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雑兵
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ぞうひょう
ふりがな文庫
“
雑兵
(
ぞうひょう
)” の例文
旧字:
雜兵
こちら側の経蔵もやはり同じことであったのでございましょう、
松明
(
たいまつ
)
を振りかざした四五人の
雑兵
(
ぞうひょう
)
が一散に
馳
(
は
)
せ寄って参りました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
そこには、
白旗
(
しらはた
)
の
宮
(
みや
)
のまえから、追いつ追われつしてきた
小幡民部
(
こばたみんぶ
)
が、
穴山
(
あなやま
)
の
旗本
(
はたもと
)
雑兵
(
ぞうひょう
)
を八面にうけて、今や
必死
(
ひっし
)
に
斬
(
き
)
りむすんでいる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
骨になってしまえば馬も義朝も大した変りはないように、鼻のかけらだけでは大将とも
雑兵
(
ぞうひょう
)
とも見分けはつかなかった筈である。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
教えてくれる。
雑兵
(
ぞうひょう
)
ならば武術も習うがよかろう。
然
(
しか
)
し一軍の大将たる者はそんな小さな事にかかわる必要がない
蒲生鶴千代
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
雑兵
(
ぞうひょう
)
ばらの二、三百は物の数じゃねえんだから、さすが
真田幸村
(
さなだゆきむら
)
の息がかかった連中だけあって、しゃれたまねしたものだが、ところがそれが大笑いさ。
右門捕物帖:03 血染めの手形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
間違いはないが
卑怯
(
ひきょう
)
だぜ! 勇気があったら
渦中
(
かちゅう
)
へ投じろ! が待ってくれ、そうはいっても、むやみと
雑兵
(
ぞうひょう
)
に荒らされても、探索の手口が狂ってしまう。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
舞台に立って、
児島高徳
(
こじまたかのり
)
に投げられた
雑兵
(
ぞうひょう
)
が、再び起上って打向ってくるはずなのが、投げられたなりになってしまったほど、彼らは疲労
困憊
(
こんぱい
)
の極に達していた。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
単に上級生の命令によって玉拾いなる
雑兵
(
ぞうひょう
)
の役を勤めたるところ、運わるく非常識の敵将、逆上の天才に追い詰められて、垣越える
間
(
ま
)
もあらばこそ、庭前に引き
据
(
す
)
えられた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その堅い結び付きは、実際の戦闘力を有するものから、
兵糧方
(
ひょうろうかた
)
、
賄方
(
まかないかた
)
、
雑兵
(
ぞうひょう
)
、
歩人
(
ぶにん
)
等を入れると、千人以上の人を動かした。軍馬百五十頭、それにたくさんな
小荷駄
(
こにだ
)
を従えた。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
もし果してそうならば、
猪早太
(
いのはやた
)
ほどにもない
雑兵
(
ぞうひょう
)
葉武者
(
はむしゃ
)
のわれわれ風情が、遠慮なしに頭からざぶざぶ浴びるなどは、遠つ昔の
上臈
(
じょうろう
)
の手前、いささか恐れ多き次第だとも思った。
秋の修善寺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
古いながら具足も大刀もこのとおり上等なところで見るとこの人も
雑兵
(
ぞうひょう
)
ではないだろう。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
「緋鯉は立派だから大将だろうが、鮒は
雑兵
(
ぞうひょう
)
でも数が多いよ……
潟
(
かた
)
一杯
(
いっぱい
)
なんだもの。」
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちょうど昔の武士が
雑兵
(
ぞうひょう
)
を相手とせず、まっしぐらに敵の大将に近づいて、一騎打の勝負をいどんだように。ではどこに怒りの焦点を定めるのか。誰を最も大きな敵として選ぶのか。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
これらは無上に高値な糞であろう。わが邦でも古く陣中に馬糞を
薪
(
たきぎ
)
にし、また馬糞汁もて手負いを療じた(『
雑兵
(
ぞうひょう
)
物語』下)。したがって馬糞を金ほど重んじた場合もあったものか。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
こちら側の経蔵もやはり同じことであつたのでございませう、
松明
(
たいまつ
)
を振りかざした四五人の
雑兵
(
ぞうひょう
)
が一散に
馳
(
は
)
せ寄つて参りました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
上
(
かみ
)
は大将
伊那丸
(
いなまる
)
から、
下
(
した
)
は
雑兵
(
ぞうひょう
)
にいたるまで、死の冠をいただいてのこの戦いに、大事なかれのいあわせないのは、かえすがえすも
遺憾
(
いかん
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恰好
(
かっこう
)
な奴を見つけて、その首を斬り、
贋
(
にせ
)
の證人を
拵
(
こしら
)
えるか、
雑兵
(
ぞうひょう
)
どもを買収すればよい訳だけれども、それは法師丸の武士の良心が許さなかった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あそこのかどに張っていた
雑兵
(
ぞうひょう
)
をうまいことおだてて聞き出したんだがね、あば敬大将はあの下手人をのどえぐり修業のつじ切りだとかなんだとかおっかねえ
眼
(
がん
)
をつけてね
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
学校へはいって、嘘を吐いて、
胡魔化
(
ごまか
)
して、
陰
(
かげ
)
でこせこせ生意気な悪いたずらをして、そうして大きな面で卒業すれば教育を受けたもんだと
癇違
(
かんちが
)
いをしていやがる。話せない
雑兵
(
ぞうひょう
)
だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、奇兵隊の
雑兵
(
ぞうひょう
)
から身を起こして、未来の国士を夢みていたのも、この
壮丁
(
そうてい
)
の中には一人や二人あるはずだ。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
首と云うものは、名もない
雑兵
(
ぞうひょう
)
のものなら知らぬこと、
一廉
(
ひとかど
)
の勇士の首であったら皆そう云う風に
綺麗
(
きれい
)
に汚れを除いてから、大将の実検に供えるのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
って
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思い返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
ひどくこの虫めがね組が取るに足らない
雑兵
(
ぞうひょう
)
のように聞こえますが、これがなかなかどうして、ただの取り的どもだと思うとたいへんな勘違いで、実にこのお三代家光公の寛永年間は
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
万が一にも
雑兵
(
ぞうひょう
)
乱入の
砌
(
みぎり
)
などには
却
(
かえ
)
つて
僧形
(
そうぎょう
)
の方が御一統がたの介抱を申上げるにも好都合かと思ひ返し、慣れぬ手に
薙刀
(
なぎなた
)
をとるだけのことに致しました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
お叱りにはございますが、
下御所
(
しもごしょ
)
さまの御厳達により、近来は、
雑兵
(
ぞうひょう
)
たりといえ、捕虜はその日にみな斬ることにしておりまする。……なにぶんにも味方を
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雑兵
(
ぞうひょう
)
の手に懸り給うか、遠国へ流されて俊寛の憂き目を見給うか、又は介錯人もなき御生害を遂げらるゝか、そうなってから後悔あるとも追い着きは致しませぬぞと
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「どけっ。おまえなんぞ
雑兵
(
ぞうひょう
)
では手も出まい。おれが
料
(
りょう
)
る!」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そんな時、はからずも、軽装した秀吉が、馬で陣見廻りなどに来ると、あわてて
雑兵
(
ぞうひょう
)
たちは釣竿を捨てたが、秀吉は気づいても、ただニヤニヤと見て通った。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちに
食堂
(
じきどう
)
、つづいて講堂も焼け落ちたらしく、火の手が次第に仏殿に迫って参ります頃には、そこらにちらほら
雑兵
(
ぞうひょう
)
どもの姿も赤黒く照らし出されて参ります。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
此処を駈け抜けることは
叶
(
かな
)
いませぬ、まだ此の先にいくらでも人数が伏せてござりましょうから、
雑兵
(
ぞうひょう
)
の手におかゝりなされて犬死なさるのは必定でござります、先ず山崎にお越しなされて
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もとより
雑兵
(
ぞうひょう
)
にはちがいない。市松も虎之助も、びっくりしたが、それ以上、敵兵のほうが
逆上
(
あが
)
っていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちに
食堂
(
じきどう
)
、つづいて講堂も焼け落ちたらしく、火の手が次第に仏殿に迫つて参ります頃には、そこらにちらほら
雑兵
(
ぞうひょう
)
どもの姿も赤黒く照らし出されて参ります。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
十兵衛、弥平治のわずか二人に突き崩されて、逃げたものとすれば、蜂須賀衆も口ほどもない
雑兵
(
ぞうひょう
)
級の者ばかり——と密かに
蔑
(
さげす
)
みながら、なお、耳を
研
(
と
)
いでいた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綱を投げて、救い上げてやると、それは馬を洗いに下りた
雑兵
(
ぞうひょう
)
で、余り流れが静かに見えるし、浅いとばかり思っていたので、つい深みへ
堕
(
お
)
ちて溺れかけたのだという。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ほかの
雑兵
(
ぞうひょう
)
には目もくれないで、まっしぐらに、武者走り(
城壁
(
じょうへき
)
の
細道
(
ほそみち
)
)をかけぬけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな
雑兵
(
ぞうひょう
)
の中でない、総軍の大将の陣所へゆき、その保護を求めようと考えたのである。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敵の
雑兵
(
ぞうひょう
)
をも相手にして雑兵の如き奮戦すら敢えてした。「名もなき者に首を取られんことの口惜し——」などという生やさしい名聞などは彼の
顧慮
(
こりょ
)
するところでない。——死のうは
一定
(
いちじょう
)
だ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曳
(
ひ
)
くのは、まだらの牛、護るのは、眼をひからした
刑吏
(
けいり
)
と
雑兵
(
ぞうひょう
)
であった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中でも、若い
雑兵
(
ぞうひょう
)
のひとりは、大げさな表情を、そのことばと共にして
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
雑兵
(
ぞうひょう
)
めら」
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“雑兵”の意味
《名詞》
雑兵(ぞうひょう)
身分が低い兵卒。足軽。陣笠。
(出典:Wiktionary)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
兵
常用漢字
小4
部首:⼋
7画
“雑兵”で始まる語句
雑兵輩
雑兵劫掠
雑兵物語
雑兵雑炊
雑兵葉武者