遊戯ゆうぎ)” の例文
旧字:遊戲
孝二こうじは、二十せんそうとってきたのを、小泉こいずみ二人ふたりぶんにしてしました。これで、小泉こいずみもこの遊戯ゆうぎくわわることができたのです。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むしろ克子はそんなことのあるとも知らず、とびとびをしながら歌うのが遊戯ゆうぎで、じっとして歌うのが唱歌だと思っている。
赤いステッキ (新字新仮名) / 壺井栄(著)
それは佐助を教えた時代からすできざしていたのであるすなわち幼い女師匠の遊戯ゆうぎから始まり次第に本物に進化したのである。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
してみると私たちのなかまのたれかが創案そうあんしたのだが、いったいたれだろう、あんなあわれ深い遊戯ゆうぎをつくり出したのは。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その私が、着物が陽にやけるとか、下駄の鼻緒がきれるとかいった理由のために、規定の時間の運動のほかのどんな遊戯ゆうぎをも禁じられてしまったのだ。
あたたかな陽気ようきと、もえだした芽や花が、人びとを庭や道にさそいだしました。いく人かが集まりますと、きまって、そこでは遊戯ゆうぎがはじまりました。
どんな遊戯ゆうぎ、どんな、見下げるような浪人とも、楽につきあえて、面白く、相手の人間性を見ることができた。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
摂理せつり」とかいう言葉を自分の心のよりどころにして、明るく人生をながめる態度を養って来たつもりであったが、それは単なる観念の遊戯ゆうぎにすぎなかったのか。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その間にほかの若者たちは、河原かわらに散在する巌石がんせきを持上げ合う遊戯ゆうぎを始めていた。岩は牛ほどの大きさのも、羊ほどの小ささのも、いろいろ陽炎かげろうの中に転がっていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
鬼ごっこをしても、目かくしをしても、陣取をしても、すべての子供が私の敵でした。私をいじめるための遊戯ゆうぎのように、こづき廻し、突飛ばし、つばを吐きかけるのです。
遺産 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
完全に梅吉の傀儡かいらいになって、父の激怒に触れたり、座敷牢に入れられたり、そこを脱出して女に逢ったり、それをこの上もなくロマンティックな遊戯ゆうぎと思い込んでいたのでしょう。
いちじるしい時代の変化は村の児童の遊戯ゆうぎする場所も変わったと見え、境内の荒れてるもどうり、この宮の中などで遊ぶ子供も近年少ないらしく、新しい落書きはほとんどなかった。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あるとき、おとうさんが豚を屠殺つぶすところを、その子どもたちが見ました。やがて、おひるすぎになって、子どもたちが遊戯ゆうぎをしたくなると、ひとりが、もうひとりの小さい子どもに
わが輩はしばしば思う、くび引きという遊戯ゆうぎは前に倒れるものが負けとまっている。しかし実際には勝った者が勝ちに乗じて強く引くとき、かえって引っくりかえるのをしばしば見る。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
人間関係の調整と協同という側面だけは、たしかに政治と似たところがないではないが、それだからといって今度はその一側面だけをき出して、それが政治だというのは、思考の遊戯ゆうぎにすぎない。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
幼稚園では、遊戯ゆうぎを教えてくれる。音楽にあわせて、簡単な舞踊ぶようのようなものを教えてくれる。たとえば、「黄金虫こがねむしは金持ちだ」というの類である。それは、或る意味では、優美ゆうびであり、可愛らしい。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
みんなで罪のない遊戯ゆうぎをしている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
だがぼくは、あの、いっしょに遊戯ゆうぎをしてくれた、あねのすがたをおもすと、これからのち、どんなくるしいことにも忍耐にんたいできるがする。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただそういう風にして彼女の退屈たいくつまぎれてくれればはたの者が助かる云わば「学校ごッこ」のような遊戯ゆうぎをあてがい佐助にお相手を命じたのである。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それからのち、ニールスは、ゴットランド島というと、いつも遊戯ゆうぎと歌とをいっしょに思いだすのでした。
のちには、公卿くげたちのあいだに、これを蹴鞠けまりでまねした遊戯ゆうぎさえのこったほどである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木にのぼったり、草の上をとびまわったり、はげしい肉体的な遊戯ゆうぎにつかれてきて、夕まぐれの青やかな空気のなごやかさに私たちの心も何がなしとけこんでゆくころにそれをした。
花をうめる (新字新仮名) / 新美南吉(著)
そのあと、八時から正午まで、「郷土社会と青年生活」という題目で、朝倉先生の講義があり、午後は屋外清掃せいそうと身体検査、夜は読書会や室内遊戯ゆうぎなどで、開塾第一日の行事が終わった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかるに、ぼくだけは、遊戯ゆうぎをするにも、あねといっしょでなければ、しないといったので、しかたなく先生せんせいもゆるして、あねあるくとき、れつくわわりました。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
遊戯ゆうぎの際に早くも検校の真似をするに至ったのは自然のすうでありそれがこうじて習い性となったのであろう
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
遊戯ゆうぎに、まわすべき独楽なら、ひものこともかんがえるが、いまの場合ばあいそうでない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ウサギの遊戯ゆうぎが終わりますと、こんどは大きな林の鳥のばんです。
はじめておかあさんにつれられて、この学校がっこうがったとき、おかあさんは、あのさくらしたって、自分じぶんたちが遊戯ゆうぎをするのをていられた。ちょうどさくらはな満開まんかいであった。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
そう云えば、信田しのだの森は大阪の近くにあるせいか、昔から葛の葉を唄った童謡どうようが家庭の遊戯ゆうぎと結び着いて幾種類か行われているが、自分も二つばかり覚えているのがある。その一つは
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
校舎こうしゃ日蔭ひかげのところにって、あずまが、一人一人ひとりひとりからかねっていました。一人ひとりが、十せん以上いじょう寄付きふをすれば、そのかねもとめたドッジボールの遊戯ゆうぎくわわることができるのでした。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ぼくには、なかにいるほうがこのましく、そとて、みんなといっしょにをつなぎって、遊戯ゆうぎをしたり、うたったりするのが、なんとなく、はずかしいがして、かなかったのです。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)