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素振
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そぶ
ふりがな文庫
“
素振
(
そぶ
)” の例文
絵を描いてくれれば、卵も食わせるし、煙草も吸わせるというような
素振
(
そぶ
)
りを見せる。だがわしは、そんなことをされると、かえって描かん。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その犠牲になっているのだぞという
素振
(
そぶ
)
りを、彼は機会あるごとに言葉にも動作にも現わした。それは清逸の心を暗くした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
又その
素振
(
そぶ
)
りや
物腰
(
ものごし
)
には何かしら相手の好意と知遇に
阿
(
おも
)
ねるようなところがある。彼が笑うととてもチャーミングで、髪は薄色で、眼は蒼かった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
ところで、いちばん初め、旦那様の
素振
(
そぶ
)
りに変なところの見えだしましたのは奥様の御葬儀がおすみになりましてから、三日目のことでございました。
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
外
(
ほか
)
の人間に此れ程軽蔑されたらば、己はきっと腹を立てるのだが、お嬢さんの斯う云う傲慢な
素振
(
そぶ
)
りを見ると、
却
(
かえ
)
ってます/\頭が下るような気がした。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
わたくしをだん/\避けて行く葛岡の
素振
(
そぶ
)
り、
凜々
(
りり
)
しい運動の時間とは打って変って女らしさを見せる安宅先生。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それまでは口争い一つしたことのない四人の外人の方も、しだいに言葉数が少なくなって、お互いに警戒するような
素振
(
そぶ
)
りが日増しに募ってゆきました。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
紳士であると思えばこそ
世心
(
よごころ
)
知らぬ彼女もしたがっていたのであろうが、長い月日のうちには
素振
(
そぶ
)
りのあやしげなのが仲間うちから
噂
(
うわさ
)
されるようになった。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「どうしてああいう
素振
(
そぶ
)
りをするのか僕にはわからんねえ」と清三が笑いながら言うと、「しっかりしなくっちゃいかんよ、君」と郁治は声をあげて笑った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
よけいに心を
傷
(
いた
)
めて、病室にこの過失を知らすまいと努めたのであったが、ひとつ館のうちの出来事ではあるし、そこへ呼ばれてきた
侍女
(
こしもと
)
の
素振
(
そぶ
)
りにも不審が見えたので
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らは私たちの「逆廻り」を、うさんくさそうな
傍目
(
わきめ
)
を使って、あわれむが如き
素振
(
そぶ
)
りでゆき過ぎた。サッとかき曇った空模様は、何かのたたりを暗示するように思わせた。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
嫌うような
素振
(
そぶ
)
りをするのであろう……噂によればこの夜頃、鳰鳥のもとへは
縹緻
(
きりょう
)
のよい『紫の君』などと
綽名
(
あだな
)
を呼ぶ、若衆が通って来るそうだが、それに
現
(
うつつ
)
を抜かしていて
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
……どうしてって
素振
(
そぶ
)
りが第一
訝
(
おか
)
しいじゃないか。
生娘
(
きむすめ
)
の癖に、亭主持ちの真似をして、一年近くも物凄い
廃屋
(
あばらや
)
に納まっているなんてナカナカ義理や物好きでは出来るものじゃないよ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
女巡礼に恋慕せらる そのうちの歳のいかない娘が非常に思いを深くしたものと見えて、私に対して
訝
(
おか
)
しな怪しい
素振
(
そぶ
)
りが大分見えて来たです。ですから、私はその意中をじきに察しました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そうしてそれぞれ失礼のないようにお迎え申したけれど、ここに奇怪なのはお絹の
素振
(
そぶ
)
りでありました。この時、お絹はもう昨夜の災難のことなどは、ケロリと忘れてしまっているようでした。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、彼等は——少くとも妻は、僕のこう云う
素振
(
そぶ
)
りに感づくと、僕が今まで彼等の関係を知らずにいて、その頃やっと気がついたものだから、
嫉妬
(
しっと
)
に駆られ出したとでも解釈してしまったらしい。
開化の良人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
知
(
し
)
らぬ
身
(
み
)
のお
八重
(
やへ
)
が
素振
(
そぶ
)
り
得
(
ゐ
)
も
察
(
さつ
)
せず
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
や
我身
(
わがみ
)
大事
(
だいじ
)
にかけるとて
痩
(
や
)
せ
見
(
み
)
ゆるほど
心配
(
しんぱい
)
させし
和女
(
そなた
)
の
情
(
なさけ
)
は
忘
(
わす
)
れぬなり
左
(
さ
)
りながら
如何
(
いか
)
ほど
盡
(
つ
)
くしてくるゝ
共
(
とも
)
なるまじき
願
(
ねが
)
ひぞとは
漸〻
(
やう/\
)
に
斷念
(
あきらめ
)
たり
夫
(
それ
)
につきて
又
(
また
)
別
(
べつ
)
に
父樣
(
と さま
)
母
(
はゝ
)
さまへの
御願
(
おねが
)
ひあれど
御
(
お
)
二
タ
方
(
かた
)
なり
和女
(
そなた
)
なりに
歎
(
なげ
)
きを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
後からきけば
種々
(
いろいろ
)
と、
平常
(
ふだん
)
に変ったことが多くあったのである。抱月氏でなくとも、彼女を愛する肉親か、女友達があったならその
素振
(
そぶ
)
りを見逃がさなかったであろう。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかるにこの日招かれて来て、そうして彼女に会って見て、そうして彼女から
卒直
(
いっぽんぎ
)
の恋の
素振
(
そぶ
)
りを見せられて、始めて彼は身を焼くような恋の思いに捉えられた。彼は彼女に
唆
(
そそ
)
られたのである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これはちょうど
音頭
(
おんど
)
取りのようなものです。だがその鐃鉢を打ちながら踊り廻る様子の活発で、またその
素振
(
そぶ
)
りの面白い事は、他の国の舞曲とかダンスとかいうようなものとは余程違って居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
今になってから初めごろのことだんだん思い出してみますと、あの観音様のモデルのことでやかましい
噂
(
うわさ
)
立った時分、光子さんかて私がどんな気持でいたか大方
素振
(
そぶ
)
りでも察しついてたですやろし
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、テレた顔を上げて、
見恍
(
みと
)
れるような
素振
(
そぶ
)
りをしたりしていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素気
素朴
素足
素姓
素破
素裸