質実じみ)” の例文
旧字:質實
……ゆいたての円髷まるまげに薄化粧して、質実じみだが黒の江戸褄えどづまの、それしゃにはまた見られない、こうとうな町家の内儀風の、しゃんと調ったお悦と、き心に肩を揃えて、私は
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
教訓物や昔咄や「実語教稚講釈じつごきょうおさなこうしゃく」こう云ったような質実じみな物へ、努めて世界を求めて行った。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
Wは『迷信、伝説の起原と精神異状』といったような比較的質実じみな方面から……又
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
二十七八に見える面長おもながな色のくっきり白い女であった。黒い筋の細かい髪を目だたないような洋髪にして、うす黄ろな地に唐草からくさ模様のある質実じみ羽織はおりているが、どこかに侵されぬ気品があった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
質実じみに話す。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)