兩端りやうはし)” の例文
新字:両端
しか卯平うへい僅少きんせう厚意こういたいしてくぼんだ茶色ちやいろしがめるやうにして、あらひもせぬから兩端りやうはしちひさなあな穿うがつてすゝるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
而もをかしなことには、水に濡れることをでもよけてゐるかのやうに、兩手で以つて衣物の裾の兩端りやうはしをはしよつてゐる。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
積重つみかさね其上へやつ這上はひあがくだんひも兩端りやうはしを柱の上へ縛付しばりつけ首に卷つゝ南無阿彌陀佛のこゑ諸倶もろとも夜着の上よりまろび落れば其途端はずみに首くゝれ終にぞ息はえたりけるかへつとくお菊は田原町にて金の相談せしに金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
眞中頃まんなかごろで、向岸むかうぎしからけて郵便脚夫いうびんきやくふ行合ゆきあつて、遣違やりちがひに一緒いつしよになつたが、わかれてはし兩端りやうはしへ、脚夫きやくふはつか/\と間近まぢかて、與吉よきちの、たふれながらになかばんだ銀杏いてふかげちひさくなつた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
與吉よきちはにかんだやうにして五りん銅貨どうくわくちびるをこすりながらつてた。かれくち兩端りやうはしにはからすきうといはれてかさ出來できどろでもくつゝけたやうになつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
むぎられてたば兩端りやうはしいだたけぼうとほしてはたけそとかつされたときあとには陸稻をかぼ大豆だいづがひよろ/\とあをばんだはたけ勘次かんじ茄子なすみじかうねが五うねばかりになつてつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)