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出方
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でかた
ふりがな文庫
“
出方
(
でかた
)” の例文
権威ある連中の来た時など、祝儀をもらった
出方
(
でかた
)
が、花道に並んでその連中に見物の礼を述べたり、
手打
(
てうち
)
をしたりして賑わしかった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そのうちに
馴染
(
なじみ
)
の芝居茶屋の若い者や劇場の
出方
(
でかた
)
などが番附を配って来る。それは郵便のように
門口
(
かどぐち
)
から投げ込んでゆくのではない。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と謂ツたが、
音
(
おん
)
の
出方
(
でかた
)
まで下司な下町式になツて、以前凛とした
點
(
とこ
)
のあツた顔にも氣品がなくなり、何處か仇ツぽい愛嬌が出來てゐた。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
広田先生は夫で
話
(
はなし
)
を切つた。鼻から例によつて
烟
(
けむり
)
を
吐
(
は
)
く。与次郎は此
烟
(
けむり
)
の
出方
(
でかた
)
で、先生の気分を
窺
(
うかが
)
ふ事が
出来
(
でき
)
ると云つてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
二階から
此方
(
こなた
)
の家の勝手口へ遠慮なく
塵
(
ちり
)
を掃き落すというので
出方
(
でかた
)
のかみさんは田舎者は仕様がないとわるく言切っている。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
一座は粂吉を初めとして、番頭格の馬春堂、用心棒の道中師の伊兵衛、若い娘芸人や
出方
(
でかた
)
や男衆などの小屋者、すべて、すぐッて十七、八名
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口上言いや
出方
(
でかた
)
が飛んで行って、印度人を連れ戻そうとするのを、印度人は
頓着
(
とんちゃく
)
なしに楽屋に逃げ込んでしまいます。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そんな
出方
(
でかた
)
もあったか、などと言われると、僕は実に、どうにも不愉快だ。殴ったのは、僕の失態でした。ごめんなさい。かっとしちゃったのです。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
玉川向
(
たまかはむか
)
ふ、
即
(
すなは
)
ち
神奈川縣下
(
かながはけんか
)
に
屬
(
ぞく
)
する
方面
(
はうめん
)
には、
餘
(
あま
)
り
有望
(
いうぼう
)
の
貝塚
(
かひづか
)
は
無
(
な
)
い。いや
貝塚
(
かひづか
)
としては
面積
(
めんせき
)
も
廣
(
ひろ
)
く、
貝層
(
かひそう
)
も
深
(
ふか
)
いのが
無
(
な
)
いでも
無
(
な
)
いが、
土器
(
どき
)
の
出方
(
でかた
)
が
甚
(
はなは
)
だ
惡
(
わる
)
い。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
名に負う
大家
(
たいけ
)
の事でございますから、お大名様方にもお
出入
(
でいり
)
が沢山ございまして、それが為めに奉公人も
多人数
(
たにんず
)
召使い、又
出方
(
でかた
)
車力
(
しゃりき
)
なども多分に河岸へ参りますゆえ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ある日の事、私が何気なく見物していますと、一人の
出方
(
でかた
)
が、それはそれは見事なお菓子、今のような
餅
(
もち
)
菓子ではなく、手の入った干菓子の折に入ったのを持って来て
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
のち
木挽
(
こびき
)
町の芝居守田
勘弥
(
かんや
)
座の
出方
(
でかた
)
の妻となったが、まもなく夫と死別し、性来の
淫奔大酒
(
いんぽんたいしゅ
)
に加うるにばくちを好み、年中つづみの与吉などというならずものをひきいれて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、
出方
(
でかた
)
がいった。
出方
(
でかた
)
は、いい
終
(
お
)
わると、
拍子木
(
ひょうしぎ
)
をたたいて
小舎
(
こや
)
の
奥
(
おく
)
へ
入
(
はい
)
りました。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……一がいに茶屋や
出方
(
でかた
)
を止そうとなすってみごとおしくじりなすった。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
空子 あなたの
出方
(
でかた
)
次第よ。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「いや、ペエペエならまだ好い。この間、僕が通ったら、ありゃあ
出方
(
でかた
)
かしらと言っていた。あいつらはどうも口が悪くていけないよ。」
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
粂
(
くめ
)
の
嵐
(
あらし
)
粂吉は、その突き当りの二畳ばかりな狭い場所に、一枚のビラ幕を下げて鏡台をひかえていましたが、そこへ一人の
出方
(
でかた
)
が腰をかがめて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ありがとう
御在
(
ござい
)
ます。お酒はどうも……。」と
出方
(
でかた
)
は再びエヤシップを耳にはさんでもじもじしている。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それを一桝とれとか二桝ともいった。
桟木
(
ませ
)
は——ツマリ仕切りは、
出方
(
でかた
)
——劇場員によって取りはずしてくれるから、連れであることは桝を見ればわかるのだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
木戸番と役割とがここで組打ちを始めてしまうと、最初からこの近いところにいた口上言いや
出方
(
でかた
)
や世話役の連中、これもあんまり市五郎が
横柄
(
おうへい
)
で乱暴だから飛んで来て
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
広田先生は例によつて烟草を呑み
出
(
だ
)
した。与次郎は之を評して鼻から哲学の
烟
(
けむ
)
を吐くと云つた。成程
烟
(
けむ
)
の
出方
(
でかた
)
が少し
違
(
ちが
)
ふ。悠然として太く逞ましい棒が二本穴を
抜
(
ぬ
)
けて
来
(
く
)
る。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
楽屋に通ずる、高座の横の戸があいて、あわてた顔の
出方
(
でかた
)
のひとりが、現れた。壁ぎわの板廊下を木戸口のほうへ急いだかと思うと、すぐ席主の幸七を呼んで引っ返して来た。
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そういう
出方
(
でかた
)
をなさろうとは、智慧者のポローニヤスにも考え及ばぬ事でした。ポローニヤスも、お言葉のように、としをとったものと見えます。なるほど、いやな噂が、もう一つあった。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
先
(
ま
)
ずこれだけは
余所
(
よそ
)
の物を拾ったのじゃねえ、
家
(
うち
)
の物を拾ったのだから、これは旦那様へ上げべえ、
私
(
わし
)
が斯うして人に見せれば
些
(
ちっ
)
とは
出方
(
でかた
)
のものも草履を
大事
(
でえじ
)
にしべえと思って、お手本に貯めたので
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この座の特色としては、在来の男の
出方
(
でかた
)
を全廃して、場内の案内や食物の世話などは、すべて若い女に扱わせていたのである。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
芝居へ入って前の方の
平土間
(
ひらどま
)
へ陣取る。
出方
(
でかた
)
は新次郎と言って、阿久の懇意な男であった。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
広い
寄席
(
よせ
)
の真中にたった一人取り残されて、楽屋の
出方
(
でかた
)
一同から、冷かされてるようなものだ、
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
は無論である。ことさら今の自分に取っては心細い。のみならず
袷
(
あわせ
)
一枚ではなはだ寒い。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
出方
(
でかた
)
の男は、
楽屋
(
がくや
)
裏の
蓆
(
むしろ
)
を上げて
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
劇場の
出方
(
でかた
)
や茶屋の若い者などは、休場中に思い思いの内職を稼ぐのが習いで、焼鳥屋、おでん屋、飴屋、
糝粉
(
しんこ
)
屋のたぐいに化けるのもあった。
半七捕物帳:54 唐人飴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今の築地二丁目の
出方
(
でかた
)
の二階へ引っ越して来た時には、女から
貰
(
もら
)
った
手切
(
てぎれ
)
の三千円はとうに
米屋町
(
こめやまち
)
で
大半
(
あらかた
)
なくしてしまい、
残
(
のこり
)
の金は一年近くの
居食
(
いぐい
)
にもう数えるほどしかなかった。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
芸者、芸人、
鳶者
(
とびのもの
)
、芝居の
出方
(
でかた
)
、
博奕打
(
ばくちうち
)
、皆近世に関係のない名ばかりである。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
茶屋の若い者や
出方
(
でかた
)
のうちでも、
如才
(
じょさい
)
のないものは自分たちの客をさがしあるいて、もう幕があきますと触れてまわる。それにうながされて、少年もその父もその姉もおなじく急いで帰ろうとする。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と見れば、同じ軒の下の右側の窓はこれまで閉めきってあったのが、今夜は明くなって、
燈影
(
ほかげ
)
の中に丸髷の顔が動いている。新しい
抱
(
かかえ
)
——この土地では
出方
(
でかた
)
さんとかいうものが来たのである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“出方”で始まる語句
出方中