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世馴
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よな
ふりがな文庫
“
世馴
(
よな
)” の例文
この時分は
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
でさえあればにやにやして済ましたもんだ。そこへ行くと安さんは自分より
遥
(
はる
)
か
世馴
(
よな
)
れている。この
体
(
てい
)
を見て
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
言わずともわが身——
世馴
(
よな
)
れぬ
無垢
(
むく
)
の
乙女
(
おとめ
)
なればこうもなろうかと、彼女自身がそうもなりかねぬ心の
裏
(
うち
)
を書いて見たものと見ることが出来よう。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかし
世馴
(
よな
)
れた優善は鉄を子供
扱
(
あつかい
)
にして、
詞
(
ことば
)
をやさしくして
宥
(
なだ
)
めていたので、二人の間には何の衝突も起らずにいた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
で由三は、餘りに綾さんの
世馴
(
よな
)
れた所置振り、何んとも謂はれぬ一種の不快を感じた。其でも
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
話が
定
(
きま
)
ツて、由三の一家は
直
(
すぐ
)
に其の家へ引越した。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「はい取って下さいまし、」とやっといったが、
世馴
(
よな
)
れず、
両親
(
ふたおや
)
には甘やかされたり、大恩人に対し遠慮の無さ。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
他
(
ほか
)
の男はお前さんとはちがって
世馴
(
よな
)
れているから、わたしの財産に目をつけないとも限らない。それ
故
(
ゆえ
)
家へは入れずに、
距離
(
へだて
)
を置いて、外で
逢
(
あ
)
っているのだ。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何かへ、一
途
(
ず
)
になっている若い心に、無理な、逆らい立てをしてもよくあるまいと、
世馴
(
よな
)
れたお吉は程よく足止めをしておいて、今日はそれとなく川長へ行った。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのミルヤニヤがしばしばこの世をおとずれ、
世馴
(
よな
)
れ神とまで
誉
(
ほ
)
めたたえられていたのであった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかしもう年取っているし
世馴
(
よな
)
れているので、それを少しも気にしなかった。その民族的
傲慢
(
ごうまん
)
心は人の気を害するものではあったが、彼は別に心を痛められはしなかった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
世馴
(
よな
)
れた態度で、無造作に通路に遊んでいた椅子を二つ、逸作等のテーブルに引き寄せた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
きまりを悪がらせない
世馴
(
よな
)
れた態度が取れるものだと源氏は思った。だれにも言わずに、惟光はほとんど手ずからといってもよいほどにして、主人の結婚の三日の夜の餠の調製を家でした。
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
御意に入りましたら
蔭膳
(
かげぜん
)
を
信濃
(
しなの
)
へ
向
(
む
)
けて人知らぬ寒さを知られし都の
御方
(
おかた
)
へ
御土産
(
おみやげ
)
にと心憎き
愛嬌
(
あいきょう
)
言葉
商買
(
しょうばい
)
の
艶
(
つや
)
とてなまめかしく売物に
香
(
か
)
を添ゆる口のきゝぶりに利発あらわれ、
世馴
(
よな
)
れて渋らず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
本当に、心をも身をも捨てゝかゝる、真剣な異性の愛に飢えているのかも知れない。
世馴
(
よな
)
れた
色男風
(
ダンディふう
)
の男性に、
慊
(
あき
)
たらない彼女は、自分のような
初心
(
うぶ
)
な
生真面目
(
きまじめ
)
な男性を求めていたのかも知れない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
世馴
(
よな
)
れたわたしでさへ取り附く島がなかつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
世馴
(
よな
)
れざる野がくれわらべ
おもひで
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
世馴
(
よな
)
れた人間だと、すぐに、「おお。」と声を掛けるほど、よく似ている。がその似ているのを驚いたのでもなければ、思い掛けず出会ったのを驚いたのでもない。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お粂よりは、二つも年上であるが、
気質
(
きだて
)
もずっと明るく、
世馴
(
よな
)
れてもいた。すらりと細腰の美人で
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あなたが、白井道也とおっしゃるんで」と
大
(
おおい
)
なる好奇心をもって聞いた。聞かんでも名刺を見ればわかるはずだ。それをかように聞くのは
世馴
(
よな
)
れぬ文学士だからである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
クリストフの
世馴
(
よな
)
れないことをことに目だたせるような
慇懃
(
いんぎん
)
さで、自分の身を護っていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
騒ぎたたせようとするいとがあるふうにも感じられる子供っぽい
理窟
(
りくつ
)
、
世馴
(
よな
)
れない
腕白
(
わんぱく
)
さがあるのとは反対に、伝右衛門氏の方で、正式に離縁というのは、どことなく、どっしりして
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この亀沢町の家の隣には、
吉野
(
よしの
)
という
象牙
(
ぞうげ
)
職の老夫婦が住んでいた。
主人
(
あるじ
)
は町内の
若
(
わか
)
い
衆頭
(
しゅがしら
)
で、
世馴
(
よな
)
れた、
侠気
(
きょうき
)
のある人であったから、女房と共に勝久の身の上を引き受けて世話をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
世馴
(
よな
)
れた人の
如才
(
じょさい
)
ない
挨拶
(
あいさつ
)
としか長吉には聞取れなかった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それだけにまた娘の、
世馴
(
よな
)
れて、人見知りをしない様子は、以下の
挙動
(
ふるまい
)
で
追々
(
おいおい
)
に知れようと思う。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれど、答えるときになると、いつも
矢張
(
やは
)
りしどろになった。室殿はそれをまた、
世馴
(
よな
)
れない、奉公馴れない、彼女の良さとでも見ているように、ときにはわざと、からかったりするのであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世馴
(
よな
)
れた人の
如才
(
じよさい
)
ない
挨拶
(
あいさつ
)
としか
長吉
(
ちやうきち
)
には
聞取
(
きゝと
)
れなかつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
年紀
(
とし
)
はお京より三つ四つ姉さんだし、勤務が勤務だし、
世馴
(
よな
)
れて身の
動作
(
こなし
)
も柔かく、内輪の
裡
(
うち
)
にもおのずから世の中つい通り——ここは大衆としようか——大衆向の
艶
(
つや
)
を含んで
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
馴
漢検準1級
部首:⾺
13画
“世”で始まる語句
世
世界
世間
世話
世帯
世人
世辞
世嗣
世故
世子