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肩越
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かたごし
ふりがな文庫
“
肩越
(
かたごし
)” の例文
火縄を取つて、うしろ
状
(
ざま
)
の、
肩越
(
かたごし
)
に、ポン、と投げると、杉の枝に挟まつて、ふつと消えたと思つたのが、めら/\と赤く
燃上
(
もえあが
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
はや足音は次の間に
来
(
きた
)
りぬ。母は
慌
(
あわ
)
てて出迎に
起
(
た
)
てば、一足遅れに
紙門
(
ふすま
)
は外より開れて
主
(
あるじ
)
直行の高く幅たき
躯
(
からだ
)
は
岸然
(
のつそり
)
とお峯の
肩越
(
かたごし
)
に
顕
(
あらは
)
れぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
代助は
一寸
(
ちよつと
)
話
(
はなし
)
を
已
(
や
)
めて、
梅子
(
うめこ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、
窓掛
(
まどかけ
)
の
間
(
あひだ
)
から、奇麗な
空
(
そら
)
を
透
(
す
)
かす様に見てゐた。遠くに大きな
樹
(
き
)
が一本ある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
袖も
靡
(
なび
)
く。……山嵐
颯
(
さっ
)
として、白い雲は、その
黒髪
(
くろかみ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、裏座敷の崖の
欄干
(
てすり
)
に掛って、水の落つる如く、
千仭
(
せんじん
)
の谷へ流れた。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、
田
(
た
)
のへりを、
雪
(
ゆき
)
が
装上
(
もりあが
)
るやうに、
且
(
か
)
つ
雫
(
しづく
)
さへしと/\と……
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
判然
(
はつきり
)
と
見
(
み
)
えたのは、
咲
(
さ
)
きむらがつた
真白
(
まつしろ
)
な
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
である。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
抱
(
だ
)
いても
腕
(
うで
)
に
乗
(
の
)
つたのに……と
肩越
(
かたごし
)
に
見上
(
みあ
)
げた
時
(
とき
)
、
天井
(
てんじやう
)
の
蔭
(
かげ
)
に
髪
(
かみ
)
も
黒
(
くろ
)
く
上
(
うへ
)
から
覗込
(
のぞきこ
)
むやうに
見
(
み
)
えたので、
歴然
(
あり/\
)
と、
自分
(
じぶん
)
が
彫刻師
(
てうこくし
)
に
成
(
な
)
つた
幼
(
おさな
)
い
時
(
とき
)
の
運命
(
うんめい
)
が、
形
(
かたち
)
に
出
(
で
)
て
顕
(
あら
)
はれた……
雨
(
あめ
)
も
此
(
こ
)
の
朧夜
(
おぼろよ
)
を
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「わツ、」と
叫
(
さけ
)
んで、
其
(
そ
)
の
咽喉
(
のど
)
を
掴
(
つか
)
んだまゝ、
投
(
な
)
げ
附
(
つ
)
けやうとして
振挙
(
ふりあ
)
げた
手
(
て
)
の、
筋
(
すぢ
)
が
釣
(
つ
)
つて
棒
(
ぼう
)
の
如
(
ごと
)
くに
衝
(
つ
)
と
挙
(
あ
)
げると、
女
(
をんな
)
の
像
(
ざう
)
は
鶴
(
つる
)
のやうに、ちら/\と
髪
(
かみ
)
黒
(
くろ
)
く、
青年
(
わかもの
)
の
肩越
(
かたごし
)
に
翼
(
つばさ
)
を
乱
(
みだ
)
して
飜
(
ひるがへ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
床几
(
しやうぎ
)
の
娘
(
むすめ
)
も
肩越
(
かたごし
)
に
衝
(
つ
)
と
振向
(
ふりむ
)
いた。
一同
(
いちどう
)
、
熟
(
じつ
)
と
二人
(
ふたり
)
を
見
(
み
)
た。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
肩
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
“肩”で始まる語句
肩
肩衣
肩胛骨
肩掛
肩肘
肩章
肩肱
肩身
肩書
肩先