“しけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シケ
語句割合
時化32.4%
不漁21.4%
暴風17.2%
暴風雨5.5%
湿気4.8%
風雨2.8%
師家2.1%
暴化2.1%
荒天2.1%
暴雨1.4%
荒海1.4%
湿1.4%
濕氣1.4%
史家0.7%
宗家0.7%
海上暴風雨0.7%
0.7%
雨天0.7%
風波0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「目と鼻の先、香山飯店へ行くんだ。時化しけで船が出ねえから飯を食いに行こうってえのに何もいちいちとがめることはねえでしょう」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「わたくしも明日は府中へ参ります所存。この頃中不漁しけで、生物なまものにもありつかず、やるせのうござれば、親分衆に取り持って貰って……」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこからもここからもかなたからも吹雪の竜巻が嵐を呼んであるいは地を這い空に昇って晴朗であった今日の日が、暴風しけの姿を現じて来た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひどい暴風雨しけでございますこと。旦那だんな様がいらッしゃいませんと、ねエ奥様、今夜こんばんなんざとても目が合いませんよ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
前に青竹のらち結廻ゆいまわして、その筵の上に、大形の古革鞄ただ一個ひとつ……みまわしてもながめても、雨上あまあがりの湿気しけつちへ、わらちらばったほかに何にも無い。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「途方もない。この風雨しけに夜釣なんか出来るものか。魚は釣れず、濡鼠ぬれねずみになって、大洗(大笑い)になるまでさ」
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
紀州鷲峰山じゆぶせん興国寺の開山法燈国師が八十七歳を迎へた時のことだつた。多くの弟子達は、師家しけの達者なうちにその頂相を残しておきたいものだと思つて、なにがしといふ彫師ほりしにそのことを依頼した。
それにしても、あのほがらかなひる前の天気が、二三時間隔てて、前触れもなく暴化しけて来るとは考えられない。これは山峡の気圧によるものであろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
荒天しけつづきのつれづれに、そのころの記録をつづり「密輸船」という題をつけて大竜出版社へ送ったままになっている。かれこれ一年ぐらい前のことである。
左近の怒り (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ソラッ暴雨しけだッ、というときには、眼も口も開けられないほどの大雨が、脳天からかけて、人間を石角に縫いつけた、そうして細引のような太いので、人間をまりのようにかがる、片足をもたげれば
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
今夜は荒海しけるかも知れぬと食堂のボーイにおどかされて、梨枝子は早くベッドに就いた。
落葉日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ヘエ行ってめえりました、蔵の方にゃ預かる者があるから心配しんぺいしなえがえ、何時いつでもけえったら直ぐに出すばいて、蔵の下は湿しけるから湿なえたけとこに上げて置くばいといってね
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蓋の澁紙も新らしくて一と月と經つたものではない、あの邊は濕氣しけるから、床下の紙がすぐ腐るよ、——主人の金の隱し場所をお絹が知つてゐて、伊三郎に教へたかも知れないといふのは大間違ひだ。
次の日は仲秋節ちゅうしゅうせつ。——史家しけの小作や奉公人は、昼から莚席えんせきの支度に忙しかった。羊をほふあひるや鶏をつぶすこと、何十羽かわからない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生半可なまはんか、彼が世上慾に目をひらいて、先祖代々からの庄屋づとめや百姓仕事を嫌いだしたら、かえって、わしの仕込んだ道も、史家しけにとってはあだになる
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしそういう時にジーッと静かにして居られますのが前に禅宗のお宗家しけ様から
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
海上暴風雨しけのためにいつもは房州へはいるはずの、仙台米の積船ふねが、いわしのとれるので名高い九十九里くじゅうくり銚子ちょうしの浜へはいった。江戸仙台藩の蔵屋敷からは中沢なにがしという侍が銚子へ出張した。
ほんとに考へて見れば昨夜ゆうべしけもあれはしけでなかつたのかも知れない
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
どうぢゃ! 噴水像みづふきどの! え、まだいておぢゃるか? え、いつまでも雨天しけつゞきか? 其許おぬしたんだひとつのちひさい身體からだで、ふねにもなれば、うみにもかぜにもなりゃる。
わたしはいちはやく、おだやかな印度洋の春の風波しけを、鏡面いつぱいに喚びおこすことに成功した。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)