“常闇:とこやみ” の例文
“常闇:とこやみ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治4
蒲原有明3
岡本綺堂2
夏目漱石1
薄田泣菫1
“常闇:とこやみ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 文学 > 叢書 全集 選集14.3%
文学 > イタリア文学 > 詩7.1%
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学7.1%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
常に和合するかと思えば、また夫婦喧嘩をして、かれらは火花の如くに輝き、火花のごとくに常闇とこやみの世界へと消えて行った。
世はむかしの常闇とこやみにかえったかと思われるばかりに真っ暗になって、大地は霹靂はたたがみに撃たれたようにめりめりと震動した。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
誰か汝等を導ける、地獄の溪を常闇とこやみとなすけしよるよりいづるにあたりて誰か汝等の燈火ともしびとなれる 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
四日間の労役は楽しかったが、それが終ると、わし達はまた、以前の常闇とこやみの沼みたいな牢へ帰って、盲の魚のようにうようよしていた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浮世の花の香もせぬ常闇とこやみの国に永劫生きて、ただ名ばかりに生きていなければならぬかと思うと、何とも知れぬ恐ろしさにからだがすくむ。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とてもつもらば五尺ごしやく六尺ろくしやく雨戸あまどけられぬほどらして常闇とこやみ長夜ちやうやえん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
同時に、疑惑と不幸と絶望との常闇とこやみの迷路をつまずき歩いている自分のすがたを、私は見守っていた。
見れども見えず、聞けども聞えず、常闇とこやみの世に住む我を怪しみて「暗し、暗し」と云う。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、加賀見忍剣かがみにんけんの身のまわりだけは、常闇とこやみだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われは毛髮さかしまちて、卓と柩との皆獨樂こまの如く旋轉するを覺え、身邊忽ち常闇とこやみとなりて、頭の内には只だしくたへなる音樂の響きを聞きつ。
いわゆる前方をとざしてわだかまるのは常闇とこやみである。
常闇とこやみの牢長屋の奥で、ガチャンと冷たい鉄の音がする。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身も魂もくづをれぬ、いでこのままに常闇とこやみ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
常闇とこやみつきぬ苛責せめにやさまよふべき。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
碓氷峠の細道、八丁常闇とこやみの陽の目知らず。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
漸く見ゆる世の乱は誰が為すこととぞ汝はおもふ、沢の蛍は天に舞ひ、闇裏やみおもひは世に燃ゆるぞよ、朕は闇に動きて闇に行ひ、闇に笑つて闇にやすらふ下津岩根の常闇とこやみの国の大王おほぎみなり
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ほこきかな常闇とこやみ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
だが、依然として——常闇とこやみ
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
夜も昼もない常闇とこやみの世界。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
常闇とこやみの地獄のなやみ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
時には遠き常闇とこやみ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見懸けた夢をそのままに、文三が振返ッて視遣みやる向うは隣家の二階、戸を繰り忘れたものか、まだ障子のままで人影がしている……スルトその人影が見る間にムクムクと膨れ出して、好加減よいかげんの怪物となる……パッと消失せてしまッた跡はまた常闇とこやみ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
夜すがら両個ふたりの運星おほひし常闇とこやみの雲も晴れんとすらん、隠約ほのぼの隙洩すきもあけぼのの影は、玉の長く座に入りて、光薄るる燈火ともしびもとに並べるままの茶碗の一箇ひとつに、ちひさ有りて、落ちて浮べり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ラザルスに言葉をかけた人たちの心では、あの三日間の死の常闇とこやみが余りにも深刻であったので、この地上の熱や光りではとても温めることも出来ず、また彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い退けることが出来ないのだと思って、やれやれと溜め息をつきながら行ってしまうのであった。
「天地の神なきものにあらばこそふ妹に逢はずしにせめ」(巻十五・三七四〇)、「逢はむ日をその日と知らず常闇とこやみにいづれの日まであれ恋ひ居らむ」(同・三七四二)などにあるように、「天地の神」とか、「常闇」とか詠込んでいるが、それほど響かないのは、おとなしい人であったのかも知れない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こうして、ふたたび日本の世をかき乱して、邪魔になる忠臣の正成をほろぼし、義貞を殺し、悪魔はいよいよ威勢を振うて、津々浦々に兵乱やむ時なく、家は焼かれ、人は疲れ、天もくらく、地もくらく、世は常闇とこやみとなることを祈っている。こうまで言い聞かせたら、われらの身の上も、われらの望みも、大方は判ったであろうが……。
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さようにございます。手前どもが永い間閉じ籠められた常闇とこやみの国から抜け出して来て、久しぶりに見たのが今夜の満月でございましょう。手前どもはあの青白い光を見ると、むかしのいろんなことを思い出して、唯もう夢のような気持で、水際の草の上にいなごのようにすねを折り曲げて、じっとあたりの静かさを楽しんでいたものでございます。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)