浅黄色あさぎいろ)” の例文
それが一だん向上こうじょうすると浅黄色あさぎいろになり、さらまた向上こうじょうすると、あらゆるいろうすらいでしまって、なんともいえぬ神々こうごうしい純白色じゅんぱくしょくになってる。
表紙は浅黄色あさぎいろで、まん中にアンデルセンの首があって、そのまわりに天使や動物や花や玩具おもちゃの絵が一ぱい描いてありました。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)
……浅黄色あさぎいろ事業服しごとふくを着た大男が自動車の上から飛び降りて、タイヤの蔭に手を突込みながら、紙のように血の気を失くした印絆纏しるしばんてんの小僧を
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
天は浅黄色あさぎいろに晴れて綿雲わたぐもが夢のように浮かぶ。忍苦にんくの冬にたえてきた木々がいっせいにみどりをふきだす。土をわって草がかれんな花をつけた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
うす浅黄色あさぎいろのかすみの中に、ほたるがいくつもほの青い光のをひいて、高く低くとんでいましたが、林太郎はそれをつかまえようともしません。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
勢いよく二三十間突いておいて、ひょいと腰をかける。汗臭あせくさ浅黄色あさぎいろ股引ももひき背広せびろすそさわるので気味が悪い事がある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浅黄色あさぎいろにすみわたった空にゆるやかなをえがきつつあったのを万人ばんにんが万人、すこしも気がつかなかったのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
短いはかま浅黄色あさぎいろ襦袢じゅばんえり、前髪をとった額越ひたいごしにこちらを見る少年らしい目つきの若々しさは、半蔵らにもありし日のことを思い出させずには置かなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
玄関げんかんさきはこの別室全体べっしつぜんたいめているひろ、これが六号室ごうしつである。浅黄色あさぎいろのペンキぬりかべよごれて、天井てんじょうくすぶっている。ふゆ暖炉だんろけぶって炭気たんきめられたものとえる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
探検隊を乗せた二せきのカヌーは、隠された細流の入口に達する。浅黄色あさぎいろあしが一面に生い茂った葦叢あしむらの中を、数百ヤードばかり無理にカヌーを押して行くと、突如として、静かな浅い流れに出る。
下には浅黄色あさぎいろの短い着物を着て、上へ白丁はくちょうを引っかけて、大欠伸をした米友は、またきょとんとして大茶釜の光るのと、それから立ちのぼる湯気と、カンカンおこっている炭火とをながめていましたが
あの時同伴した落合の勝重なぞはまだ前髪をとって、浅黄色あさぎいろ襦袢じゅばんえりのよく似合うほどの少年だった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
としころは三十ばかりには丸味まるみがかったそで浅黄あさぎ衣服いふくけ、そしてひざあたりでくくった、矢張やは浅黄色あさぎいろはかま穿き、あし草履ぞうり足袋たびった、はなは身軽みがる扮装いでたちでした。頭髪かみ茶筌ちゃせんっていました。
この質問を掛けたものは、自分から一番近い所に坐っていたから、声の出所でどころ判然はっきり分った。浅黄色あさぎいろ手拭染てぬぐいじみた三尺帯を腰骨の上へ引き廻して、後向うしろむきの胡坐あぐらのまま、はすに顔だけこっちへ見せている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)