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常闇
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とこやみ
ふりがな文庫
“
常闇
(
とこやみ
)” の例文
四日間の労役は楽しかったが、それが終ると、わし達はまた、以前の
常闇
(
とこやみ
)
の沼みたいな牢へ帰って、盲の魚のようにうようよしていた。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見れども見えず、聞けども聞えず、
常闇
(
とこやみ
)
の世に住む我を怪しみて「暗し、暗し」と云う。わが呼ぶ声のわれにすら聞かれぬ位
幽
(
かす
)
かなり。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
常に和合するかと思えば、また夫婦喧嘩をして、かれらは火花の如くに輝き、火花のごとくに
常闇
(
とこやみ
)
の世界へと消えて行った。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
われは毛髮
倒
(
さかしま
)
に
竪
(
た
)
ちて、卓と柩との皆
獨樂
(
こま
)
の如く旋轉するを覺え、身邊忽ち
常闇
(
とこやみ
)
となりて、頭の内には只だ
奇
(
く
)
しく
妙
(
たへ
)
なる音樂の響きを聞きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
とても
積
(
つも
)
らば
五尺
(
ごしやく
)
六尺
(
ろくしやく
)
雨戸
(
あまど
)
明
(
あ
)
けられぬ
程
(
ほど
)
に
降
(
ふ
)
らして
常闇
(
とこやみ
)
の
長夜
(
ちやうや
)
の
宴
(
えん
)
、
張
(
は
)
りて
見
(
み
)
たしと
縺
(
もつ
)
れ
舌
(
じた
)
に
譫言
(
たはごと
)
の
給
(
たま
)
ふちろ/\
目
(
め
)
にも
六花
(
りくくわ
)
の
眺望
(
ながめ
)
に
別
(
べつ
)
は
無
(
な
)
けれど
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
手前どもが永い間閉じ籠められた
常闇
(
とこやみ
)
の国から抜け出して来て、久しぶりに見たのが今夜の満月でございましょう。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
誰か汝等を導ける、地獄の溪を
常闇
(
とこやみ
)
となす
闌
(
ふ
)
けし
夜
(
よる
)
よりいづるにあたりて誰か汝等の
燈火
(
ともしび
)
となれる 四三—四五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
同時に、疑惑と不幸と絶望との
常闇
(
とこやみ
)
の迷路をつまずき歩いている自分のすがたを、私は見守っていた。
世界怪談名作集:12 幻の人力車
(新字新仮名)
/
ラデャード・キプリング
(著)
沢の蛍は天に舞ひ、
闇裏
(
やみ
)
の
念
(
おもひ
)
は世に燃ゆるぞよ、朕は闇に動きて闇に行ひ、闇に笑つて闇に
憩
(
やすら
)
ふ下津岩根の
常闇
(
とこやみ
)
の国の
大王
(
おほぎみ
)
なり、
正法
(
しやうぼふ
)
の水有らん限は魔道の波もいつか絶ゆべき
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
夜すがら
両個
(
ふたり
)
の運星
蔽
(
おほ
)
ひし
常闇
(
とこやみ
)
の雲も晴れんとすらん、
隠約
(
ほのぼの
)
と
隙洩
(
すきも
)
る
曙
(
あけぼの
)
の影は、玉の
緒
(
を
)
長く座に入りて、光薄るる
燈火
(
ともしび
)
の
下
(
もと
)
に並べるままの茶碗の
一箇
(
ひとつ
)
に、
小
(
ちひさ
)
き
蛾
(
が
)
有りて、落ちて浮べり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
世はむかしの
常闇
(
とこやみ
)
にかえったかと思われるばかりに真っ暗になって、大地は
霹靂
(
はたたがみ
)
に撃たれたようにめりめりと震動した。忠通も眼がくらんで俯伏した。女たちは息が詰まって気を失った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「天地の神なきものにあらばこそ
吾
(
あ
)
が
思
(
も
)
ふ妹に逢はず
死
(
しに
)
せめ」(巻十五・三七四〇)、「逢はむ日をその日と知らず
常闇
(
とこやみ
)
にいづれの日まで
吾
(
あれ
)
恋ひ居らむ」(同・三七四二)などにあるように
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
しかもそれが
一刹那
(
いっせつな
)
閃
(
ひら
)
めくことがあっても次の瞬間にはすでに
滅
(
き
)
えてしまっている。いわゆる前方を
鎖
(
とざ
)
してわだかまるのは
常闇
(
とこやみ
)
である。一刹那の光はむしろ
永劫
(
えいごう
)
の暗黒を指示するが如くに見える。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
そしていつまで経っても、死ぬと云うことは許されない。浮世の花の香もせぬ
常闇
(
とこやみ
)
の国に永劫生きて、ただ名ばかりに生きていなければならぬかと思うと、何とも知れぬ恐ろしさにからだがすくむ。
枯菊の影
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
好加減
(
よいかげん
)
の怪物となる……パッと消失せてしまッた跡はまた
常闇
(
とこやみ
)
。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だが、依然として——
常闇
(
とこやみ
)
。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
夜も昼もない
常闇
(
とこやみ
)
の世界。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
誇
(
ほこ
)
る
可
(
べ
)
きかな
常闇
(
とこやみ
)
に
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
常闇
(
とこやみ
)
の地獄のなやみ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかし、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
の身のまわりだけは、
常闇
(
とこやみ
)
だった。かれは、とんでもない
奈落
(
ならく
)
のそこに落ちて、
土龍
(
もぐら
)
のようにもがいていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの三日間の死の
常闇
(
とこやみ
)
が余りにも深刻であったので、この地上の熱や光りではとても温めることも出来ず、また彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い退けることが出来ないのだと思って
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
天も
晦
(
くら
)
く、地も
冥
(
くら
)
く、世は
常闇
(
とこやみ
)
となることを祈っている。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
身も魂も
頽
(
くづ
)
をれぬ、いでこのままに
常闇
(
とこやみ
)
の
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
時には遠き
常闇
(
とこやみ
)
の
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
常闇
(
とこやみ
)
の牢長屋の奥で、ガチャンと冷たい鉄の音がする。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常闇
(
とこやみ
)
つきぬ
苛責
(
せめ
)
にやさまよふべき。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
碓氷峠の細道、八丁
常闇
(
とこやみ
)
の陽の目知らず。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常
常用漢字
小5
部首:⼱
11画
闇
常用漢字
中学
部首:⾨
17画
“常闇”で始まる語句
常闇世界