何歳いくつ)” の例文
村長は四十何歳いくつという分別盛りの男で村には非常な信用があり財産もあり、校長は何時いつもこの人を相談相手にしているのである。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
兼「なんでございますねえ、本当にお堅いねえ、嬢様が余程よっぽどなんしていらっしゃいますのに、貴方お何歳いくつでいらっしゃいますえ」
何という廻りくどいことだ、……いや、俺は一体何歳いくつだというのだ。二十六七と言えば、花ならば今が満開だ。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
「おい万作! お前は幾歳いくつになつた。」と問ひますと「十二です!」と元気よく答へますが、其時「来年は何歳いくつになる?」と問ひますと、もう黙つてしまひます。
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
何歳いくつになってもかあいがられてうれしからぬ子はなきに、父に別れてよりひとしお母なつかしき武男、母の機嫌の直れるに心うれしく、快く夜食のはしをとりしあとは
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
小母さんは、この花粉の白粉で、額の溝のやうに深い、たくさんの皺をかくしてをりましたので、ほんとうの小母さんのとしが何歳いくつであるか、唖娘は知りませんでした。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
実際は自分が何歳いくつの時の事であったか、自分でそれを覚えて居たのではなかった。自分が四つの年の暮であったということは、後に母や姉から聞いての記憶であるらしい。
守の家 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「いえ、心配は御互で、こっちもちょうどどうかしなければならないのを二人背負しょい込んでるものだから、アハハハハどうも何ですね。何歳いくつになっても心配は絶えませんね」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「なるほど、私は覚えている。クリストフ・オリヴィエ・ジョルジュ……。何歳いくつになる?」
「なるほど。有難う。じゃあもう一つ訊かせて下さい。あの娘さんは、何歳いくつですか?」
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「アアそうですか。よろしい。承知しました」と女教師の旦那は、心やすい調子で、三吉から種々いろいろ聞取った後で言った。「橋本さんなら、私も御見掛申して知っています。御年齢おとし何歳いくつ位かナ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ほんとにサ戯談じょうだんじゃアない、何歳いくつになるとお思いだ、十八じゃアないか。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
可愛かわいや一向専念の誓を嵯峨さが釈迦しゃかたてし男、とし何歳いくつぞ二十一の春これより風は嵐山らんざんかすみをなぐってはらわた断つ俳諧師はいかいしが、ちょうになれ/\と祈る落花のおもしろきをもながむる事なくて、見ぬ天竺てんじくの何の花
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「さうすると、阿父さんが何歳いくつの時なんでせうね。」
蔭ひなた (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「ばかにするものか。実に美しい、何歳いくつになるのだ」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年齢とし何歳いくつ位?」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
御奉行樣が御聞き成れたと問ひければ三吉は内心にこゝだと思ひたゞ何歳いくつになるのうち何所どこだの父や母は有るかのと御聞なされたるばかりなりと云ふゆゑ皆々然樣さやうであつたかとかくすとは心も付ずサア/\ほど夜もふけたれば急ぐべしと一同そろひて山崎町の油屋へぞ歸りける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
作「與助さん貴方あんたもう何歳いくつになるねえ、まだわけえのう、長く奉公してるが五十を一つ二つも越したかえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その中で、体躯なりの小な子供に何歳いくつに成るかと聞いてみた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「坊樣、あなたはお何歳いくつ?」と訊ねた。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
清姫きよひめじゃになったのは何歳いくつでしょう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「おまえさん何歳いくつになるの?」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆるして砂利じやりの上に引居ひきすえられしてい此世の人とは見えざりけり白洲しらすの正面には大岡越前守殿着座ちやくざ有左の方には御目附土屋つちや六郎兵衞殿縁側えんがはには目安方めやすがた與力よりき下には同心に至る迄威儀ゐぎ嚴重げんぢうひかへたり此時大岡殿は武州幸手宿富右衞門とよばれ其方歳は何歳いくつなるぞと尋問とはれしかば富右衞門ハツと平伏し少し顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白「はゝア、お前は良石和尚と心安いか、あれは名僧だよ、智識だよ、実に生仏いきぼとけだ、茶は其処そこにあるから一人で勝手に汲んでお上り、ハヽアお前は侍さんだね、何歳いくつだえ」
「幸助殿今無事ならば何歳いくつぞ」と問う。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「兄さんは何歳いくつになるんです」
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何歳いくつさ」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大方あれは野合くッつきあって逃げた者であろう、寺男は何でも坊主で、女は何歳いくつぐらい、是々これ/\是々と云うことが、ぷいとお繼の耳に這入ったから、さてはとぐに川口へ来て尋ねると
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
にいさんは何歳いくつになるんです」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
幸「頼みやんすは面白い、勝手を知りませんから万事お前にまかせるからよ、お前何歳いくつだえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ゲーッ………有難うございます………御新造様アお何歳いくつでごぜいすか、お綺麗でおいでなさるなア何うも……御紋付がすっかりお似合いなさいますな……御新造様の御紋はお珍らしい
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
主「コウ、安兵衞どん、お前は何歳いくつにおなりだ、え、何歳になるよ」
美「おや可愛らしい事ね、女のお子さん、お何歳いくつに成ります」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「背中かね……おめいさん何歳いくつの時だね」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)