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屏息
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へいそく
ふりがな文庫
“
屏息
(
へいそく
)” の例文
兵馬の力をもって政権を取らんと欲するものはこの時をもってほとんど
屏息
(
へいそく
)
せり。これと同時に政論はほとんど全国に延蔓するに至る。
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
多少は冒す場合があるでしょう。その場合には冒されたものが、
屏息
(
へいそく
)
し得るように、冒す方に偉大な特色がなければならぬのであります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その武田も
長篠
(
ながしの
)
の一敗に
屏息
(
へいそく
)
し、西国の毛利も、このところ一戦一退のみをつづけ、加うるに
元就
(
もとなり
)
以来の保守主義もあるので、果たして
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その後本紙上に於て
屡々
(
しばしば
)
報ぜし通り、××協商が行悩みとなり、吾国の国防と外交が極度の孤立
屏息
(
へいそく
)
状態に陥りおりたる折柄
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
京都の市中は、今や勤皇の志士は全く
屏息
(
へいそく
)
して、所司代の役人や、会津桑名の藩士、さては新選組の浪士たちが、肩で風をきつて、闊歩してゐる。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
舟人は
艣
(
ろ
)
を棄てゝ、手もて水をかき、われ等は身を舟中に横へしに、ララは
屏息
(
へいそく
)
して
緊
(
きび
)
しく我手を握りつ。暫しありて、舟は大穹窿の内に入りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
……縁の柱に
倚
(
よ
)
って、この有様を
屏息
(
へいそく
)
しながら見ていたさえは、そのとき崩れるように
其処
(
そこ
)
へ
膝
(
ひざ
)
をついてしまった。
彩虹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「黒八、十とこれでよろしい。十四までの別れ申し分なしと。白を一
隅
(
ぐう
)
へ
屏息
(
へいそく
)
せしめ、外に向かって
驥足
(
きそく
)
を伸ばす。この作戦われながらよいて。……」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それが、瓶口は(以前瓶口という芸名ではなかった。)今はエンコで一流の芸人になり、末弘は落ちて、——「惚太郎」の二階の二畳間に
屏息
(
へいそく
)
している。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
肉感はすべて心の
恍惚
(
こうこつ
)
の力の下に
屏息
(
へいそく
)
している時において、天使のごとき純潔なマリユスは、コゼットの
裾
(
すそ
)
をようやく
踝
(
くるぶし
)
のところまでまくることよりも
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
肉体に勇気が満ちてくれば、前途を考える悲観の観念もいつしか
屏息
(
へいそく
)
して、愉快に奮闘ができるのは妙である。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
吾輩
屏息
(
へいそく
)
すれば逆焔も屏息しようが、吾輩ふたたび勃興すれば逆焔もふたたび勃興する、いく度も同様なり。
吉田松陰より某へ:安政六年正月十一日
(新字新仮名)
/
吉田松陰
(著)
浪士らの勢いのさかんな時は二十里ずつの距離の外に
屏息
(
へいそく
)
し、徐行
逗留
(
とうりゅう
)
してあえて近づこうともせず、いわゆる
風声鶴唳
(
ふうせいかくれい
)
にも
胆
(
きも
)
が身に添わなかったほどでありながら
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
内々はごっつりと手強くアテテ
屏息
(
へいそく
)
させるような、シッカリした者を必要とするのである。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そうしますと此度は十二三日頃に中央新聞に出た、「
屏息
(
へいそく
)
せる新しい女」といふ題の下に書かれた青鞜社の記事は滅茶々々なものでした。いゝかげんにこしらへ上げたものです。
編輯室より:(一九一三年七月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
そして約五時間の後に辛うじて
天幕
(
テント
)
を張り終わったころ、
可憐
(
かれん
)
な小品的野営地はもうもうたる雨足の
裡
(
うち
)
にすっかり
屏息
(
へいそく
)
してしまったのである。しかし野営地まではともかく道はあった。
二つの松川
(新字新仮名)
/
細井吉造
(著)
今迄
屏息
(
へいそく
)
して居た高輪田は、
螺旋
(
らせん
)
にでも跳ねられたかの様に飛び上って爾して情ないと云う声で「是が何で浦原嬢の死骸でない事は有りません、無事で居たなら今頃は私の妻ですのに」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
手
(
て
)
ランプの
光
(
ひかり
)
に
只
(
たゞ
)
目
(
め
)
が
酷
(
ひど
)
く
光
(
ひか
)
るのみで一
言
(
ごん
)
もなく
屏息
(
へいそく
)
して
畢
(
しま
)
ふのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
代匠記では
鹿鳴間沈
(
カナルマシヅミ
)
で、鹿の鳴いて来る間に
屏息
(
へいそく
)
して待っている意に取ったが、或は、「か鳴る間しづみ」で、
羂
(
わな
)
に動物がかかって音立てること、
鳴子
(
なるこ
)
のような装置でその音響を知ることで
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
禁じがたく候えどもけっして女子の現状に
屏息
(
へいそく
)
せず
艱難
(
かんなん
)
して一路の光明を
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
... 天下に主張する時代が来たら外の優等生や先輩の不誠実家は
忽
(
たちま
)
ち
屏息
(
へいそく
)
するに至るだろう」妹「してみると末はなかなか有望なお方ですね」兄「ウム、だから
和女
(
おまえ
)
が
強
(
し
)
いてイヤと言わなければ大原と親類になってもいい」
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
みている人すら
屏息
(
へいそく
)
して手に汗を握るという。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
屏息
(
へいそく
)
せざるを得なくなります。
Mensura Zoili
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
空しく恨を呑んで
屏息
(
へいそく
)
せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
されど此等の石は或は再び坑中に沒し、或は灰の丘に沿ひて
顛
(
ころが
)
り下り、復た我等の頭上に落つることなし。われは心裡に神を念じて、
屏息
(
へいそく
)
してこれを見たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして圧迫をもって一つの思想を
屏息
(
へいそく
)
せしむることにいかなる危険があるかを少しも見なかった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「そうよ。文学士のように二十円くらいで下宿に
屏息
(
へいそく
)
していては人間と生れた
甲斐
(
かい
)
はないからな」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「わが蜀の先帝には、常々、蛮王蛮王と汝を
称
(
よ
)
ばれて、汝に目をかけ給うたこと、一通りでなかった。さるを恩を忘れて魏と通じ、魏が
屏息
(
へいそく
)
するや、また自ら無謀の乱をなすとは何事か」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸司諸役ことごとく更替して、大老の家の子郎党ともいうべき人たちで占められている。驚くばかりさかんな大老の権威の前には、幕府内のものは皆
屏息
(
へいそく
)
して、足を
累
(
かさ
)
ねて立つ思いをしているほどだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
われは
心裡
(
しんり
)
に神を念じて、
屏息
(
へいそく
)
してこれを見たり
ヴエスヴイオ山
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その始めて現はるゝや、萬客
屏息
(
へいそく
)
してこれを仰ぎ
瞻
(
み
)
たり。その態度、その
嚴
(
おごそか
)
なること王者の如くにして、しかも
輕
(
かろ
)
らかに優しき態度には、人も我も
徑
(
たゞち
)
に心を奪はれぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
所詮
(
しょせん
)
このままに
屏息
(
へいそく
)
すべき討幕運動とは思われなかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ごもっともと
屏息
(
へいそく
)
している訳には行くまいと思います。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「敵はすっかり
屏息
(
へいそく
)
した」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
屏
漢検1級
部首:⼫
9画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“屏”で始まる語句
屏風
屏
屏風岩
屏居
屏障
屏風巌
屏風坂
屏風絵
屏風倒
屏東