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りやうはし
眞中頃で、
向岸から
駈けて
來た
郵便脚夫と
行合つて、
遣違ひに
一緒になつたが、
分れて
橋の
兩端へ、
脚夫はつか/\と
間近に
來て、
與吉は
彼の、
倒れながらに
半ば
黄ばんだ
銀杏の
影に
小さくなつた。
與吉は
羞んだやうにして五
厘の
銅貨で
脣をこすりながら
立つて
居た。
彼の
口の
兩端には
鴉の
灸といはれて
居る
瘡が
出來て
泥でもくつゝけたやうになつて
居た。
麥が
刈られて
其の
束が
兩端を
切つ
殺いだ
竹の
棒へ
透して
畑の
外へ
擔ぎ
出された
時、
趾には
陸稻や
大豆がひよろ/\と
青ばんだ
畑に
勘次の
茄子は
短い
畝が五
畝ばかりになつて
立つて
居た。