をぎ)” の例文
へやらぬまでむは、かぜをぎ尾花をばなのきひさしわたそれならで、あししろの、ちら/\と、あこがれまよゆめて、まくらかよ寢覺ねざめなり。よしそれとても風情ふぜいかな。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をぎ一四六尾花のたけ人よりもたかく生茂おひしげり、露は時雨めきて降りこぼれたるに、一四七三つのみちさへわからざる中に、堂閣の戸右左みぎひだりたふれ、方丈はうぢやう一四八庫裏くりめぐりたるらう
果敢はかなのやとうちあふげばそら月影つきかげきよし、ひぢせたる丸窓まるまどのもとにんのさゝやきぞかぜをぎともずり、かげごとかあはれはづかし、見渡みわた花園はなぞのるのにしきつきにほこりて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おほかたのをぎの葉過ぐる風の音もうき身一つにむここちして
源氏物語:28 野分 (新字新仮名) / 紫式部(著)
をぎすすき馬は馬づれこもらへば馬くさくして寄りがたからむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をぎすすき折れ伏す所
(新字旧仮名) / 末吉安持(著)
あらがみ束髮そくはつ薔薇ばらはなかざりもなき湯上ゆあがりの單衣ゆかたでたち、素顏すがほうつくしきなつ富士ふじひたひつきのこりて、をぎ秋風あきかぜふけどほたるねきし塗柄ぬりゑ團扇うちは面影おもかげはなれぬ貴公子きこうしあり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つゞいて、をぎはぎ上葉うははをやわたるらんとおもふは、盂蘭盆うらぼん切籠賣きりこうりこゑなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一一四簀垣すがき朽頽くちくづれたるひまより、をぎすすき高くおひ出でて、朝露うちこぼるるに、袖一一五湿ぢてしぼるばかりなり。壁にはつたくずひかかり、庭はむぐらうづもれて一一六秋ならねども野らなる宿なりけり。
ほのかにも軒ばのをぎをむすばずば露のかごとを何にかけまし
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
さ夜中に友よびわたる雁がねにうたて吹きそふをぎのうは風
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
をぎの葉に露吹き結ぶ秋風も夕べぞわきて身にはしみにける
源氏物語:54 蜻蛉 (新字新仮名) / 紫式部(著)