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加减
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かげん
夫ではお
前加减でも
惡るいか、まあ
何うしたと
言ふ
譯、
此處まで
挽いて
來て
厭やに
成つたでは
濟むまいがねと
聲に
力を
入れて
車夫を
叱れば、
御免なさいまし
今朝から
美登利の
機嫌が
惡くて
皆なあぐねて
困つて
居ます、
遊んでやつて
下されと
言ふに、
正太は
大人らしう
惶りて
加减が
惡るいのですかと
眞面目に
問ふを、いゝゑ
無敵にわけのわからぬ
強情の
加减、
唯〻女房にばかり
手やはらかなる
可笑しさも
呑込めば、
伯母なる
人が
口先ばかりの
利口にて
誰れにつきても
根からさつぱり
親切氣のなき
厭やな
正太さんだと
憎くらしげに
言はれて、
夫れならば
歸るよ、お
邪魔さまで
御座いましたとて、
風呂塲に
加减見る
母親には
挨拶もせず、ふいと
立つて
正太は
庭先よりかけ
出しぬ。
夫れで
丁度能い
加减に
疲れて
仕舞、そんなにお
前正直で
務る
物かと
嘲笑ふやうに
言へば、
大きにさといふ、
相手は
茂助がもとの
安五
郎がこゑなり、
正直といえば
此處の
旦的が一
件物
今更難義と
思ふ
時もあれど、
召使ひの
人々心を
得て
御命令なきに
眞柴折くべ、お
加减が
宜しう
御座りますと
朝床のもとへ
告げて
來れば、
最う
廢しませうと
幾度か
思ひつゝ、
猶相かはらぬ
贅澤の一つ