トップ
>
貴女
>
きじょ
ふりがな文庫
“
貴女
(
きじょ
)” の例文
まだはっきりとは今日までよく見なかった女は、
貴女
(
きじょ
)
らしい
気高
(
けだか
)
い様子が見えて、この身分にふさわしくない端麗さが備わっていた。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
諾
(
よし
)
、その厳罰を
蒙
(
こうむ
)
りましょう、断じて自分はこの革鞄を開いて片袖は返さぬのである。ただ、天地神明に誓うのは、
貴女
(
きじょ
)
の淑徳と貞潔である。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
貴女
(
きじょ
)
は?」と正次は驚きながら訊ねた。訊ねながらも油断無く、
弦
(
ゆみ
)
に
矢筈
(
やはず
)
をパッチリと嵌め、脇構えに
徐
(
おもむろ
)
に
弦
(
つる
)
を引いた。
弓道中祖伝
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
紳士
(
しんし
)
ならびに
貴女
(
きじょ
)
がた。じまんではございませんが、
本夕
(
ほんせき
)
はおかげさまをもちまして、番組どおりとどこおりなく
演
(
えん
)
じ終わりましたとぞんじます。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
それでも、
貴女
(
きじょ
)
に対して失礼だとは心苦しく思いながら、また彼女が眼をあいて自分と眼を見合わせはしないかと恐れながら、なお、いつまでもじっと彼女を見つめていた。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
▼ もっと見る
『踏絵』の
和歌
(
うた
)
から想像した、火のような情を、涙のように美しく冷たい
体
(
からだ
)
で包んでしまった、この
玲瓏
(
れいろう
)
たる
貴女
(
きじょ
)
を、
貴下
(
あなた
)
の筆で
活
(
いか
)
してくださいと古い美人伝では、いっている。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
葉子はそれには耳もかさずに、思慮深い
貴女
(
きじょ
)
のような物腰で女中のほうに向いていった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と、雪之丞は、思い入ったように、
貴女
(
きじょ
)
をみつめた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
主君である人の、
肱
(
かいな
)
を
枕
(
まくら
)
にして
灯
(
ひ
)
をながめた
眼
(
め
)
つき、髪のこぼれかかった額つきが
貴女
(
きじょ
)
らしく
艶
(
えん
)
で、西の対の夫人によく似ていた。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
髪黒く、色雪の如く、
厳
(
いつく
)
しく正しく
艶
(
えん
)
に気高き
貴女
(
きじょ
)
の、
繕
(
つくろ
)
はぬ姿したのが、すらりと入つた。月を
頸
(
うなじ
)
に
掛
(
か
)
けつと見えたは、
真白
(
ましろ
)
な
涼傘
(
ひがさ
)
であつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
六条の
貴女
(
きじょ
)
も強い思い上がりと源氏の他の愛人を寛大に許すことのできない気むずかしさがあって、扱いにくいことによっても
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
髪黒く、色雪のごとく、
厳
(
いつく
)
しく正しく
艶
(
えん
)
に気高き
貴女
(
きじょ
)
の、繕わぬ姿したのが、すらりと入った。月を
頸
(
うなじ
)
に掛けつと見えたは、
真白
(
まっしろ
)
な
涼傘
(
ひがさ
)
であった。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
珍しくはないが
貴女
(
きじょ
)
の手に使い
馴
(
な
)
らされた跡がなんとなく残っていた。「草の原をば」と言った時の美しい様子が目から去らない源氏は
源氏物語:08 花宴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
かなぐり脱いだ
法衣
(
ころも
)
を投げると、素裸の坊主が、馬に、ひたと添い、
紺碧
(
こんぺき
)
なる
巌
(
いわお
)
の
聳
(
そばだ
)
つ
崕
(
がけ
)
を、
翡翠
(
ひすい
)
の
階子
(
はしご
)
を乗るように、
貴女
(
きじょ
)
は馬上にひらりと飛ぶと、天か、地か
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見習うがいいと思う。平凡な人間も
貴女
(
きじょ
)
がたの作法に
会得
(
えとく
)
が行くと違ってくるものだからね。そんなつもりであちらへ行こうと思いますか
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と坊主が呼ぶと、スツと
畳
(
たた
)
んで、
貴女
(
きじょ
)
が地に落した
涼傘
(
ひがさ
)
は、
身震
(
みぶるい
)
をしてむくと起きた。手まさぐり
給
(
たま
)
へる緋の
総
(
ふさ
)
は、
忽
(
たちま
)
ち
紅
(
くれない
)
の
手綱
(
たづな
)
に
捌
(
さば
)
けて、朱の
鞍
(
くら
)
置
(
お
)
いた白の
神馬
(
しんめ
)
。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
女王がもうりっぱな一人前の
貴女
(
きじょ
)
に完成されているのを見ると、もう実質的に結婚をしてもよい時期に達しているように思えた。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
かなぐり脱いだ
法衣
(
ころも
)
を投げると、
素裸
(
すはだか
)
の坊主が、馬に、ひたと添ひ、
紺碧
(
こんぺき
)
なる
巌
(
いわお
)
の
聳
(
そばだ
)
つ
崕
(
がけ
)
を、
翡翠
(
ひすい
)
の
階子
(
はしご
)
を乗るやうに、
貴女
(
きじょ
)
は馬上にひらりと飛ぶと、天か、地か
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
源氏は斎宮の
大人
(
おとな
)
びた返歌を微笑しながらながめていた。年齢以上によい
貴女
(
きじょ
)
になっておられる気がすると思うと胸が鳴った。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と坊主が呼ぶと、スッと畳んで、
貴女
(
きじょ
)
が地に落した涼傘は、
身震
(
みぶるい
)
をしてむくと起きた。手まさぐりたまえる緋の
総
(
ふさ
)
は、たちまち
紅
(
くれない
)
の手綱に
捌
(
さば
)
けて、朱の
鞍
(
くら
)
置いた白の
神馬
(
しんめ
)
。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴女
(
きじょ
)
と言っても少し
蓮葉
(
はすっぱ
)
な心が内にあって、表面が才女らしくもあり、無邪気でもあるような見かけとは違った人は誘惑にもかかりやすく
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
長
(
たけ
)
なす黒髪、片手に竹笠、半ば
面
(
おもて
)
を
蔽
(
おお
)
いたる、美しく気高き
貴女
(
きじょ
)
、天守夫人、富姫。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夏の夫人の
住居
(
すまい
)
は時候違いのせいか非常に静かであった。わざと風流がった所もなく、品よく、
貴女
(
きじょ
)
の家らしく住んでいた。
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
一行は二日ほどここに滞留していて、老尼と拾った若い
貴女
(
きじょ
)
のために祈りをし、加持をする声が絶え間もなく聞こえていた。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
あれほど完全な
貴女
(
きじょ
)
がほかにもあるとは思われない。柔らかに弱々しくいらっしゃって、
気高
(
けだか
)
い品のよさがあの方のものだったのですからね。
源氏物語:20 朝顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
四歳
(
よっつ
)
ほどの年上であることを夫人自身でもきまずく恥ずかしく思っているが、美の整った女盛りの
貴女
(
きじょ
)
であることは源氏も認めているのである。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
六条の
貴女
(
きじょ
)
もどんなに
煩悶
(
はんもん
)
をしていることだろう、恨まれるのは苦しいが恨むのは道理であると、恋人のことはこんな時にもまず気にかかった。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
すぐれた
貴女
(
きじょ
)
がたであるが歌はお
上手
(
じょうず
)
でなかったのか、ほかのことに比べて
遜色
(
そんしょく
)
があるとこの御贈答などでは思われる。
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
女も今が青春の盛りの姿と見えた。
貴女
(
きじょ
)
らしい端厳さなどは欠けていたかもしれぬが、美しくて、
艶
(
えん
)
で、若々しくて男の心を十分に
惹
(
ひ
)
く力があった。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
明石は源氏が見るたびに美が完成されていくと思う容姿を持っていて、この人は
貴女
(
きじょ
)
に何ほども劣るところがない。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
少し
田舎
(
いなか
)
風なところが混じって見えるのにも、昔の恋人が着古したものを着ながらも
貴女
(
きじょ
)
らしい艶なところの多かったことの思い出される薫であった。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
風は
巌
(
いわ
)
も動かすという言葉に真理がある、慎み深い
貴女
(
きじょ
)
も風のために端へ出ておられて、自分に珍しい喜びを与えたのであると中将は思ったのであった。
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
美貌
(
びぼう
)
で、
貴女
(
きじょ
)
らしい貴女で、職責も十分に果たしうるような人物というお上の御註文どおりなのはあの人だと思う
源氏物語:30 藤袴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
源氏の恋人の六条
貴女
(
きじょ
)
の
邸
(
やしき
)
は大きかった。広い美しい庭があって、家の中は
気高
(
けだか
)
く
上手
(
じょうず
)
に住み
馴
(
な
)
らしてあった。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
霧の中にそれらが見えるのである。お座敷の中を通って吹いて来る風は侍従香の
匂
(
にお
)
いを含んでいた。
貴女
(
きじょ
)
の世界の心憎さが豊かに覚えられるお
住居
(
すまい
)
である。
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
端麗な
容貌
(
ようぼう
)
で、普通の美に
超
(
こ
)
えた姫君であった。姉君は静かな
貴女
(
きじょ
)
らしいところが見えて、容貌にも身のとりなしにもすぐれた品のよさのある女王であった。
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
盛りの美しさを備えた人が、いろいろな物思いのために少し
面痩
(
おもや
)
せのしたのもかえって
貴女
(
きじょ
)
らしい
艶
(
えん
)
な趣の添ったように見え、
総角
(
あげまき
)
の姫君にもよく似ていた。
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その人自身は最高の
貴女
(
きじょ
)
と言ってよいほどのりっぱな女ではあったが、始終おそばへお置きになろうとして、殿上で音楽その他のお催し事をあそばす際には
源氏物語:01 桐壺
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
自分の方角
除
(
よ
)
けとか、巧みな策略を作って、居所へうかがい寄ることもできるのであるが、これは言葉にも言われぬほどの深窓に隠れた
貴女
(
きじょ
)
なのであるから
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
妙齢になった姫君の
容貌
(
ようぼう
)
は母の夕顔よりも美しかった。父親のほうの筋によるのか、
気高
(
けだか
)
い美がこの人には備わっていた、性質も
貴女
(
きじょ
)
らしくおおようであった。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
柔らかな白を幾枚か重ねたからだつき、頭つき、後ろ姿は最高の
貴女
(
きじょ
)
というものもこうした
気高
(
けだか
)
さのあるものであろうと見えた。こぼれてくる涙を払いながら
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
雲井
(
くもい
)
の
雁
(
かり
)
はすっかり恥ずかしがっているのであったが、別れた時に比べてさらに美しい
貴女
(
きじょ
)
になっていた。
源氏物語:33 藤のうら葉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
これが美しい
貴女
(
きじょ
)
らしい手跡で書かれてあった。
河風
(
かわかぜ
)
も当代の親王、古親王の隔てを見せず吹き通うのであったから、南の岸の楽音は古宮家の人の耳を喜ばせた。
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
もったいない
貴女
(
きじょ
)
のふうに成人した姫君であったから、心苦しい存在なのであると夫人は思っていた。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
藤壺
(
ふじつぼ
)
の宮は足りない点もなく、才気の見えすぎる方でもないりっぱな
貴女
(
きじょ
)
であるとうなずきながらも、その人を思うと例のとおりに胸が苦しみでいっぱいになった。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
貴女
(
きじょ
)
として完全に近いほどの姫君なのであるから、このお歎きは至極道理なことと申さねばならない。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
女一
(
にょいち
)
の
宮
(
みや
)
のお相手として置くのによい
貴女
(
きじょ
)
と思召して、特別な御待遇を賜わって侍しているのであったが、お仕えする身であるかぎり、やはり宮の君などと言われ
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と言い、こちらを見上げた今一人にはきわめて奥ゆかしい
貴女
(
きじょ
)
らしさがあった。頭の形、髪のはえぎわなどは前の人よりもいっそう上品で、
艶
(
えん
)
なところもすぐれていた。
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
斎宮がどんなにりっぱな
貴女
(
きじょ
)
になっておいでになるであろうと、それを目に見たく思っていた。御息所は六条の旧邸をよく修繕してあくまでも高雅なふうに暮らしていた。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
六条の
貴女
(
きじょ
)
との関係も、その恋を得る以前ほどの熱をまた持つことのできない悩みがあった。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“貴女(
あなた
)”の解説
あなた(彼方、貴方、貴男、貴女)は、特定の人物を直接呼ぶ際に用いる日本語の人称名詞である。また、指示語の一つで、彼方(かなた、あなた、「遠くに在るもの」の意)にある様。此方(こなた、「近くに有るもの」の意)の対義語。
(出典:Wikipedia)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“貴女”で始まる語句
貴女方
貴女様
貴女等
貴女達