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臥床
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ねどこ
ふりがな文庫
“
臥床
(
ねどこ
)” の例文
一時ごろに、浅井が
腕車
(
くるま
)
で帰って来るまで、お増は
臥床
(
ねどこ
)
に横になったり、起きて坐ったりして待っていた。時々下の座敷へも降りて見た。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
山の上には、大きな
熊
(
くま
)
が木の枝に
臥床
(
ねどこ
)
を作つて、
其所
(
そこ
)
で可愛い可愛い黒ちやん=人間なら赤ちやん=を育てゝ居ました。
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
手も、足も、だるかった。彼は
臥床
(
ねどこ
)
の上へ投出した足を更に投出したかった。土の中に
籠
(
こも
)
っていた虫と同じように、彼の
生命
(
いのち
)
は復た眠から
匍出
(
はいだ
)
した。
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
さてその夜は明日を楽しみにおのおの
臥床
(
ねどこ
)
にはいッたが、夏の始めとて夜の短さ、間もなく東が白んで夜が明けた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
威勢よく、(開けます)とやろうとする、その
扉
(
ひらき
)
の見当が附かぬから、
臥床
(
ねどこ
)
に片手
支
(
つ
)
いたなり、
熟
(
じっ
)
と
室
(
ま
)
の内を
眗
(
みまわ
)
しながら、耳を傾けると、それ切り物の
気勢
(
けはい
)
がせぬ。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
此の壁に
懸
(
か
)
けてある画にある様に、旅の宿屋の馬小屋で馬の
秣桶
(
かひばをけ
)
を、
臥床
(
ねどこ
)
になされたのです、
阿父
(
おとうさん
)
は貧しき大工で、基督も矢張り大工をなされたのです——
能
(
よ
)
く御聴きなさい
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
臥床
(
ねどこ
)
に入ると、爪先から脈の音が聴えるようになりましたが、そうするとお母ろが、
毛孔
(
けあな
)
から海の匂いを吹き入れてくれて、すっかり雲のように、わっしを包んでくれるんですよ
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
臥床
(
ねどこ
)
の中から手を伸して枕もとに近い窓の幕を片よせると、朝日の光が軒を
蔽
(
おお
)
う
椎
(
しい
)
の茂みにさしこみ、垣根際に立っている柿の木の、取残された柿の実を
一層
(
ひとしお
)
色濃く照している。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
臥床
(
ねどこ
)
に、その休息の生活に、これらの
溌剌
(
はつらつ
)
としたしかも疲れてる小さな身体を、鈍らず満ち足らずしかも生きることに活発
貪欲
(
どんよく
)
なこれらの魂を、置いてみたらと彼は考えた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
二時となり三時となっても話は綿々として尽きないで、
余
(
あんま
)
り遅くなるからと
臥床
(
ねどこ
)
に横になって、蒲団の中に
潜
(
もぐ
)
ずり込んでしまってもなおこのまま
眠
(
ね
)
てしまうのが惜しそうであった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
怠惰屋
(
なまけや
)
は
決
(
けつ
)
して
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
らない、たゞ
一度
(
いちど
)
、
草
(
くさ
)
の
臥床
(
ねどこ
)
の
中
(
なか
)
から
間
(
ま
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
聲
(
こゑ
)
を
張上
(
はりあ
)
げて
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
やがて桟橋を離れて大海原に
浮
(
うか
)
むと
又
(
また
)
涼風が
膚
(
はだえ
)
にしみて寒い
位
(
くらい
)
である。私は
臥床
(
ねどこ
)
にはいる。朝七時半起床。もう
佐田
(
さた
)
の岬がそこに見え、九州の佐賀関の
久原
(
くはら
)
の製煉所の煙突を見る所まで来ている。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
遊びに
倦
(
う
)
みつかれたような浅井には、幾夜ぶりかで寝る、広々した自分の
寝室
(
ねま
)
の
臥床
(
ねどこ
)
に手足を伸ばすのが心持よかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そんなことを言つて夜中に私が泣きますと、お婆さんは
臥床
(
ねどこ
)
から
身
(
からだ
)
を起して、傷み腫れた私の足を叩いて呉れました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
特
(
こと
)
に
炬燵
(
こたつ
)
が
出来
(
でき
)
て
居
(
ゐ
)
たから
私
(
わたし
)
は
其
(
その
)
まゝ
嬉
(
うれ
)
しく
入
(
はい
)
つた。
寐床
(
ねどこ
)
は
最
(
も
)
う一
組
(
くみ
)
同一
(
おなじ
)
炬燵
(
こたつ
)
に
敷
(
し
)
いてあつたが、
旅僧
(
たびそう
)
は
之
(
これ
)
には
来
(
きた
)
らず、
横
(
よこ
)
に
枕
(
まくら
)
を
並
(
なら
)
べて、
火
(
ひ
)
の
気
(
け
)
のない
臥床
(
ねどこ
)
に
寐
(
ね
)
た。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
抱擁すべき何物もない一晩の
臥床
(
ねどこ
)
は、長いあいだの勤めよりも
懈
(
だる
)
く苦しかった。太鼓や
三味
(
しゃみ
)
の音も想い出された。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
特に
炬燵
(
こたつ
)
が出来ていたから私はそのまま
嬉
(
うれ
)
しく入った。寝床はもう一組おなじ炬燵に
敷
(
し
)
いてあったが、旅僧はこれには
来
(
きた
)
らず、横に枕を並べて、火の気のない
臥床
(
ねどこ
)
に寝た。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
直樹は三吉夫婦と一緒に食卓に
対
(
むか
)
っても、
絶間
(
とめど
)
がなく涙が流れるという風であった。その晩は三人とも早く
臥床
(
ねどこ
)
に就いたが、互におちおち眠られなかった。直樹は三吉と枕を並べてしくしくやりだす。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
おゆうが
俥
(
くるま
)
で飛込んでいった時、
生家
(
さと
)
ではもう
臥床
(
ねどこ
)
に入っていたが、おゆうはいきなり昔し堅気の
頑固
(
がんこ
)
な父親に、頭から
脅
(
おどか
)
しつけられて、一層
突
(
つき
)
つめた気分で家を出た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“臥床”の意味
《名詞》
臥床 (がしょう)
床につくこと。
病気により寝込むこと。
寝床。
《動詞》
横になる。
病気により寝込む。
(出典:Wiktionary)
臥
漢検準1級
部首:⾂
8画
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
“臥床”で始まる語句
臥床辺