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じねん
ふりがな文庫
“
自然
(
じねん
)” の例文
これと云う句切りもなく
自然
(
じねん
)
に
細
(
ほそ
)
りて、いつの間にか消えるべき現象には、われもまた
秒
(
びょう
)
を縮め、
分
(
ふん
)
を
割
(
さ
)
いて、心細さの細さが細る。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
近代の
庸流
(
ようる
)
、おろかにして古風をしらず、先仏の伝受なきやから、あやまりていはく、仏法のなかに五宗の門風ありといふ。これ
自然
(
じねん
)
の衰微なり、これを
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
東金堂に
坐
(
おはし
)
ます仏法最初の釈迦の像、西金堂に坐ます
自然
(
じねん
)
湧出
(
ゆしゆつ
)
の観世音、
瑠璃
(
るり
)
を並べし四面の
廊
(
らう
)
、朱丹を交へし二階の楼、九輪空に輝きし二
基
(
き
)
の塔、
忽
(
たちま
)
ち煙となるこそ悲しけれ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
世を忘れ世に忘らるる身にしあれば甲斐なき友は
自然
(
じねん
)
に
去
(
さ
)
りぬ
閉戸閑詠
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
為事
(
しごと
)
のように、
自然
(
じねん
)
石を
直
(
すぐ
)
に自然石の上に9020
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
▼ もっと見る
自然
(
じねん
)
学院と称する私立感化院の応接室。
感化院の太鼓(二場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
自然
(
じねん
)
外道というのがそれです。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
こっちへ向き直って、自分を誘い出そうと
力
(
つと
)
める顔つきを見ると、頬骨の下が
自然
(
じねん
)
と落ち込んで、落ち込んだ肉が再び
顎
(
あご
)
の
枠
(
わく
)
で
角張
(
かくば
)
っている。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「かくの如く修行しゆく所に、
自然
(
じねん
)
に仏性現前の時節にあふ、時節至らざれば、参師問法するにも弁道工夫するにも現前せず」と考えるが、これは非常な
謬見
(
びゅうけん
)
である。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
同じ事を年に何度となく繰り返して行くうちに、
自然
(
じねん
)
と
末枯
(
すが
)
れて来る気の毒な女房の姿は、この男にとって
毫
(
ごう
)
も感傷の種にならないように見えた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うんと踏ん張る
幾世
(
いくよ
)
の金剛力に、岩は
自然
(
じねん
)
と
擦
(
す
)
り減って、引き懸けて行く足の裏を、安々と受ける段々もある。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なに
自然
(
じねん
)
に押して行けば世話はない」と
挟
(
はさ
)
まった人をやり過ごして、苦しいところを娘といっしょになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸の
向側
(
むこうがわ
)
に足音がしないから、通じないのかと思って、再び敲子に手を掛けようとする
途端
(
とたん
)
に、戸が
自然
(
じねん
)
と
開
(
あ
)
いた。自分は敷居から一歩なかへ足を踏み込んだ。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五寸の円の内部に
獰悪
(
どうあく
)
なる夜叉の顔を辛うじて残して、額際から顔の左右を残なく
填
(
うず
)
めて
自然
(
じねん
)
に円の
輪廓
(
りんかく
)
を形ちづくっているのはこの毛髪の蛇、蛇の毛髪である。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
所が前半には
其弊
(
そのへい
)
が
大分
(
だいぶん
)
少い。一種の空気がずつと貫いて陰鬱な色が
万遍
(
まんべん
)
なく
自然
(
じねん
)
に出てゐる。
此
(
この
)
意味に
於
(
おい
)
て著者が前篇
丈
(
だけ
)
を世に公けにするのは余の賛成する所である。
『煤煙』の序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
横に眺める噴火口が今度は
自然
(
じねん
)
に後ろの方に見えだした時、圭さんはぴたりと足を
留
(
と
)
めた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
黒い
片髭
(
かたひげ
)
が上唇を沿うて、
自然
(
じねん
)
と下りて来て、尽んとする
角
(
かど
)
から、急に
捲
(
ま
)
き返す。口は結んでいる。同時に黒い
眸
(
ひとみ
)
は眼尻まで
擦
(
ず
)
って来た。母と子はこの姿勢のうちに互を認識した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
長い廻廊をぐるぐる廻って、二つ三つ
階子段
(
はしごだん
)
を
上
(
のぼ
)
ると、
弾力
(
ばね
)
じかけの大きな戸がある。
身躯
(
からだ
)
の重みをちょっと寄せかけるや否や、音もなく、
自然
(
じねん
)
と身は大きなガレリーの中に
滑
(
すべ
)
り込んだ。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
仕立卸
(
したておろ
)
しの
紡績織
(
ばうせきおり
)
の
脊中
(
せなか
)
へ、
自然
(
じねん
)
と
浸
(
し
)
み
込
(
こ
)
んで
來
(
く
)
る
光線
(
くわうせん
)
の
暖味
(
あたゝかみ
)
を、
襯衣
(
しやつ
)
の
下
(
した
)
で
貪
(
むさ
)
ぼる
程
(
ほど
)
味
(
あぢは
)
ひながら、
表
(
おもて
)
の
音
(
おと
)
を
聽
(
き
)
くともなく
聽
(
き
)
いてゐたが、
急
(
きふ
)
に
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した
樣
(
やう
)
に、
障子越
(
しやうじご
)
しの
細君
(
さいくん
)
を
呼
(
よ
)
んで
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は、長蔵さんと主人との話を聞きながら、
居眠
(
いねむり
)
を始めた。いつから始めたか知らない。馬を
売損
(
うりそこな
)
って、どうとかしたと云うところから、だんだん
判然
(
はっきり
)
しなくなって、
自然
(
じねん
)
と長蔵さんが消える。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は
仕立
(
したて
)
おろしの
紡績織
(
ぼうせきおり
)
の背中へ、
自然
(
じねん
)
と浸み込んで来る光線の
暖味
(
あたたかみ
)
を、
襯衣
(
シャツ
)
の下で
貪
(
むさ
)
ぼるほど
味
(
あじわ
)
いながら、表の音を
聴
(
き
)
くともなく聴いていたが、急に思い出したように、障子越しの細君を呼んで
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
森の上には、黒い雲が杉の
梢
(
こずえ
)
に呼び寄せられて奥深く重なり合っている。それが
自然
(
じねん
)
の重みでだらりと上の方から
下
(
さが
)
って来る。雲の足は今杉の頭に
絡
(
から
)
みついた。もう少しすると、森の中へ落ちそうだ。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“自然”の解説
自然(しぜん、el: φύσις la: natura en: nature)について解説する。
(出典:Wikipedia)
自
常用漢字
小2
部首:⾃
6画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“自然”で始まる語句
自然薯
自然石
自然木
自然生
自然界
自然淘汰
自然物
自然法爾
自然現象
自然霊