下草したくさ)” の例文
この壁柱かべはしら星座せいざそびえ、白雲はくうんまたがり、藍水らんすゐひたつて、つゆしづくちりばめ、下草したくさむぐらおのづから、はなきんとりむし浮彫うきぼりしたるせんく。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼らにして他の家を継がずんば、終身部屋ずみとどまり、碌々として世の下草したくさとなり、その姓名を歴史に留むべくもあらず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
戦後せんごになって、どこからか植木屋うえきやがここへ移植いしょくしたものです。いろいろの下草したくさは、しもにやけてあかいろづいていたし、つちは、くろくしめりをふくんでいました。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
母家おもやから別れたその小さな低い鱗葺こけらぶきの屋根といい、竹格子の窓といい、入口いりくちの杉戸といい、殊に手を洗う縁先の水鉢みずばち柄杓ひしゃく、そのそばには極って葉蘭はらん石蕗つわぶきなどを下草したくさにして
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
お隣り寄りの、小瓦葺こがわらぶきの土塀の裾に、大きない穴があいているでしょう。下草したくさが、まだ露でしっとりと濡れているころ、あたしは、毎朝、そこでボクさんを待っていますの。
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
越中西礪波にしとなみ埴生はにゅう村大字埴生字長に矢立山という地がある。これも加賀との境らしい。『こし下草したくさ』によれば越中より倶利迦羅くりから道へ出づる間道なり、一に矢立越という。名義不詳。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
萱門かやもん押破おしやぶつて散々さん/″\下草したくさをおあらしになりましたとこ御胆力ごたんりき、どうも誠に恐入おそれいりました事で、今日こんにち御入来ごじゆらいなんともうもじつ有難ありがたことで、おほきにほまれに相成あひなります、何卒どうぞすみやかに此方これへ/\。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
繊弱かよわく低き下草したくさ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
萱門かやもんつてめてあるのを無理に押したから、かんぬきけ、とびらはずみになかころがりみ、泥だらけになつて、青苔あをごけ下草したくさあらし、すべつてころんで石燈籠いしどうろう押倒おしたふし、まつるといふさわぎで
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)