面が、青い地、赤い
隈
(
くま
)
に、金色の眼を光らせて居ります。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
また
希有
(
けぶ
)
なのは、このあたり(大笹)では、蛙が、女神にささげ物の、みの、
髢
(
かもじ
)
を授けると、小さな
河童
(
かっぱ
)
の形になる。しかしてあるものは
妖艶
(
ようえん
)
な少女に化ける。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
後宮の寵姫の一人の為にそれで以て
髢
(
かもじ
)
を
拵
(
こしら
)
えようというのだ。丸坊主にされて帰って来た妻を見ると、夫の己氏は直ぐに
被衣
(
かずき
)
を妻にかずかせ、まだ城楼の上に立っている衛侯の姿を睨んだ。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
の二種として、これを結ぶに必要なるは、先づ
髷形
(
わげがた
)
と
髢
(
かもじ
)
となり。髢にたぼみの
小枕
(
こまくら
)
あり。
鬢
(
びん
)
みの、
横
(
よこ
)
みの、
懸
(
かけ
)
みの、根かもじ、横毛といふあり、ばら毛といふあり。
当世女装一斑
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「馬鹿だなア、そんな爺はどうでもよかつたんだ。行燈と草履と
髢
(
かもじ
)
を出した娘に用事があるのだ」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「馬鹿だなア、そんな爺はどうでもよかったんだ。行灯と草履と
髢
(
かもじ
)
を出した娘に用事があるのだ」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
手切
(
てぎれ
)
の
髢
(
かもじ
)
も中に
籠
(
こ
)
めて、
芸妓髷
(
げいしゃまげ
)
に
結
(
い
)
った私、千葉の人とは、きれいに
分
(
わけ
)
をつけ参らせ
候
(
そろ
)
。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤
(
もつと
)
も、その隣の家の二階には澁柿を、その向うの家の二階には土用干ほど女物を干してゐる中ですから、
髢
(
かもじ
)
や細紐を障子の外へ掛けたところで、前々からの關係を知らない人達には
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
桃色の小枕ふっくりと
媚
(
なまめ
)
かしいのに、
白々
(
しろじろ
)
と塔婆が一基(
釈玉
(
しゃくぎょく
)
)——とだけ
薄
(
うっす
)
りと読まれるのを、面影に
露呈
(
あらわ
)
に枕させた。
頭
(
かしら
)
に
捌
(
さば
)
いて、字にはらはらと黒髪は、
髢
(
かもじ
)
を
三房
(
みふさ
)
ばかり
房
(
ふっさ
)
りと合せたのである。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「さうさ、白い長い着物を着て、長い
髢
(
かもじ
)
をブラ下げて、此姿で人を脅したのさ」
銭形平次捕物控:284 白梅の精
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると、八五郎も
先刻
(
さっき
)
驚かされた鬼女の顔——、行灯を
提
(
さ
)
げて近々と見ると、それは、仏壇の中にはあるまじき、恐ろしい鬼女の面に、
髢
(
かもじ
)
の毛まで
冠
(
かぶ
)
せて、位牌の前に据えてあったのです。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見ると、八五郎も先刻驚かされた鬼女の顏——、行燈を
提
(
さ
)
げて近々と見ると、それは、佛壇の中にはあるまじき、恐ろしい鬼女の面に、
髢
(
かもじ
)
の毛まで冠せて、
位牌
(
ゐはい
)
の前に据ゑてあつたのです。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二階の障子にブラ下げたのは、
麻糸
(
あさいと
)
と、細い
紐
(
ひも
)
と、
髢
(
かもじ
)
の三品だ」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“髢”の解説
髢(かもじ・髪文字)とは、髪を結ったり垂らしたりする場合に地毛の足りない部分を補うための添え髪・義髪のこと。
(出典:Wikipedia)
髢
漢検1級
部首:⾽
13画
“髢”を含む語句
髢屋
大髢