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狭苦
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せまくる
ふりがな文庫
“
狭苦
(
せまくる
)” の例文
旧字:
狹苦
顔は
下膨
(
しもぶくれ
)
の
瓜実形
(
うりざねがた
)
で、豊かに落ちつきを見せているに引き
易
(
か
)
えて、
額
(
ひたい
)
は
狭苦
(
せまくる
)
しくも、こせついて、いわゆる
富士額
(
ふじびたい
)
の
俗臭
(
ぞくしゅう
)
を帯びている。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一人
(
ひとり
)
の
娘
(
むすめ
)
は、
狭苦
(
せまくる
)
しい
自動車
(
じどうしゃ
)
の
内
(
うち
)
で、
客
(
きゃく
)
にもまれて、
切符
(
きっぷ
)
をはさむ
間
(
あいだ
)
も、
花屋
(
はなや
)
の
店
(
みせ
)
さきにあった、
水草
(
みずくさ
)
の
黄色
(
きいろ
)
な
花
(
はな
)
を
心
(
こころ
)
の
目
(
め
)
に
思
(
おも
)
い
浮
(
う
)
かべていました。
ガラス窓の河骨
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
後
(
うしろ
)
の
隅々
(
すみ/″\
)
についてゐる
瓦斯
(
ガス
)
の
裸火
(
はだかび
)
の光は一ぱいに
詰
(
つま
)
つてゐる見物人の頭に
遮
(
さへぎ
)
られて非常に暗く、
狭苦
(
せまくる
)
しいので、
猿
(
さる
)
のやうに人のつかまつてゐる
前側
(
まへがは
)
の鉄棒から
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
保吉
(
やすきち
)
の海を知ったのは五歳か六歳の頃である。もっとも海とは云うものの、
万里
(
ばんり
)
の大洋を知ったのではない。ただ
大森
(
おおもり
)
の海岸に
狭苦
(
せまくる
)
しい
東京湾
(
とうきょうわん
)
を知ったのである。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかるに何事についても消極的に世に
処
(
しょ
)
すれば、どれほど広き世間もただただ
狭苦
(
せまくる
)
しくなるのみで
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
「
何
(
なに
)
を
仰
(
おっ
)
しゃいます。
狭苦
(
せまくる
)
しゅうはござりますが、
御辛抱
(
ごしんぼう
)
しやはりまして。……」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「へえ、よろしゅうございます、こんな
狭苦
(
せまくる
)
しいところでございますが」
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たしかにこれは、
狭苦
(
せまくる
)
しい
管
(
くだ
)
や小さい
煖炉
(
だんろ
)
の中を
這
(
は
)
いずりまわるのとは、いささかわけが
違
(
ちが
)
っていました。そよ風がすがすがしく
吹
(
ふ
)
いていました。町じゅうが緑の森のあたりまで見わたせました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
よし子は障子を
閉
(
た
)
てゝ、枕元へ
坐
(
すは
)
つた。六畳の座敷が、取り
乱
(
みだ
)
してある
上
(
うへ
)
に、
今朝
(
けさ
)
は
掃除
(
さうじ
)
をしないから、
猶
(
なお
)
狭苦
(
せまくる
)
しい。女は、三四郎に
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
手
(
て
)
に、ケースを
下
(
さ
)
げて、
不案内
(
ふあんない
)
の
狭苦
(
せまくる
)
しい
町
(
まち
)
の
中
(
なか
)
へはいりました。
道
(
みち
)
も、
屋根
(
やね
)
も、一
面
(
めん
)
雪
(
ゆき
)
におおわれていました。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
とうとう
男
(
おとこ
)
は、
悪
(
わる
)
いことをしたために、
捕
(
と
)
らえられて
牢屋
(
ろうや
)
へいれられてしまいました。いままで、
自由
(
じゆう
)
に、
大空
(
おおぞら
)
の
下
(
した
)
を
歩
(
ある
)
いていたものを
狭苦
(
せまくる
)
しい
牢屋
(
ろうや
)
の
中
(
なか
)
で
送
(
おく
)
らなければならなかったのでした。
おけらになった話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
円顔
(
まるがお
)
の
目
(
め
)
のくるりとした
男
(
おとこ
)
が、
白
(
しろ
)
い
上着
(
うわぎ
)
を
被
(
き
)
て、ただ
一人
(
ひとり
)
控
(
ひか
)
えていましたが、めったに
客
(
きゃく
)
の
入
(
はい
)
っているのを
見
(
み
)
ませんでした。なんとなく、みすぼらしく、それに
狭苦
(
せまくる
)
しい
感
(
かん
)
じがしたからでしょう。
子供の床屋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
くずかごの
中
(
なか
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
く、それに
息
(
いき
)
づまるように
狭苦
(
せまくる
)
しくありました。ただ、そこにいる
間
(
あいだ
)
は、なつかしいお
嬢
(
じょう
)
さんの
唄
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
いたのでありましたが、その
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ることはできませんでした。
風の寒い世の中へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
狭
常用漢字
中学
部首:⽝
9画
苦
常用漢字
小3
部首:⾋
8画
“狭”で始まる語句
狭
狭隘
狭間
狭霧
狭斜
狭山
狭量
狭衣
狭田
狭長