荒天しけ)” の例文
いや、荒天しけをくらった乗合い舟、これも、後で思えば、一生の語り草です。またお眼にかかることがあるかどうか、お達者に——。
荒天しけつづきのつれづれに、そのころの記録をつづり「密輸船」という題をつけて大竜出版社へ送ったままになっている。かれこれ一年ぐらい前のことである。
左近の怒り (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
連絡船洞爺丸とうやまるが、その日海峡のひどい荒天しけをのりきって静かな函館湾にはいったとき、私は一種不思議な錯覚にとらえられていた。望郷の錯覚とそれをいってみようか。