“じみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
地味31.3%
質素26.6%
滋味10.9%
質実7.8%
染4.7%
老実3.1%
地見1.6%
慈味1.6%
朴茂1.6%
渋味1.6%
素樸1.6%
膩味1.6%
自身1.6%
質實1.6%
質直1.6%
野暮1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
丸髷(まるまげ)に結ったり教師らしい地味(じみ)な束髪に上げたりしている四人の学校友だちも、今は葉子とはかけ隔たった境界(きょうがい)の言葉づかいをして
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
質素(じみ)な浴衣に昼夜帯を……もっともお太鼓に結んで、紅鼻緒に白足袋であったが、冬の夜(よ)なぞは寝衣(ねまき)に着換えて、浅黄の扱帯(しごき)という事がある。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ととっさに見きわめて、畳のうえに呼び入れて差し向かい、一問一答のあいだに掬(きく)すべき興趣(きょうしゅ)滋味(じみ)こんこんとして泉のよう——とうとう夜があけてしまった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
教訓物や昔咄や「実語教稚講釈(じつごきょうおさなこうしゃく)」こう云ったような質実(じみ)な物へ、努めて世界を求めて行った。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いまにも象のような犬が飛出して来るのではないか、背後(うしろ)から大蛇のような蚯蚓(みみず)の奴が我々の隙をねらっているのではないか——そんな狂気染(じみ)た気持にさえなって来る。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
何だネエ汝(おまえ)は、朝ッぱらから老実(じみ)ッくさいことをお言いだネ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは自分の焼かれた焼跡をしきりにせせくって、舐(な)めたり乾かしたり、何ぞ落ちこぼれでもありはしないかと、地見(じみ)商売のような未練たっぷりのケチケチしたお化けぶりです。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
春信(はるのぶ)、春章(しゅんしょう)、歌麿(うたまろ)、国貞(くにさだ)と、豊満な肉体、丸顔から、すらりとした姿、脚と腕の肉附きから腰の丸味——富士額(ふじびたい)——触覚からいえば柔らかい慈味(じみ)のしたたる味から
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
かつお勢は開豁(はで)な気質、文三は朴茂(じみ)な気質。開豁が朴茂に感染れたから、何処(どこ)か仮衣(かりぎ)をしたように、恰当(そぐ)わぬ所が有ッて、落着(おちつき)が悪かッたろう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
質(たち)のいいのも悪いのも、気取ったのも気取らないのも、渋味(じみ)なのも華美(はで)なのも、大きいのも小さいのも、千差万別の種類があるうち、自分は質の良い方の盗人だというと、神尾が笑って
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
婆さんは柔和(にゅうわ)な微笑を浮かべて、こう述べたてながら二つの包みをほどいた。素樸(じみ)なメリンスの単衣であった。濃い水色に、白い二つの蝶を刺繍(ししゅう)したパラソルだった。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
白い下から紅(あか)みがさしている木村さんの皮膚にはつやつやとした潤(うるお)いと膩味(じみ)があるのに、青黝(あおぐろ)い夫の皮膚は金属性に乾(かわ)き切っている。アルミニュームのようにツルツルなのが今もって気味が悪い。
鍵 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
劔(つるぎ)は流星のように彼の手からはなれて、遠くの川にもぐり込んだ。そして彼自身(じみ)は大地をふるわしてドシンと倒れた。その拍子に大きな薔薇の木が押潰され、赤土が煙のように空に舞上った。
……内(うち)に二三年(にさんねん)遊(あそ)んで居(ゐ)た、書生(しよせい)さんの質實(じみ)な口(くち)から、然(しか)も實驗談(じつけんだん)を聞(き)かされたのである。が、聊(いさゝ)か巧(たくみ)に過(す)ぎると思(おも)つた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「ほんにねえ、大そう質直(じみ)でいて、引ッ立つ扮装(なり)をしているのね? 誰(だれ)だろう?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
かの時は華美(はで)から野暮(じみ)へと感染(かぶ)れたが、この度(たび)は、その反対で、野暮の上塗が次第に剥(は)げて漸(ようや)く木地(きじ)の華美(はで)に戻る。両人とも顔を合わせれば、只(ただ)戯(たわ)ぶれるばかり、落着いて談話(はなし)などした事更に無し。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)