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初春
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ふりがな文庫
“
初春
(
はる
)” の例文
「ええい、智慧のねえ奴だ。せっかく
黄金
(
こがね
)
の
蔓
(
つる
)
をひいて来た福運を、
初春
(
はる
)
早々、追い払う阿呆があるか。飛んでもねえ馬鹿者ぞろいだ」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どッ! と、浪のような笑声が、諸士の口から一つに沸いて、
初春
(
はる
)
らしく、豊かな
波紋
(
はもん
)
を描いた。が、笑い声は
長閑
(
のどか
)
でも、どうせ
嘲笑
(
ちょうしょう
)
である。
愚弄
(
ぐろう
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
全躰あのお
孃
(
こ
)
をどうなさる覺しめしぞや、
初春
(
はる
)
の三日の歌がるたに、其うつくしきお顏を見せましたは私しの咎なれど、誠の罪は何處やらのお人と田原がことに話しの移れば
花ごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「何かお慰みにと、
初春
(
はる
)
の
蓬
(
くさ
)
など探させました。甘味は干柿の粉を掻き溜めたもの。
甘葛
(
あまずら
)
とはまた風味もかくべつ違いますので」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
門松、
注連繩
(
しめなわ
)
を焼く煙りが紫いろに辻々を
色彩
(
いろど
)
って、
初春
(
はる
)
らしい風が、かけつらねた絣の
暖簾
(
のれん
)
に
戯
(
たわむ
)
れる。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
我れながら
解
(
げ
)
しがたき心のいづ方に向ひてすゝむらん、あとにも先にも今日までに逢ひみしは
初春
(
はる
)
の三日、年始まはりの屠蘇の醉ひ、目もとにあらはれて心は夢ところげこみし谷中のやどに
花ごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「すぐ
初春
(
はる
)
だわ。春となっても、闘犬は見られんのか。踊りも踊れまいか。……いったい、いつまで軍勢を送りつづけるのだ」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒間には、法皇のお覚えよき寿王とかいう冠者の“
落蹲
(
らくそん
)
ノ舞”などあって、女房たちの座も
初春
(
はる
)
らしい灯に笑いさざめいた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初春
(
はる
)
の櫛だの、やれ下駄だの、
扱帯
(
しごき
)
だのとねだられたあげく、小料理屋で飲んで喰って、すっかり財布の底をハタいてしまったいい気な客は
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
年暮
(
くれ
)
のうちに、烏丸家の奥から戴いたという
初春
(
はる
)
の小袖を着、ゆうべは髪を洗ったり
結
(
ゆ
)
ったりして、今朝を楽しみに寝もやらない様子であったのだ。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土着の人々の切ない気持も
無下
(
むげ
)
にできない気がして、
初春
(
はる
)
には、北国を立つつもりでいた予定を云い出しかねていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何ですって、あの城太さんが私の子かというんですか。私はまだ、
初春
(
はる
)
を迎えて、やっと
二十歳
(
はたち
)
を一つ越すんです。そんなに年を
老
(
と
)
って見えますか」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もう、
結納
(
ゆいのう
)
もすみ、あの家では、
初春
(
はる
)
の支度で、花嫁の準備で、
友禅
(
ゆうぜん
)
小布
(
こぎ
)
れや
綿屑
(
わたくず
)
が、庭先に掃き出されてあるのでもそれが分る——と、云うのだった。
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、陽気にしてしまう清盛が、わけてもこの頃はご機嫌なのであるから、六波羅一
廓
(
かく
)
のことしの正月こそは、
寔
(
まこと
)
に、
初春
(
はる
)
らしい陽気に
充
(
み
)
ちあふれていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
淀のながれには、門松の輪飾りや、
初春
(
はる
)
のものを乗せた小舟が
忙
(
せわ
)
しげに
棹
(
さお
)
さしていた。それを見ると、朱実は
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「はい、はい。またお世話になろうも知れませぬ。
年暮
(
くれ
)
から
初春
(
はる
)
を越して、思わず
三月越
(
みつきご
)
しになりましたのう」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
範宴は、
網代牛車
(
あじろぐるま
)
を打たせて、
青蓮院
(
しょうれんいん
)
の僧正のもとへ、これから
初春
(
はる
)
の
賀詞
(
がし
)
をのべにゆこうと思うのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうさ、
初春
(
はる
)
だもの。開けておけばお獅子だの
太神楽
(
だいかぐら
)
だの、お前さんみたいな長い顔だのと、
碌
(
ろく
)
なものは舞いこんで来ないから
閉
(
し
)
めッ放しにしてあるんだよ。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
年暮
(
くれ
)
から
初春
(
はる
)
を越すと、砂金のかねは半分以上も手をつけてしまっていた。——また、雪が解ける。四、五月が近い。
黄金売
(
かねうり
)
吉次が京へ出て来る頃となろう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ご遠慮のいる人物ではない。
初春
(
はる
)
でもあれば、まあ、ゆるりとなされ」といった。範宴は、案内について
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただしく過去をかぞえれば、武家幕府の創始者、頼朝の没後から百二十二年目にあたる
初春
(
はる
)
である。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その中に——やがて十二月も近い——すぐ来る次の
初春
(
はる
)
を待とうともせず、しいんと、四十七名の老若の精神が、一つに凝り固まって、死のうとしているのであった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初春
(
はる
)
迫る年越しを前に、秀吉は、
江北
(
ごうほく
)
の一部にたいし、
断乎
(
だんこ
)
重大な軍事行動を起していたし、同時に、徳川家康も、何を思うか、
急遽
(
きゅうきょ
)
、浜松へひきあげを開始していた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
去年
(
こぞ
)
の冬から
初春
(
はる
)
へかけて、都の御陣は、やごとなきあたりからあなたさまやら郎党たちまで、矢たけびのなかに明け暮れのおすごしとあるのに、河内の奥は何事ものう
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
按
(
あん
)
ずるに、火の
原因
(
おこり
)
は、昼、
初春
(
はる
)
の
宴
(
うたげ
)
に、たくさんな
花籃
(
はなかご
)
が持ち込まれており、上には、蝶花の祭り
簪
(
かんざし
)
がたくさん
挿
(
さ
)
してあったが、
籃
(
かご
)
の底には、
硫黄
(
いおう
)
、
焔硝末
(
えんしょうまつ
)
、火薬玉などが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
記憶がふっと
断
(
き
)
れている。そして、二十七歳の
初春
(
はる
)
をもっていま生れ
甦
(
かえ
)
った感じである。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
華やかに
扮装
(
いでた
)
った鉄騎五百人と軍楽隊との“
元宵
(
げんしょう
)
の行列”にまもられて城中の“
初春
(
はる
)
の
宴
(
うたげ
)
”から
退
(
さ
)
がってきた
梁中書
(
りょうちゅうしょ
)
の通過を、男女の見物人とともに見送っていたものらしいが
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
信長は、家臣へそう云いおいて、
初春
(
はる
)
早々、三河方面へ、
放鷹
(
ほうよう
)
の旅に出立したという。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
必勝の進軍、間近し。
初春
(
はる
)
三箇日
(
さんがにち
)
は、大いに飲み、大いに心胆を養っておくがよろしい
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「この
初春
(
はる
)
は諸事祝儀も一切、先の
佳
(
よ
)
い年に延ばしたが、これは臨戦の門祝いである」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一色刑部
(
いっしきぎょうぶ
)
の許へ助けて行かれ、そこで年を越え、次の
初春
(
はる
)
早々、都へ出たのだった。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と保身にあわてて、
年暮
(
くれ
)
から
初春
(
はる
)
の極寒を、
賀名生
(
あのう
)
の奥へ、そして、みかどの御母
新待賢門院
(
しんたいけんもんいん
)
へ、とくにまた、北畠親房などへ、ごきげんをとり結ぶべく、われがちに上って行った。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
このあいだに、
初春
(
はる
)
をまたいで、野は残雪まだらに、若草の浅みどりを呈していた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もう
明日
(
あした
)
、
明後日
(
あさって
)
、ふた晩寝るとお正月だな。
初春
(
はる
)
には何か買ってやろうか」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思うと、
初春
(
はる
)
早々、湖を渡って来た大船は
夥
(
おびただ
)
しい建築の資材を浜に積みあげ、一帆また一帆、船のつくたび上がって来る人員は、忽ち近郷の民衆を、
廂
(
ひさし
)
の端まで埋めてしまうほどだった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初暦
(
はつごよみ
)
のうえに、元禄十六年の
初春
(
はる
)
がもう二日、三日と数えられてゆく。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よくぞよくぞ、これまでに励まれた。亡き良持どのがお
在
(
わ
)
したら、いかばかり歓ばれようぞ。——さすがは、桓武帝の
末裔
(
まつえい
)
たる御子将門どのよ。わしも、どんなにか、うれしいか知れぬ。よい
初春
(
はる
)
を
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこはかとなく、
仄
(
ほの
)
かな
燭
(
しょく
)
は
燈
(
とも
)
されはじめている。女房衆の声かと思う。遠く近く
嘻々
(
きき
)
としたさざめきが洩れて来る。安土の奥の殿深くは、宵ごとにちかづく
初春
(
はる
)
を待つ支度などに忙しいのであろう。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おつみは、その
初春
(
はる
)
、初めて
垢
(
あか
)
のつかない小袖を着たので
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(自分ですら、こうして、新しい
初春
(
はる
)
に巡り会えば——)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これがわしの待っていた正月なのだ。天下の
初春
(
はる
)
だ」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それには、
初春
(
はる
)
にかかっては、何かと、困り申すので
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり
初春
(
はる
)
は二十日の七里ヶ浜大馬揃いなのである。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初春
(
はる
)
なれや 明けたり
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
春
常用漢字
小2
部首:⽇
9画
“初春”で始まる語句
初春着
初春空