小石川こいしかは)” の例文
「そして、そのおうちへ、小ちやなすゞちやんが生れて来るのですよ。」と、小石川こいしかはのお祖母ばあちやまがそつと二人におつしやいました。ぽつぽは
ぽつぽのお手帳 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
さりとは気ままの仰せに有難うぞんじますと言ひしは覚えで、やがては車の上に小石川こいしかははまだかまだかともどかしがりぬ。
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
調とゝのさふらひ兩人に提灯持鎗持草履取三人越前守主從しゆじう四人都合十人にて小石川こいしかは御屋形を立出たちいで數寄屋橋御門内なる町奉行御役宅をさしいそゆくはやこく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつと小石川こいしかは白山はくさんうへ追分おひわけのあたりより、一圓いちゑん高臺たかだいなれども、ひかりうすければ小雨こさめのあともみちかわかず。
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
安政二年あんせいにねん十月二日じゆうがつふつか江戸大地震えどだいぢしんおいて、小石川こいしかは水戸屋敷みとやしきおい壓死あつしした藤田東湖先生ふぢたとうこせんせい最後さいごと、麹町かうじまち神田橋内かんだばしない姫路藩邸ひめぢはんていおい壓死あつしした石本李蹊いしもとりけいおう最後さいごまつたおなてつまれたものであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さりとはまゝのおほせに有難ありがたうぞんじますとひしはおぼえで、やがてはくるまうへ小石川こいしかははまだかまだかともどかしがりぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小石川こいしかは傳通院でんづうゐんには、(かぬかへる)の傳説でんせつがある。おなじかへる不思議ふしぎは、たし諸國しよこく言傳いひつたへらるゝと記憶きおくする。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さかうへから、はるか小石川こいしかは高臺たかだい傳通院でんづうゐんあたりから、金剛寺坂上こんがうじざかうへ目白めじろけてまだあまはひらない樹木じゆもく鬱然うつぜんとしたそこ江戸川えどがは水氣すゐきびてうすよそほつたのがながめられる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
場処も小石川こいしかはの植物園にちかく物静なれば、少しの不便をきずにして他には申むねのなき貸家ありけり、かどの柱に札をはりしより大凡おほよそ三月ごしにも成けれど、いまだに住人すみてのさだまらで
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
場處ばしよ小石川こいしかは植物園しよくぶつゑんにちかく物靜ものしづかなれば、すこしの不便ふべんきずにしてほかにはまをむねのなき貸家かしやありけり、かどはしらふだをはりしより大凡おほよそ三月みつきごしにもなりけれど、いまだに住人すみてのさだまらで
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小石川こいしかは茗荷谷みやうがだにから臺町だいまちあがらうとする爪先つまさきあがり。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)