夜叉やしや)” の例文
又人きながらにして鬼にするもあり。五八楚王そわうの宮人はをろちとなり、五九王含わうがんが母は六〇夜叉やしやとなり、六一呉生ごせいが妻はとなる。
「見るが宜い。——持前の愛嬌などは何處にもない、夜叉やしやのやうな女ぢやないか——あツ舌を噛み切りやがつた」
世間からは私までが夜叉やしやのやうに謂はれる、私がまた其れが死ぬよりもらかツたんですけれども、これがゐてゝ見りや、貴方、豈夫まさかに別れることも出來ないじやありませんか。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
(本文に火車といふは所謂いはゆる夜叉やしやなるべし、夜叉の怪は唐土の書にもあまた散見せり。)
憂色、おもてに現然たる議長が何やらんくちを開かんずる刹那せつなノーツ」と一声、巨鐘の如く席の中央より響きたり、よ、菱川硬二郎は夜叉やしやの如く口頭よりほのほを吐きつゝ突ツ起ちてあり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
其處そこで、暑中休暇しよちうきうか學生がくせいたちは、むしろ飛騨越ひだごえ松本まつもとけんをかしたり、白山はくさんうらづたひに、夜叉やしやいけおく美濃路みのぢわたつたり、なかには佐々成政さつさなりまさのさら/\ごえたづねたえらいのさへある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は乱せる髪を夜叉やしやの如く打振り打振り、五体ごたいみて、くちびるの血を噴きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
美しい夜叉やしや
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(本文に火車といふは所謂いはゆる夜叉やしやなるべし、夜叉の怪は唐土の書にもあまた散見せり。)
一と走り本道の石齋せきさい先生をつれて來た時は、萬事はもう手おくれで、妖艶無比の女——毒のある花のやうなお小夜は、猛毒と鬪つた苦惱のために、さながら夜叉やしやの面のやうに變貌へんばうして
とほあと見返みかへれば、かぜつた友船ともぶねは、千すぢ砂煙すなけぶりをかぶつて、みだれて背状うしろさまきしなつて、あたか赤髪藍面せきはつらんめん夜叉やしやの、一水牛すゐぎうくわして、苜蓿うまごやしうへころたるごとく、ものすさまじくのぞまれた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
護摩壇ごまだんむかつて、ひげかみおどろに、はりごと逆立さかだち、あばらぼねしろく、いき黒煙くろけむりなかに、夜叉やしや羅刹らせつんで、逆法ぎやくはふしゆする呪詛のろひそう挙動ふるまいにはべくもない、が、われながらぎんなべで、ものを
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)