けふ)” の例文
さもうれしげにうなづくと見えしがけふりのごとくきえうせ、月は皎々けう/\として雪をてらせり。
けふりをいてみゝつればをりから此室こゝのきばにうつりて妻戀つまごひありくねここゑ、あれはたまではるまいか、まあ此霜夜このしもよ屋根傳やねづたひ、何日いつかのやうなかぜひきにりてるしさうなのどをするのでらう
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ありしは何時いつの七せき、なにとちかひて比翼ひよくとり片羽かたはをうらみ、無常むじようかぜ連理れんりゑだいきどほりつ、此處こヽ閑窓かんさうのうち机上きじやう香爐かうろえぬけふりのぬしはとへば、こたへはぽろり襦袢じゆばんそでつゆきて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つま冥途めいどにさきだてひとあとにのこり、かそけきけふりさへ立かねたれば、これよりちかき五十嵐村いがらしむら由縁ゆかりものあるゆゑたすけをこはんとてこの橋をわたりかゝり、あやまちて水に入り溺死おぼれしゝたるもの也
到底とてもこれに相續は石油藏へ火を入れるやうな物、身代けふりと成りて消え殘る我等何とせん、あとの兄弟も不憫と母親、父に讒言ざんげんの絶間なく、さりとて此放蕩子これを養子にと申受る人此世にはあるまじ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
到底とてもこれに相續そうぞく石油藏せきゆぐられるやうなもの身代しんだいけふりとりてのこ我等われらなにとせん、あとの兄弟けうだい不憫ふびん母親はゝおやちゝ讒言ざんげん絶間たえまなく、さりとて此放蕩子これ養子やうしにと申うくひと此世このよにはあるまじ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
到底とてもこれに相続は石油蔵へ火を入れるやうな物、身代けふりと成りて消え残る我等何とせん、あとの兄弟も不憫ふびんと母親、父に讒言ざんげんの絶間なく、さりとて此放蕩子これを養子にと申うくる人この世にはあるまじ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)