よっ)” の例文
これは母の言うところよって迷信をおさえ神経を静める方法もあろうかと思ったからです。すると母はしばらく考えてましたが、吐息といきをして声をひそ
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かくに自分のがんに掛けて居たその願が、天の恵み、祖先の余徳によって首尾く叶うたことなれば、私のめには第二の大願成就とわねばならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
母としてのみでなく、精神肉体両方のあらゆる労働によって、男子との協同生活が豊かに出来る事を知りましたから、たとい結婚は不可能であるにしても
女子の独立自営 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
それ故に椿岳の生涯は普通の画人伝や畸人伝よりはヨリ以上の興味に富んで、過渡期の畸形的文化の特徴が椿岳によって極端に人格化された如き感がある。
神はその独子ひとりごを賜うほどに世の人を愛し給えりという事は、人間の智慧を以てしては到底解らない。天然研究貴しといえども、神のいかなる者なるかはこれによっては解らない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
それが夫婦の場合ならば必ずその趣味によって相和して行かれるものだと、私は自分の経験から堅く信じております。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
尤も美男を定める標準にも色々あろうし、人によっての好き不好きもあろうが、如何なる点のからい人でも眉山の美貌には百点近くを決しておしまないだろう。
故に我輩は単に彼等の迷信を咎めずして、其よっきたる所の原因を除く為めに、文明の教育を勧むるものなり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
馬の顔をはすに見た処で、無論少年の手には余る画題であるのを、自分はこの一挙によって是非志村に打勝うちかとうという意気込だから一生懸命、学校から宅に帰ると一室にこもって書く
画の悲み (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ヨブは信仰によって友を蹴破しゅうはして終るべきではなかった。愛を以て友を赦して終るべきであった。彼はなおこの上学ぶ所があって、ついに愛を以て友をゆるし得るに至らねばならぬ。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
これは近頃もっぱら事実を尊ばれる小説家の微妙な観察によっくわしく描写していただいたならば明白になるかも知れません。
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
芸術即生活は椿岳によって真に実現されたので、椿岳の全生活は放胆自由な椿岳の画そのままの全芸術であった。
その次第しだいは前にいえるごとく、氏の尽力じんりょくを以ておだやかに旧政府をき、よっもって殺人散財さんざいわざわいまぬかれたるその功はにして大なりといえども、一方より観察をくだすときは
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
『あいびき』の訳文の価値は人によって区々の議論があろうが、苦辛惨澹さんたんは実に尋常一様でなかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
教育によってとにもかくにも理智の目のきかけた今日の婦人が従来の外圧的貞操に懐疑をさしはさ
私の貞操観 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
およそ人の志はその身の成行なりゆき次第によって大きくもなり又小さくもなるもので、子供の時に何を言おうと何を行おうと、その言行が必ずしも生涯の抵当になるものではない、唯先天の遺伝
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
皆が皆結婚によって幸福の得られない現代に、「女は結婚すべきものだ」というような役に立たない旧式な概論にうごかされる事なく、結婚もしよう、しかしそれが不可能なら
女子の独立自営 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
く見ると余り男振おとこぶりではなかったが、この“Sneer”がひげのない細面ほそおもてみなぎるとにわかき活きと引立って来て、人によっては小憎らしくも思い、気障きざにも見えたろうが
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
百千年来蛮勇狼藉の遺風に籠絡せられて、わずかに外面の平穏を装うといえども、蛮風断じて永久の道に非ず。我輩は其所謂いわゆる女子敗徳のよっきたる所の原因をあきらかにして、文明男女の注意をうながさんと欲する者なり。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そうして男は妻妾以外に娼婦との触接によってその性欲の好新欲を満足させるのであった。
私娼の撲滅について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
看方みかたよってはこの遊戯気分が都会文芸の一要素となってるので、永井荷風ながいかふう小山内薫おさないかおるや夏目漱石の提撕ていせいを受けた三田派や人生派の芸術も著るしくこの戯作者的気分を持っている。
如何いかなる意見が交換されたかは今なお不明であって、先年追悼会の席上後藤男自らの口からもその談話の内容を発表する事は出来ぬといわれたが、くこの会見によって男爵の知遇を得
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
おぼながらも人生と交渉する厳粛な森厳な意味を文学に認めるようになったのはこの初対面によって得た二葉亭の賜物であって、誰に会った時よりも二葉亭との初対面が最も深い印象を残した。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
その性格の一部が古川によって作られたのは争われない。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)