臨終いまは)” の例文
我等は皆そのかみ横死を遂げし者なり、しかして臨終いまはにいたるまで罪人つみびとなりしが、この時天の光我等をいましめ 五二—五四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
両親あればやうにも成らじ物と、云ひたきは人の口ぞかし、思ふも涙は其方そちが母、臨終いまはの枕に我れを拝がみて。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆきよりしろく、透通すきとほむねに、すや/\といきいた、はいなやむだ美女たをやめ臨終いまはさまが、歴々あり/\と、あはれ、くるしいむなさきの、ゑりみだれたのさへしのばるゝではないか。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
生けるあひだ、その臨終いまはまで、その螺子ねぢ巻きき。人の世の真実の、この音の、つきつめにけり。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
のみねといと信實まめやか看病みとりなせども今ははや臨終いまはの近く見えければ夫婦ふうふ親子の別れのかなしさ同じ涙にふししばおこる日もなき燒野やけの雉子きゞす孤子みなしごになる稚兒をさなごよりすてゆく親心おやごころおもまくら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御気象ならいづ阿母おつかさんに立ちまさつて、彼様ああして世間よのなかの花とも、教会の光とも敬はれてらつしやるに、阿父おとうさんの御様子ツたら、まア何事で御座います、臨終いまはの奥様に御誓ひなされた神様への節操みさを
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
臨終いまはの時にもお年玉、思ひ出したりしてゐたのだ。
臨終いまはの念のごとくに打洩うちもら𤍠あつき涙の白金はくきん幾滴いくてき………
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
哀れなる臨終いまはこゑは、血の波のみづうみの岸
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
我は常に臨終いまはの如く呼吸いきぐるし
妄動 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
このしづかなる臨終いまは
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
臨終いまはなる鳥の惱みに。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
印旛沼の出水ふせぐと臨終いまはまでかしこみし人のよかりける酒 庄亮氏の祖父君のこと
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
哀れなる臨終いまはこゑは、血の波の湖の岸
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
あはれ、こは、臨終いまはの女詩人の如く
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なんだとヱりやうさんに失礼しつれいだがおへりあそばしていたゞきたいとあゝさうまをすよりやうさんおきゝのとほりですからとあはれやはゝきやうするばかりむすめは一呼吸こきふせまりてる/\顔色かほいろあほくはつゆたま今宵こよひはよもとおもふに良之助りやうのすけつべきこゝろはさらにもなけれど臨終いまはまでこゝろづかひさせんことのいとを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
臨終いまはまで我をたのめと沙汰せよと待ちまけし君をひとり死なしぬ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
花は臨終いまはの人の歎くごと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
臨終いまはのきはにさし伸べる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
執着しふちやくよ、臨終いまはの刹那
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)