被下くだされ)” の例文
又此度は御奔走によりて縁談お纏め被下くだされ、御恩儀の程生々世々しょうじょうよよ忘却不仕ぼうきゃくつかまつらず、報謝の一端として後日御縁談の折犬馬の労を執り申上可もうしあぐべく候。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
盆栽の写真十八枚御贈り被下くだされ難有ありがたく奉存ぞんじたてまつり候。盆栽のことはわれわれ何も存ぜず候へども、定めて日々の御手入おていれも一方ならざる事と存候。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
もとよりいやしき身にて候得者さふらへばたとひ御手討に被成なされ候とも何かは苦しかるべきに、一命をお助け被下くだされし上は、かばかりの傷は物の数にても候はず
尚過日は沢山の御手当を頂戴仕り万々難有御礼申上候、来年は御健やかなる体を拝したく、是非御入湯被下くだされ候様御願申上候
仙人掌の花 (新字新仮名) / 山本禾太郎(著)
昨日は又、創作、『ほっとした話』一篇、御恵送被下くだされ厚く御礼申上候。来月号を飾らせていただきたく、お礼如此かくのごとくに御座候。諷刺文芸編輯部、五郎、合掌。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「雪の結晶の撮影に関する貴君の卓越せる技術を伝授被下くだされ、誠に感謝の至りに御座候ござそうろう」というのであった。
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それには、しかる上は健三離縁本籍と引替に当金——円御渡し被下くだされ、残金——円は毎月まいげつ三十日限り月賦にて御差入おさしいれのつもり御対談云々うんぬんと長たらしく書いてあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とてもの事に道楽の仕納しおさめには思ふさまつた妾宅建てたきもの何とぞ御暇おひまの節御意匠被下くだされまじくや。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
過日御示おしめし被下くだされそうろう貴著瘠我慢中やせがまんちゅう事実じじつ相違之廉そういのかどならぴ小生之しょうせいの所見しょけんもあらば云々との御意ぎょい致拝承はいしょういたしそうろう。昨今別而べっして多忙たぼうつきいずれ其中そのうち愚見ぐけん可申述もうしのぶべくそうろうまず不取敢とりあえず回音かいおん如此かくのごとくに候也。
私事むなしく相成候とも、決しての病にては無之これなく御前様おんまへさま御事おんこと思死おもひじに死候しにさふらふものと、何卒なにとぞ々々御愍おんあはれ被下くだされ其段そのだんはゆめゆめいつはりにては無御座ござなく、みづから堅く信じ居候事に御座候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
先頃さきごろ祖母様を新築の一室にうつしまつらんとせしとき祖母様三日も四日も啼泣ていきゅうし給ひしなど御考被下くだされ候はば、小生がにわかに答ふること出来ざる所以ゆえんも御解得なされ候ならんと存候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
然者しかれば、去明治十一年六月七日、再造新富座開業之節、貴下ニ於テ在東京外国人ヲ御招待、且御厚遇被下くだされ候儀ヲ同国人ニテ深ク礼謝致シ候段ヲ申述ベ、且又該時種々御親切被成下なしくだされ候寸報迄
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
尚々なほなほこの与右衛門よゑもん、御国へも可参まゐるべく候間、被成御心付おこころづけなされ候て被下くだされ候はゞ、可忝かたじけなく候、以上 其後者そのごは以書状不申上しよじやうをもつてまをしあげず背本意ほんいにそむき奉存候、拙者も今程、肥後国へ罷下まかりくだり、肥後守念比ねんごろニ申候ニ付而、逗留仕居候
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御蔭さまにて当方は一同無事に日を送り居り候。御安心被下くだされたく候。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かくの如き次第故薬も灸もその他の療養法も折角御教被下くだされ候事ながら小生には難施ほどこしがたき事と御承知可被下くださるべく候。ただ小生唯一の療養法は「うまい物を喰ふ」に有之候。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
二月七日の御手紙拝見仕候まずは過日の唐突なる願事御聞届被下くだされ候段深く感謝仕候その後森先生とも種々御打合せの御事と察し申候が何卒折角の壮挙ゆゑ三田の方御助力を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一寸ちょっと文呈上候。秋暑之処御安全慶賀之いたりに候。さて先般は御来車被下くだされかつ御土産に預り候所、足痛にて御目にかゝり不申もうさず、失礼致候。其後御書面にもあずかり候所、平臥へいがゆえ御無音申候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
それにればたとい先方にて懇望致され候とも其方様の思召おぼしめし如何いかがにやと存ぜられ候節も有之これあり格別惜しき縁談にては御座なく候ただ其許そこもと様始め皆々様に御足労相かけ候段何ともお気の毒様にて申訳も無之候末筆ながらくれぐれも雪子様へよろしく御伝言被下くだされたくお願い申上げ候
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
異論の人あらば何人なんぴとにても来訪あるやう貴兄より御伝へ被下くだされたく、三日三夜なりともつづけさまに議論可致いたすべく候。熱心の点においては決して普通の歌よみどもには負け不申候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
実例と申しても際限もなき事にて、いづれを取りて評すべきやらんとまどひ候へども、なるべく名高き者より試み可申候。御思おんおもひあたりの歌ども御知らせ被下くだされたく候。さて人丸ひとまろの歌にかありけん
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
諸方より手紙被下くだされ候諸氏へ一度に御返事申上候。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)