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隣室
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となり
ふりがな文庫
“
隣室
(
となり
)” の例文
母は声を低くして、「林の御隠居も
隣室
(
となり
)
へ来ておいでる……それで
先刻
(
さっき
)
ああは言ってみたが、大概私も国の方のことは察しておるわい」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「杜鵑之介といったようじゃな? 杜鵑之介! 杜鵑! そうして今は暁だ!
隣室
(
となり
)
では
嘔吐
(
へど
)
を吐いている。よし! 出来た!」
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
隣室
(
となり
)
の
酔客
(
よっぱらい
)
が総立ちになって、寝るんだ、座敷は、なんて
喚
(
わめ
)
いて、留める芸者と折重なって、こっちの
襖
(
ふすま
)
へばたばたと当る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それ故、一応
隣室
(
となり
)
の諒解を求める必要がある。けれど、隣室の人たちはたぶん雨戸をあけるのを好まないだろう。
秋深き
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それにしても、もう立退き命令が来そうなものじゃと、
隣室
(
となり
)
の竜之助は心待ちにもなるが、なかなか来ない。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
……そう思い思い編輯室の
隣室
(
となり
)
の応接間に架けて在る玄洋日報
綴込
(
とじこみ
)
を、丸
卓子
(
テーブル
)
の上に引出して、前月以来の三面記事を次から次へと引っくり返してみると……。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
廊下には人の影もない。彼は
跫音
(
あしおと
)
のしない歩き方で、
隣室
(
となり
)
の方へ二三歩進み、社長室のドアの所で、一寸立止り相にしたが、思い直してサッサと洗面所へ歩いて行った。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さっきから、
隣室
(
となり
)
の境のふすまのかげに、ソッときき耳をたてていた六兵衛の娘、お露さん……。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
パッチリと眼がさめると、猫だと思ったのは、
隣室
(
となり
)
から、男のいびきがきこえていたのだった。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
伊香保から
此方
(
こちら
)
へ来るまでにありません、伊香保のお
隣室
(
となり
)
の奥様ねえ、
彼
(
あ
)
れは又品が違いますが、此方はあれよりもまだ年が
往
(
い
)
かないようで、伊香保の奥様も
明日
(
あした
)
来るか
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奥の室の
隣室
(
となり
)
には平兵衛の居間があった。母親はその方を見返って
襖
(
ふすま
)
越しに声をかけた。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
が、床の間の千両箱にも変りはないし、大方眠くなって
隣室
(
となり
)
に敷いた床の中へ潜り込んだものと思い込み、——御苦労——と声だけ掛けて、そのまま夜を明かしてしまいました。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
隣室
(
となり
)
も明いていますか……そう。夜まではどこも明いている……そう。お前さんがここの世話をしておいで?……なら
余
(
ほか
)
の
部屋
(
へや
)
もついでに見せておもらいしましょうかしらん」
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
僕は
少時
(
しばらく
)
の間皆の来るのを待っていたが、一向音沙汰がなかったから、
隣室
(
となり
)
の三輪さんを覗いて見た。寝坊にも似合わず
最早
(
もう
)
キチンとして新聞を読みながら却って此方を待っているようだった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「また蛇が蛙を呑むのじゃアありませんか。」と「水力電気論」を懐にして神崎乙彦が笑いながら庭樹を右に左に
避
(
よ
)
けて縁先の方へ廻る。
少女
(
おとめ
)
の
室
(
へや
)
の
隣室
(
となり
)
が二人の室なのである。朝田は玄関口へ廻る。
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
すると、直ぐ
隣室
(
となり
)
の暗やみで
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隣室
(
となり
)
へ酒を出して置いて、私は
独
(
ひと
)
りで
寝転
(
ねころ
)
びながら本なぞを読みます。すると茶屋の姉さんが『橋本さん、貴方は妙な方ですネ』なんて……
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
振り向くと
隣室
(
となり
)
の女がひとりで大股にやって来るのだった。近づいた途端、妙に熱っぽい体臭がぷんと匂った。
秋深き
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
婆
(
ばば
)
と黒犬に見える、——その
隣室
(
となり
)
の襖際と寝床の裾——皆が沖の方を枕にしました——裾の、袋戸棚との間が、もう一ヶ所
通
(
かよい
)
で、
裏階子
(
うらばしご
)
へ出る、
一人立
(
ひとりだち
)
の口で。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それじゃ話してあげましょうか。まず
隣室
(
となり
)
の観世様」「観世様が何故不思議だ?」「あんまり鼓がお上手ゆえ」「なるほどこれはもっともだ」「それから馬子の甚三さん」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すっかり
彼奴
(
あいつ
)
の腹へ這入っちまったからたんまりした仕事が出来ようかと思って居ると、
隣室
(
となり
)
に居た女が
其奴
(
そいつ
)
に岡惚をした様子だから、
些
(
ちっ
)
とばかり
好
(
い
)
い仕事を
為
(
し
)
ようと思うと
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あの、旦那様、お
隣室
(
となり
)
が混み合いまして、まことにお
喧
(
やかま
)
しゅうございましょう。あの、少し
手狭
(
てぜま
)
ではございますが、あちらの四畳半が明いておりますから、御案内申しましょうか」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いま
隣室
(
となり
)
の「女人藝術」編輯室には、いつものみんなの外に珍らしいお客さんたちも見えて、襖一重むかうでは、將來の女人としてのさま/″\な希望が机の上に、人の口に盛んである。
下町娘
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一空さまが、これから、
隣室
(
となり
)
にできた遊び部屋をひらくから、そこで思う存分あばれるようにいうと、わあっと歓声があがった。そして、
雪崩
(
なだれ
)
を打って、となり部屋へ駈けこんで行った。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「様子は
隣室
(
となり
)
で聞いておりました。親分、本当に娘は生きておりましょうか」
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
弱って来た
隣室
(
となり
)
の物音と、切れ切れに起る
咽
(
むせ
)
び泣きの声から
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さて、夫人は、谷屋の手代というのを、
隣室
(
となり
)
のその十畳へ通したらしい、何か話声がしている内
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
うんにゃうんにゃ
呶鳴
(
どな
)
ったのさ。
喚
(
わめ
)
いたと云った方が
中
(
あた
)
っている。『唐寺の謎は胎内の……』——人間じゃアねえ人形だ! 人形がそう云って喚いたのさ。すると
隣室
(
となり
)
から民弥さんの声だ。
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
平次が
隣室
(
となり
)
に隠れる間もありません。バタバタと入って来たのは、若い男。
銭形平次捕物控:047 どんど焼き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こともなげに
隣室
(
となり
)
から走る一語、お松の骨を刺す冷たさがある。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
隣室
(
となり
)
の泣声がピッタリと止んだ。それにつれて又一つ……
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
隣室
(
となり
)
からか、天井裏からか。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「それとも
隣室
(
となり
)
だったかしら。何しろ、私も見た時はぼんやりしてさ、だから、下に居なすった、お前さんの姿が、その女が脱いで置いた
衣
(
き
)
ものぐらいの場所にありましてね。」
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次が
隣室
(
となり
)
に隱れる間もありません。バタバタと入つて來たのは、若い男。
銭形平次捕物控:047 どんど焼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おまえは誰かに頼まれて、この
隣室
(
となり
)
へ来たか」
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
隣室
(
となり
)
には八畳間が二つ並んで、上下だだ
広
(
び
)
い
家
(
うち
)
に、その晩はまた一組も客がないのです。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
医師
(
せんせい
)
は、
蹌踉
(
よろ
)
けたように、雨戸を
背
(
うしろ
)
に、
此方
(
こなた
)
を向き替え、斜めに
隣室
(
となり
)
の蚊帳を
覗
(
のぞ
)
いた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
医師
(
せんせい
)
は横を向く。小松原は、片手を敷布の上、
隣室
(
となり
)
へ
摺寄
(
すりよ
)
る身構えで
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分で卑下する心から、気がひがんで、あなたの顔が憎らしかった。あなたも私が憎いのね。——ああ、
信
(
のぶ
)
や(女中)二階で手が鳴る。——虫が
煩
(
うるさ
)
い。この
燈
(
ひ
)
を消して、
隣室
(
となり
)
のを
点
(
つ
)
けておくれな。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
隣室
(
となり
)
の茶の
室
(
ま
)
で、女房の、その、上の姉が
皺
(
しな
)
びた声。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と鼻の下を長くして、土間
越
(
ごし
)
の
隣室
(
となり
)
へ傾き
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“隣室”の意味
《名詞》
隣の部屋。
(出典:Wiktionary)
隣
常用漢字
中学
部首:⾩
16画
室
常用漢字
小2
部首:⼧
9画
“隣”で始まる語句
隣
隣家
隣村
隣人
隣席
隣国
隣合
隣近所
隣座敷
隣町