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抜足
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ぬきあし
ふりがな文庫
“
抜足
(
ぬきあし
)” の例文
旧字:
拔足
はて、不思議だと思いながら、
抜足
(
ぬきあし
)
をして
窃
(
そっ
)
と
尾
(
つ
)
けて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。
熟
(
よく
)
視
(
み
)
ると、
其奴
(
そいつ
)
が赤児を抱えていたのだ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と止せば
宜
(
い
)
いのに早四郎はお竹の寝床の中で息を
屏
(
こら
)
して居りました。
暫
(
しばら
)
く
経
(
た
)
つと
密
(
そっ
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をして廊下をみしり/\と来る者があります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「あ、
不愍
(
ふびん
)
な……」と外にいた弦之丞、助けてやる
工夫
(
くふう
)
はないかと、綱倉の戸へ
抜足
(
ぬきあし
)
さしてゆくとまた、それに添ってよれてゆく一つの影。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又それを飜す必要をも見出さない。帰って書いて見ようと思う意志も衰えない。しかしその意志の純粋な中へ、
極
(
ごく
)
軽い疑惑が
抜足
(
ぬきあし
)
をして来て
交
(
まじ
)
る。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼女は、広い廊下を
抜足
(
ぬきあし
)
差足
(
さしあし
)
、まるで彼女自身が、何かの怨霊ででもある様に、音もなく、奥へ奥へと進んで行った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
風は、折々、
抜足
(
ぬきあし
)
して、窓の外を通るように破れた障子の紙が、ひらひらと動いた。女は、疲れた目を撫でた。この時、
幽
(
かす
)
かな泣声が、遠くの遠くから聞えて来る。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
君江は
袂
(
たもと
)
をおさえ
抜足
(
ぬきあし
)
して十歩ばかり。やがて裏通を行く人の顔も見分けられるあたり。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかしちょうどその時には、彼は何もそんなに、
抜足
(
ぬきあし
)
差足
(
さしあし
)
で行く必要はなかったのです。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
一時間も二時間も下りて来ぬことがあります。私は耳をすまして二階の物音を聞こうとしたり、
窃
(
そっ
)
と主人の書斎の
扉
(
どあ
)
の外に
抜足
(
ぬきあし
)
してじいッと聴いたり、
鍵
(
かぎ
)
の穴からも
覗
(
のぞ
)
いて見ました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
寂寞
(
せきばく
)
を
破
(
やぶ
)
る、
跫音
(
あしおと
)
が高いので、
夜更
(
よふけ
)
に
里人
(
さとびと
)
の
懐疑
(
うたがい
)
を受けはしないかという懸念から、
誰
(
たれ
)
も
咎
(
とが
)
めはせぬのに、
抜足
(
ぬきあし
)
、
差足
(
さしあし
)
、音は立てまいと思うほど、なお
下駄
(
げた
)
の
響
(
ひびき
)
が胸を打って、耳を
貫
(
つらぬ
)
く。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兵馬は
抜足
(
ぬきあし
)
して、その明け開いた
襖
(
ふすま
)
の蔭に立寄ってうかがうと、弁信法師の報告はほとんど見て来たようで、住持は床柱の下に、お雪と針妙とはやや離れたところに、いずれも両手を
結
(
ゆわ
)
えられ
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小平仁助の両人は
抜足
(
ぬきあし
)
して参り、丹治おかめの蒲団の間に手を差入れましたは、柳行李の中に金を入れて、毎晩おかめと丹治の間に入れて寝ているのを
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そっと
抜足
(
ぬきあし
)
をして近寄って、入口の戸の隙きまからうかがうと、内は静まり返っているらしい。
指輪一つ
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
筆を立てたような、さながら
魂
(
たまし
)
いでもあって、この疲れた沙漠を歩いている魔物のような、しかし、静かに、音を立てずに
抜足
(
ぬきあし
)
して歩いているような木立であるかと思った。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
八と其男とはぴつたり顔を合せて、初の一瞬間は互にあきれて黙つてゐた。這入つた男は別当で、これは隠れて新宿へ往つたので、二三町先からは、
抜足
(
ぬきあし
)
をして帰つて来たのである。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
抜足
(
ぬきあし
)
に社前を横ぎる時、お沢。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ソッと
抜足
(
ぬきあし
)
をして自分の居間へ戻り、六連発銃を
持来
(
もちきた
)
り、襖の間から
斯
(
こ
)
う狙いを附けたから勝五郎は
恟
(
びっく
)
りして
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ちょうど牛の脊を渉るよう、
抜足
(
ぬきあし
)
をして歩いた。私が先に立って、母が後から来る。この頃は、昼前に
橇
(
そり
)
が通るが、通った跡でまた吹雪がしてその跡を掻き消してしまうのである。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そっと
抜足
(
ぬきあし
)
をして近寄ってみると、それはまるで人ちがいのお爺さんなので、わたくしは無暗に腹が立って、いっそ石でもほうり込んで驚かしてやろうかとも思ったくらいでした。
水鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
忍んで
密
(
そっ
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
で渡つた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云う廻りの声を合図に、松蔭大藏は裏手の花壇の方から
密
(
そっ
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をいたし、
此方
(
こちら
)
へまいるに出会いました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
小舎の障子には明るく
火影
(
ほかげ
)
が照って、中で二三人酒を飲んで笑っている様子であった。太吉は番人の見ていないのを幸いに
抜足
(
ぬきあし
)
して線路内に立入ると一生懸命に線路に付いて駆け出した。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
扨
(
さて
)
はここにも何か
椿事
(
ちんじ
)
が
起
(
おこ
)
っているに相違ないと、忠一も驚いて身構えしたが、
燐寸
(
まっち
)
を持たぬ彼は
暗
(
やみ
)
を
照
(
てら
)
すべき
便宜
(
よすが
)
もないので、
抜足
(
ぬきあし
)
しながら
徐々
(
そろそろ
)
と探り寄ると、彼は
忽
(
たちま
)
ち
或物
(
あるもの
)
に
蹉
(
つまず
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼方此方
(
あちこち
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をして様子を見ると、人も居らん様子で、是から上って畳二畳を明けて
根太板
(
ねだいた
)
を払って、
窃
(
そ
)
っと抜足をして蓋を取って内を覗くと、穴の下は薄暗く
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
抜足
(
ぬきあし
)
してそっと
此方
(
こなた
)
へまいり、
沓脱石
(
くつぬぎいし
)
へ手を支えて座敷の様子を
窺
(
うかゞ
)
うと、自分が命を捨てゝも奉公をいたそうと思っている殿様を殺すという相談に、孝助は
大
(
おお
)
いに
怒
(
いか
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
前からいたのかそれは知りませんが、がや/\と人声がするから、能く聞いてみると、どうもお村の声のようだから、はてなと
抜足
(
ぬきあし
)
をして廊下伝いに来て襖に耳を寄せると
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お嬢さんは
恟
(
びっく
)
りいたし、そっと
抜足
(
ぬきあし
)
をして便所へ参り、ギーイ、バタンと便所から出たような音ばかりさせて、ポチャ/\/\と水をかけて手を洗い、何喰わぬ顔をして其の晩は寝てしまった。
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
といわれるから、伴藏は
抜足
(
ぬきあし
)
して萩原の裏手へ廻り、
暫
(
しば
)
らくして
立帰
(
たちかえ
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
能く
商人
(
あきんど
)
の
家
(
うち
)
には有りまするが、何の役にも立ちません、
煤掃
(
すゝはき
)
の時に畳を叩くぐらいのもので、仙太郎はこれを見て半棒を
下
(
おろ
)
して片手に提げ、
抜足
(
ぬきあし
)
して、そッと梯子を
下
(
お
)
りて縁側伝いに来ると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
抜足
(
ぬきあし
)
をして廊下を忍び来る者は、
寝衣姿
(
ねまきすがた
)
なれば、
慥
(
たしか
)
に源次郎に相違ないと、孝助は首を
差延
(
さしの
)
べ様子を窺うに、
行灯
(
あんどう
)
の明りがぼんやりと障子に映るのみにて薄暗く、はっきりそれとは見分けられねど
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
廊下をみしり/\
抜足
(
ぬきあし
)
をして来る者があります。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“抜足”で始まる語句
抜足差足