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舌皷
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したつゞみ
非常に
甘味い
菓子に
舌皷打ちつゝ、
稍や十五
分も
※たと
思ふ
頃、
時計は
午後の
六時を
報じて、
日永の五
月の
空も、
夕陽西山に
舂くやうになつた。
驚いて
來て
見ればもうこんな
始末である。
卯平も
泣いた。
彼は
煙管を
噛んでは
只舌皷を
打つて
唾を
嚥んだ。
勘次は
只泣いて
居た。
彼はお
品の
發病からどれ
程苦心して
其身を
勞したか
知れぬ。
勘次に
頼まれて
南の
亭主が
話をした
時に
卯平はどうしたものかと
案じた
程でもなく「
子奴等が
困るといへばどうでも
仕ざらによ、
仕ねえでどうするもんか」と
煙管を
手に
持つて
其の
癖の
舌皷を
其翌日は、
漂流以來はじめて
少し
心が
落付いて、
例の
雨水を
飮み、
沙魚の
肉に
舌皷打ちつゝ、
島影は
無きか、
滊船の
煙は
見へぬかと
始終氣を
配る、けれど
此日は
何物も
眼を
遮るものとてはなく