派遣はけん)” の例文
わが日本からも十人余りの士官が派遣はけんされ、それらの人々が射的大会に招待しょうたいされたのでありますから、いわば国際射的大会となったわけです。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
久慈くじ郡の佐竹ノたて亘理わたり郡の相馬一族。またさきに尊氏から、奥州管領かんりょうの名で東北に派遣はけんされていた斯波しば家長の党などが
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろんこのほかに東京から派遣はけんされた捜索隊そうさくたいや県の警察署もそれぞれに活動していましたが、塩田大尉は、自分の乗組んでいた軍艦に起った事件ですから
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこで老中派遣はけんの勘定役が、両代官を従えて出張してまいりましてな、郡村にわたって検地丈量の尺を入れたのでござるが、もとよりおかみのなさることだから
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その日の夕飯時に、ゴルドンは富士男、モコウ、次郎を遠征に派遣はけんするむねを一同に語った。一同はことごとく賛成したが、ひとりドノバンは不服ふふくをいいだした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
あいつは清国しんこく政府から選ばれて、日本に派遣はけんされて来た秀才だ。日本は、あいつに立派な学問を教え込んでやって帰国させなければ、清国政府に対して面目が無い。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ここはみやこからとおい、国境こっきょうであります。そこには両方りょうほうくにから、ただ一人ひとりずつの兵隊へいたい派遣はけんされて、国境こっきょうさだめた石碑せきひまもっていました。おおきなくに兵士へいし老人ろうじんでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのぢよが、戀人こひびと片山かたやまと一しよ生活せいくわつしたのは、わづかかに三ヶげつばかりだつた。かれがそのぞくしてゐるたう指令しれいのもとに、ある地方ちはう派遣はけんされたのち彼等かれら滅多めつた機會きくわいもなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
……柳川春葉やながはしゆんえふと、わたしとが編輯へんしふたづさはつてた、春陽堂しゆんやうだう新小説しんせうせつ社會欄しやくわいらん記事きじとして、中京ちうきやう觀察くわんさつくために、名古屋なごや派遣はけんといふのを、主幹しゆかんだつた宙外ちうぐわいさんからうけたまはつたときであつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことに樂浪郡らくろうぐん役所やくしよのあつたところは、今日こんにち平壤へいじようみなみ大同江だいどうこうむかぎしにあつて、ふる城壁じようへきのあともありますが、支那しなから派遣はけんせられた役人やくにんがこゝにとゞまつて朝鮮ちようせんをさめてゐたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
僧俗官吏の職務 で、この百六十五名の僧侶の勅任官は平生へいぜい何をして居るかといいますと、地方の知事のような者に派遣はけんされる。もっともその時は俗人一人と僧侶一人と二人ずつで出て行くです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
浮雲の筆はれきって、ぱっちり眼を開いた五十男の皮肉ひにく鋭利えいりと、めきった人のさびしさが犇々ひしひしと胸にせまるものがあった。朝日から露西亜へ派遣はけんされた時、余は其通信の一ぎょうも見落さなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
負け惜しみのつよいあの男のことですから、左様には申しませんが、一刻もはやく中国へ軍勢のご派遣はけんなくば、遂に、毛利の威圧と策謀の下に、播州一円は、不落の態勢を
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれこそ、余が最初、派遣はけんを願い出でたるハリッチ海軍根拠地のあるところであった。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それはただ考えだけでなくそれがためにわざわざ人をインドの方へ派遣はけんされた。今ダージリンのグンパールの寺に居らるる蒙古もうこの老僧セーラブ・ギャムツォ師もやはりその派遣者の一人であります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
そして、仰ぎ願わくは、もういちど、軍のご派遣はけんをゆるされ、この身に雪辱の一戦をなさしめ給わるよう、伏して、おとりなしのほどを……と、男泣きに、九拝して、言った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ついに、決死の偵察隊が、光る怪塔のところへ派遣はけんされることになった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その寺の会計長で法王政府から派遣はけんされている勅任ちょくにんの官吏がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
事態じたいの急を知って、安土の信長は、さきに子の信忠や、諸将を派遣はけんしたが、今やまた、毛利家の第二戦線が、上月城の包囲という形を取って、味方を二分した情勢を知り、この上はと、自身
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)