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嫉
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そね
ふりがな文庫
“
嫉
(
そね
)” の例文
熊「ヘン
嫉
(
そね
)
め、おたんちん、だがな八公、若大将にゃア気持が悪くなるてえことよ、阿魔
奴
(
め
)
でれ/″\しアがって、から
埓口
(
らちくち
)
アねえ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
建てゝやるとえゝ。直ぐ側に親類が並んでると、よけりやよし、惡けりや惡しで、
嫉
(
そね
)
んだりけなしたりし合つて煩いものぢや。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
そちを
嫉
(
そね
)
み憎しむ者が、
笄
(
こうがい
)
が失せたといっては猿が盗んだといい、
小刀
(
こづか
)
印籠
(
いんろう
)
が紛失したと申しては、猿の
仕業
(
しわざ
)
よと、つげ口の絶え間がない。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
放蕩
(
ほうとう
)
と
懶惰
(
らんだ
)
とを
経緯
(
たてぬき
)
の糸にして
織上
(
おりあがっ
)
たおぼッちゃま方が、
不負魂
(
まけじだましい
)
の
妬
(
ねた
)
み
嫉
(
そね
)
みからおむずかり遊ばすけれども、文三はそれ等の事には
頓着
(
とんじゃく
)
せず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
手振り身振りの
鮮
(
あざ
)
やかさと、
眼鼻立
(
めはなだ
)
ちのキリヽとして
調
(
とゝの
)
つたのとは、町中の人々を感心さして、一種の
嫉
(
そね
)
みと
惡
(
にく
)
しみとを起すものをすら生じた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
そのうち噂は清武一郷に
伝播
(
でんぱ
)
して、誰一人怪訝せぬものはなかった。これは喜びや
嫉
(
そね
)
みの交じらぬただの怪訝であった。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それ以来、セエラを
嫉
(
そね
)
んでいる少女達は、何か辱しめてやりたい時に限って、セエラを『
宮様
(
プリンセス
)
』といいました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
それゆえにエホバの性格は、怒る神、
嫉
(
そね
)
む神、赦す神、憐む神、愛する神として、表現されるのである。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
無くなると有る奴を
嫉
(
そね
)
んで、あんな騒ぎを持ち上げる、あんなのを増長させた日には、
真面目
(
まじめ
)
に
稼
(
かせ
)
いでいる者が災難だ、わしは
鐚一文
(
びたいちもん
)
もあんなのに出すのは御免だ
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「へへへ、雀ら、
嫉
(
そね
)
め嫉め、師匠の側にくっついてるから羨ましいのだろうよ。もそっと、くっつくか」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
十七番は
於宮
(
おみや
)
の前なり云々、太閤深く
嫉
(
そね
)
み思はるゝとかや。最後の体、おとなしやかに念佛して
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
霙の中に二時間余り
曝
(
さら
)
されていても、脳病院の裏には人っ子一人来ないのです。そこで始めて、あの電報が、私の幸福を
嫉
(
そね
)
んだ悪党の仕業だったと云うことが判りました。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
なぜと云ふに、イワンは不断人を
嫉
(
そね
)
む男で、めつたにこんな事を言ふ筈はないからである。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
宜
(
よろ
)
しい訳でしたが、どうも世の中というものはむずかしいもので、その人が良いから出世するという風には
決
(
きま
)
っていないもので、かえって
外
(
ほか
)
の者の
嫉
(
そね
)
みや憎みをも受けまして
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると、その連中の中に、この事を
口惜
(
くや
)
しがり、富五郎の芸を
嫉
(
そね
)
むものがあって、
私
(
ひそか
)
に
湯呑
(
ゆのみ
)
の中に水銀を
容
(
い
)
れて富五郎に飲ませたものがあったのです。そこは素人の悲しさに、湯くみがない。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
嫉
(
そね
)
みを買わないように、またこうもいう——「美しい夕陽だ」——。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
悪い人に
嫉
(
そね
)
まれて殺されたのです。
愚助大和尚
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
国府
(
こう
)
の
住居
(
すまい
)
には、幾人もの
側女
(
そばめ
)
がいて、その人々が、めいめい、年景の
寵
(
ちょう
)
を争うので、
嫉
(
そね
)
みぶかい女同士の争いが、絶えたこともございませぬ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは皆
怪訝
(
かいが
)
するとともに喜んだ人たちであるが、近所の若い男たちは怪訝するとともに
嫉
(
そね
)
んだ。そして口々に「岡の小町が猿のところへ往く」と噂した。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
死を許す深い仲を、
傍
(
そば
)
で見て
嫉
(
そね
)
むのではない、死の運命に落ち行く男女の粗末な命を
嘲
(
あざけ
)
るのであろう。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分の不幸を悲しむ心は、往々にして他人の幸福を
嫉
(
そね
)
む心と裏表になっている。みずから希求するような道徳的状態に、自分の心の現実はなっておらず、またなることができない。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
辛抱次第で
行々
(
ゆく/\
)
は
暖簾
(
のれん
)
を分けて遣る、其の代り辛抱をしろ、
苟
(
かりそめ
)
にも曲った心を出すなと
熟々
(
つく/″\
)
御意見下すって、
余
(
あんま
)
り私を
贔屓
(
ひいき
)
になすって下さいますもんだから、番頭さんが
嫉
(
そね
)
んで
忌
(
いや
)
な事を致しますから
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人を憎んだり
嫉
(
そね
)
んだりすることは、日常、人一倍烈しい
質
(
たち
)
の又八であるが、
呪咀
(
じゅそ
)
するほどの強い意力は、人を恨むことにすら出来ない
質
(
たち
)
の又八であった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声色屋
(
こわいろや
)
がお
捻
(
ひね
)
りを貰うのを
羨
(
うらや
)
んでみたり、新内語りが座敷へ呼び上げられるのを
嫉
(
そね
)
んだり、たまにおいらんの通るのを見て口をあいたりしながら、
笠鉾
(
かさほこ
)
の間を泳いでいましたが
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしまた、浄土門を、
呪詛
(
じゅそ
)
する
側
(
がわ
)
の他宗の僧は、いっそう、彼を
悪罵
(
あくば
)
し、彼を
嫉
(
そね
)
んだ。わけても
播磨房
(
はりまぼう
)
弁円は
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
別物でも、おんなじ物でも何でもかまいませんから、そうして置いて上げてくださいまし、そのお稲荷様が
嫉
(
そね
)
むなら嫉まして上げようじゃありませんか、ね、そうして置いてお話を
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのこともなく、殿が、御出仕あれば、
寵
(
ちょう
)
を示され、
公卿輩
(
くげばら
)
が、
嫉
(
そね
)
み出すと、見えすいた陰謀も、知らぬお顔というのでは、殿が、
生殺
(
なまごろ
)
しというものだぞやい
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こりゃあ
必定
(
てっきり
)
、船の中に見込まれた人があるのだ、その見込まれたというのはほかじゃねえ、船ん中でたった一人の女のお客様を、海の神様が
嫉
(
そね
)
んでいたずらをなさるに違えねえのだから
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
こういう
頭脳
(
あたま
)
が、奉公人たちの中に
混
(
ま
)
じっていたら、奉公人には目まぐるいであり、憎まれ
嫉
(
そね
)
まれるのは当然である。——嘉兵衛は、そう思って苦笑をうかべた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みんな
嫉
(
そね
)
んでそういうことをするんだな、おれが美い女房を持っているものだから、それをけなれがって、寄ってたかって、あんまりひでえことをしやがら、だから承知ができねえ、さあ
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その功を奪われてしまったような
嫉
(
そね
)
みが、胸のどこかで
滲
(
にじ
)
み出していたのだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
嫉
(
そね
)
んだりにくがったりしているではございませんか
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……それ程そちは、人の
嫉
(
そね
)
みをうける
質
(
たち
)
じゃ。ようく心得て人中で働けよ
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“嫉”の解説
嫉 (しつ)(sa: īrṣyā、イールシヤー)は、仏教が教える煩悩のひとつ。
嫉み。自分だけの利益や世間の評判(名聞利養)を希求し続けると、人の栄達等を見聞きすると深い嫉妬を起こすようになる。そのような心の状態を嫉という。妬み深い人はこの心を増長しやすい。
説一切有部の五位七十五法のうち、小煩悩地法の一つ。唯識派の『大乗百法明門論』によれば随煩悩位に分類され、そのうち小随煩悩である。
(出典:Wikipedia)
嫉
常用漢字
中学
部首:⼥
13画
“嫉”を含む語句
嫉妬
嫉妬深
嫉妬心
嫉妬家
嫉視
媢嫉
大嫉妬
嫉妬焼
嫉悪
嫉妬男
嫉妬喧嘩
嫉刀
嫉刃
嫉妒
嫉刄
憎嫉
怨嫉
嬌嫉
憤嫉
嫉転
...