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扮装
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みなり
ふりがな文庫
“
扮装
(
みなり
)” の例文
旧字:
扮裝
嫁や娘たちが、海辺や湯治場で、暑い夏を過すあいだ、内儀さんは質素な
扮装
(
みなり
)
をして、川崎の大師や、羽田の
稲荷
(
いなり
)
へ出かけて行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
周囲には二組ばかりの客がいるだけなので、そうしてその二組は双方ともに相当の
扮装
(
みなり
)
をした婦人づれなので、室内は存外静かであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、充分の未練を残し彼が邸へ帰り着いたのはその日もとっぷり暮れた頃であったが翌日は
扮装
(
みなり
)
も厳重にし早朝から邸を出た。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
下枝様がああいう
扮装
(
みなり
)
のまま飛出したのなら、今頃は鎌倉中の評判になってるに違いありません。何をいおうと
狂気
(
きちがい
)
にして
引張
(
ひっぱ
)
って参ります。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな風に致しましたら、わたくしはやっぱり段々に
扮装
(
みなり
)
なんぞは構わなくなりまして、
化粧
(
おしまい
)
も致さないようになりますのでございましょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
▼ もっと見る
職員室には、十人
許
(
ばか
)
りの
男女
(
をとこをんな
)
——何れも
穢
(
きたな
)
い
扮装
(
みなり
)
をした百姓達が、物に
怖
(
おび
)
えた様にキヨロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて来てゐた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
夜更
(
よふけ
)
から
暁方
(
あけがた
)
へかけて、こうして
扮装
(
みなり
)
を変えて毎夜のように尋ねてみるが、ついぞ
出会
(
でっくわ
)
し申さぬ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雀のやうに
質素
(
じみ
)
な
扮装
(
みなり
)
をして、そしてまた雀のやうにお
喋舌
(
しやべり
)
をよくするものだとばかし思つてゐる
向
(
むき
)
が多いやうだが、女流教育家といつた所で
満更
(
まんざら
)
そんな人ばかしで無いのは
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
乞食らしい
穢
(
きたな
)
い
扮装
(
みなり
)
ではございません。
銅版画
(
どうばんえ
)
なんぞで見るような古風な着物を着ているのでございます。そしてそのじいっと坐っている様子の気味の悪い事ったらございません。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
現われた武士は浪人らしくて、
尾羽
(
おは
)
打ち枯らした
扮装
(
みなり
)
であって、
月代
(
さかやき
)
なども伸びていた。
朱鞘
(
しゅざや
)
の大小は差していたが、鞘などはげちょろけているらしい。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
美人は優しき眼にてじっと
視
(
み
)
れば、いかさまかかる遊戯品は知らぬも道理の
扮装
(
みなり
)
なり。
不便
(
ふびん
)
なものよと思うにぞ
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
羽織が
大概
(
あらまし
)
乾いた頃に女教師が来た。其の
扮装
(
みなり
)
を見上げ見下して、目賀田は眼を円くした。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
労働者の本田捨松は、ちょいと小綺麗の
扮装
(
みなり
)
をして、道頓堀の大きな
珈琲
(
カフェー
)
店で、
旨
(
うま
)
そうに料理を食べていた。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
今朝東京なる本郷病院へ、
呼吸
(
いき
)
も
絶々
(
たえだえ
)
に
駈込
(
かけこ
)
みて、玄関に着くとそのまま、打倒れて絶息したる男あり。年は二十二三にして、
扮装
(
みなり
)
は
好
(
よ
)
からず、
容貌
(
かおかたち
)
いたく
憔
(
やつ
)
れたり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其巡吉は勿論、
何
(
ど
)
の児も何の児も汚ない
扮装
(
みなり
)
をしてゐて、
頸
(
くび
)
から手足から垢だらけ。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
編笠を冠ったままの、みすぼらしい
扮装
(
みなり
)
の浪人であったが、小判小粒とり
雑
(
ま
)
ぜ、
目紙
(
めがみ
)
の三へ張ったところ、それが二回まで受け、五両が百二十五両になった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
え、爺さん、聞きゃおめえの
扮装
(
みなり
)
が悪いとって
咎
(
とが
)
めたようだっけが、それにしちゃあ咎めようが激しいや、ほかにおめえなんぞ
仕損
(
しぞこな
)
いでもしなすったのか、ええ、爺さん
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少し下がって地にひざまずき、並んでいるのは多勢のモカ、いずれも身綺麗な
扮装
(
みなり
)
をし、持っていた病気など癒ったのであろう、
健康
(
つよ
)
そうな様子を見せている。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
財産持てりというには似で、継母なる人の
扮装
(
みなり
)
の粗末さよ。
前垂
(
まえだれ
)
も下婢と同じくしたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その夕方のことであるが、艶かしい十八九の
乙女
(
おとめ
)
が一人、
洵
(
まこと
)
に上品な
扮装
(
みなり
)
をして、魚屋方へ訪れて来た。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
鼠色の雲の中へ、すっきり浮出したように、薄化粧の
艶
(
えん
)
な姿で、電車の中から、
颯
(
さっ
)
と
硝子戸
(
がらすど
)
を抜けて、運転手台に
顕
(
あら
)
われた、若い女の
扮装
(
みなり
)
と持物で、
大略
(
あらまし
)
その日の天気模様が察しられる。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「それは沢山おりますとも。それに
扮装
(
みなり
)
が
贅沢
(
ぜいたく
)
ですよ。衣裳はお召し。帯は西陣。
長襦袢
(
ながじゅばん
)
は京の
友禅縮緬
(
ゆうぜんちりめん
)
。ご婦人方はお化粧をします。
白粉
(
おしろい
)
に
紅
(
べに
)
に匂いのある油……」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
扮装
(
みなり
)
なぞは気がつかず、
洋傘
(
かさ
)
は持っていたようでしたっけ、それを
翳
(
さ
)
していたか、畳んだのを
支
(
つ
)
いていたか、
判然
(
はっきり
)
しないが、ああ似たような、と思ったのは、その行方が分らんという一人。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先に立った武士は二十一、二、後から行く武士は二十二、三、いずれも旅の浪人と見えて、
扮装
(
みなり
)
は粗末ではあったけれど体に五分の隙もない。心得ある武士と思われた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と答うれば、戸を
排
(
ひら
)
きて、医師とともに、見も知らぬ男
入
(
い
)
り来れり。この男は、
扮装
(
みなり
)
、風俗、
田舎漢
(
いなかもの
)
と見えたるが、
日向
(
ひなた
)
眩
(
まば
)
ゆき
眼色
(
めつき
)
にて、上眼づかいにきょろつく様、
不良
(
よから
)
ぬ
輩
(
やから
)
と思われたり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だがいったいどうしたんだ! こんな早朝に門附けとは?
扮装
(
みなり
)
の貧しい若者である。杖を持っているから
盲目
(
めくら
)
らしい。
俄盲目
(
にわかめくら
)
に相違ない。感が悪そうにひろって行く。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は年の頃二十四、五、
都風
(
みやこふう
)
に髪を
結
(
ゆ
)
い当世風の
扮装
(
みなり
)
をし色白面長の顔をした女好きのする男であったが、眼に何んとなく剣があり、唇が余りに紅いのは油断の出来ない
淫蕩者
(
いんとうもの
)
らしい。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
貧乏神の
扮装
(
みなり
)
をした坂東三津太郎はこう云うと元気を起こして立ち上がった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
扮装
(
みなり
)
は堅気の商人風、年の頃は三十前後、しかし商人ではなさそうだ。赫黒い顔色、釣上がった
眦
(
まなじり
)
、巨大な段鼻、薄い唇、身長五尺七八寸、両方の鬢に面摺れがある。変装した武士に相違ない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
手甲脚半腹掛け姿、軽快至極の
扮装
(
みなり
)
である。一同お揃いの姿である。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いやいやいつもは二人じゃそうな。一人は若衆、一人は
奴
(
やっこ
)
、紅縮緬で覆面して夜な夜な現われるということじゃ。もっとも時々若い女がそれと同じような
扮装
(
みなり
)
をして仲間に加わるとは聞いているが」
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「いやお前さんの
扮装
(
みなり
)
と来ては、豪勢な評判でございますよ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「さて上人の
扮装
(
みなり
)
だが、何んとやつしたらよかろうのう」
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
(あんな
扮装
(
みなり
)
をした人間は、お供衆の中にはいなかった)
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
翌日紋太郎は
扮装
(
みなり
)
を整え専斎のやしきへ挨拶に来た。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
威勢のいい江戸っ子で、
扮装
(
みなり
)
の様子が船大工らしい。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“扮装”の意味
《名詞》
扮装(ふんそう)
身なりを飾ること。装い。
姿や顔を何かに変えること。また、その姿。
(出典:Wiktionary)
扮
漢検準1級
部首:⼿
7画
装
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
“扮装”で始まる語句
扮装姿
扮装振
扮装術
扮装形容