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磬
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けい
ふりがな文庫
“
磬
(
けい
)” の例文
ちょうどその
季節
(
きせつ
)
でありました。
遠
(
とお
)
い、あちらにあたって、カン、カン、カンカラカンノカン、……という
磬
(
けい
)
の
音
(
おと
)
がきこえてきました。
海ほおずき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
叔父御よりも甥の殿の方がまだしもの果報があると思いながら、香を
手向
(
たむ
)
けて去ろうとすると、
入違
(
いれちが
)
いに来て
磬
(
けい
)
を打つ参詣者があった。
秋の修善寺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
先師が衛に滞在中、ある日
磬
(
けい
)
をうって楽しんでいられた。その時、もつこをかついで門前を通りがかった男が、いった。——
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
空を踏むがごとく、雲を行くがごとく、水中に
磬
(
けい
)
を打つがごとく、
洞裏
(
とうり
)
に
瑟
(
しつ
)
を
鼓
(
こ
)
するがごとく、
醍醐
(
だいご
)
の妙味を
甞
(
な
)
めて
言詮
(
ごんせん
)
のほかに
冷暖
(
れいだん
)
を
自知
(
じち
)
するがごとし。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
このとき、はや衆僧は、
如海
(
にょかい
)
に引率されて、奥の法要の道場へ乗込んでいた。
香煙
(
こうえん
)
るると
磬
(
けい
)
を合図に
礼拝
(
らいはい
)
する。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
樋の口から石に落ちる点滴が、長い
間
(
ま
)
を置いて、
磬
(
けい
)
を打つような響をさせている。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
糀街
(
こうじまち
)
」と
唐文字
(
からもじ
)
を
刺繍
(
ぬいとり
)
した
唐幡
(
とうばん
)
と
青龍幡
(
せいりゅうばん
)
を先にたて、
胡弓
(
こきゅう
)
、
蛇皮線
(
じゃびせん
)
、
杖鼓
(
じょうこ
)
、
磬
(
けい
)
、チャルメラ、
鉄鼓
(
てっこ
)
と、
無闇
(
むやみ
)
に吹きたて叩きたて、耳も
劈
(
つんざ
)
けるような異様な音でけたたましく囃してゆく。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
沈南蘋
(
ちんなんぴん
)
の花鳥、花生けは、
宋窯
(
そうよう
)
の水の垂れるような青磁、
磬
(
けい
)
が掛っていたが、その幅が二尺あまりもあって、そのいずれを見ても、闇太郎の鑑識眼では、上乗無類、値打の程も底知れぬものだ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
けたたましい題目と
磬
(
けい
)
の音とが、耳に乱入して来るのを聞きました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
斯くは
生
(
お
)
ひてふりわけ髪の世も知らず古りし
磬
(
けい
)
うつ
深院
(
しんゐん
)
のひと
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
千山のゆふべの峰の大安寺
磬
(
けい
)
の音ぞする岩の寒きに
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
楞厳
(
りょうごん
)
を
閲
(
けみ
)
し
罷
(
や
)
んで
磬
(
けい
)
も
敲
(
たた
)
くに
懶
(
ものう
)
し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
短夜
(
みじかよ
)
の
鉦鼓
(
しょうこ
)
にまじる
磬
(
けい
)
の音
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
伽藍
(
がらん
)
の
朝
(
あさ
)
は
磬
(
けい
)
の
音
(
ね
)
に
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
古き
磬
(
けい
)
を打ち
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
叔父御よりも
甥
(
おい
)
の殿の方がまだしもの果報があると思いながら、香を
手向
(
たむ
)
けて去ろうとすると、入れ違いに来て
磬
(
けい
)
を打つ参詣者があった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
十名ほどの僧が出て、背をならべて、
誦経
(
ずきょう
)
していた。
磬
(
けい
)
の
音
(
ね
)
が、谷までひびいて行った。そして、谷間からも、
経
(
きょう
)
の声と、磬の音が、
谺
(
こだま
)
になって返ってきた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子
磬
(
けい
)
を衞に撃つ、
簣
(
き
)
を荷いて孔子の門を過ぐる者あり。曰く、心あるかな磬を撃つやと。既にして曰く、
鄙
(
ひ
)
なるかな
硜硜乎
(
こうこうこ
)
硜たり。己を知るなくんば、斯れ已まんのみ。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
カン、カン、カンカラカンノカン、……と
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
に、
遠
(
とお
)
く
磬
(
けい
)
をたたく
音
(
おと
)
がきこえていました。
海ほおずき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
磬
(
けい
)
を打って
入室相見
(
にゅうしつしょうけん
)
の時、足音を聞いただけで、公案の
工夫
(
くふう
)
が出来たか、出来ないか、手に取るようにわかるものじゃと云った
和尚
(
おしょう
)
がある。気の引けるときは歩き方にも現われる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
坂を降りて左側の鳥居を
這入
(
はい
)
る。
花崗岩
(
みかげいし
)
を敷いてある道を根津神社の方へ
行
(
ゆ
)
く。下駄の
磬
(
けい
)
のように鳴るのが、
好
(
い
)
い心持である。
剥
(
は
)
げた木像の据えてある
随身門
(
ずいじんもん
)
から内を、古風な
瑞籬
(
たまがき
)
で囲んである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
うす暗い本堂の
内陣脇
(
ないじんわき
)
で、一人の中年僧が、お勤めをしていたのだが、ふつうの
勤行
(
ごんぎょう
)
と違い、その僧は
木魚
(
もくぎょ
)
、
鉦
(
かね
)
、
磬
(
けい
)
、太鼓、
鐘
(
しょう
)
の五ツぐらいな楽器を身のまわりにおき
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はしばしば詩を吟じ、
瑟
(
しつ
)
を弾じ、
磬
(
けい
)
を撃った。今日も彼は、一人で朝から磬を撃っていたが、その音は、門外にひびいて、水晶の玉がふれあうように、澄んだ空気の中を流れていた。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
お
祭
(
まつ
)
りの
日
(
ひ
)
になりました。
磬
(
けい
)
の
音
(
おと
)
が
遠
(
とお
)
くあちらできこえました。
海ほおずき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
天井からは
鰐口
(
わにぐち
)
や
磬
(
けい
)
が枯れた
釣荵
(
つりしのぶ
)
と一しょに下がっている。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鐘、
磬
(
けい
)
の音——そして、
明々
(
あかあか
)
と、つぎ直された
灯
(
あか
)
しに、蓮華が、ひらひらと、
撒
(
ま
)
かれていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楽官補佐の
陽
(
よう
)
と、
磬
(
けい
)
打ち役の
襄
(
じょう
)
とは海をこえて島に逃げた。
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
はや
菩提寺
(
ぼだいじ
)
からは、法事の諸道具、仏器一切が運び込まれていたから、
石秀
(
せきしゅう
)
は寺男とともに、祭壇をくみたて、仏像、燈明、
御器
(
ごき
)
、
鉦
(
かね
)
、太鼓、
磬
(
けい
)
、
香華
(
こうげ
)
などをかざりたてたり
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
磬
(
けい
)
の
音
(
ね
)
ひとつ洩れないで
更
(
ふ
)
けてゆく
伽藍
(
がらん
)
の下には、ただ、水底のような夜気があった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“磬”の意味
《名詞》
(ケイ)中国古代の打楽器
(キン)読経の際に打ち鳴らす仏具。
(出典:Wiktionary)
“磬”の解説
磬(けい)は、中国古代の体鳴楽器で、「ヘ」の字形をした石(または玉・銅)製の板を吊りさげて、バチで叩いて音を出す。一枚だけからなる「特磬」と、複数の磬を並べて旋律を鳴らすことができるようにした「編磬」があるが、後者が一般的である。
八音のひとつである「石」にあたるため、古代以降にも中国の雅楽では使われ続けた。
(出典:Wikipedia)
磬
漢検1級
部首:⽯
16画
“磬”を含む語句
磬石
出磬
出磬山
寒磬寺
玉磬
磬叩
磬折
編磬
華原磬
金磬石
鉦磬
鐸磬