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黙々
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もくもく
ふりがな文庫
“
黙々
(
もくもく
)” の例文
旧字:
默々
相手
(
あいて
)
は
黙々
(
もくもく
)
とした
少年
(
しょうねん
)
だが、
由斎
(
ゆうさい
)
は、たとえにある
箸
(
はし
)
の
揚
(
あ
)
げおろしに、
何
(
なに
)
か
小言
(
こごと
)
をいわないではいられない
性分
(
しょうぶん
)
なのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そして髭を剃るのをやめて、
黙々
(
もくもく
)
と、
炉端
(
ろばた
)
へ行って坐った。松代は
怖々
(
おずおず
)
と、炉端へ寄って行った。そしてお互いにしばらく
凝
(
じ
)
っと黙っていた。
栗の花の咲くころ
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
丁度
(
ちょうど
)
その時、時計は午後十時のところに針が
重
(
かさな
)
ったので、三人はその
儘
(
まま
)
、
黙々
(
もくもく
)
と立って、測定装置の前に、並んだのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
網代笠
(
あじろがさ
)
をかぶった三人の僧形は、
黙々
(
もくもく
)
として、その
礼
(
れい
)
をうけ、やがてあんないにしたがって、
菊亭殿
(
きくていどの
)
の奥へ、スーッと
姿
(
すがた
)
をかくしてしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……あたしたちの仲間には、たとえば、小道具係りのように、すこしもむくいられない仕事を、喰うや喰わずで
黙々
(
もくもく
)
とやっているひともあります。
キャラコさん:06 ぬすびと
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
千三は子どものときからなんとなく
黙々
(
もくもく
)
先生がこわかった。しかしかれとして学問をするにはこの
私塾
(
しじゅく
)
より他にはない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
お
爺
(
じい
)
さんはと
見
(
み
)
れば
何所
(
どこ
)
に
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、ただ
黙々
(
もくもく
)
として、あちらを
向
(
む
)
いて
景色
(
けしき
)
などを
眺
(
なが
)
めていられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
銀蠅
(
ぎんばえ
)
の飛びまわる四
畳
(
じょう
)
の
部屋
(
へや
)
は風も通らず、ジーンと音がするように蒸し暑かった。種吉が氷いちごを
提箱
(
さげばこ
)
に入れて持ち帰り、皆は
黙々
(
もくもく
)
とそれをすすった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それでいて、
黙々
(
もくもく
)
と寄り
添
(
そ
)
って、歩いているだけで、お
互
(
たが
)
いには、なにもかもが、すっかり
解
(
わか
)
りきっているのだ。あたたかい白砂だ。なごやかな春の海だ。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
大河がそこいらにあった木の枝を運び去ったあと、次郎は、まるで質のちがった二つのにがい味を、同時に心の中で味わいながら、
黙々
(
もくもく
)
として鋸をひいた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
頓
(
やが
)
て
嫁入
(
よめいり
)
行列は、
沈々
(
ちんちん
)
黙々
(
もくもく
)
として黒い人影は菜の花の中を、物の
半町
(
はんちょう
)
も進んだ
頃
(
ころお
)
い、今まで晴れていた四月の
紫空
(
むらさきぞら
)
が
俄
(
にわ
)
かに曇って、日が
明
(
あきら
)
かに射していながら絹糸の
如
(
よう
)
な細い雨が
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
佐助もお嬢様が話しかけて来ない限りは
黙々
(
もくもく
)
としてただ過ちのないように気を配った。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
とちのきも、しらかばの
木
(
き
)
も、
黙々
(
もくもく
)
として、やがてやってくる
凋落
(
ちょうらく
)
の
季節
(
きせつ
)
を
考
(
かんが
)
えているごとくでありました。あたりの
谷
(
たに
)
にこだまして、
夕暮
(
ゆうぐ
)
れを
告
(
つ
)
げるひぐらしの
声
(
こえ
)
が、しきりにしています。
谷間のしじゅうから
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「……」鴨田は
黙々
(
もくもく
)
として第一のタンクの傍へ寄り、スパナーで六角の締め金を一つ一つガタンガタンと
外
(
はず
)
していった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
回が進んだ、一対一が二対二となり、五回、六回におよんだとき、浦中は五点、
黙々
(
もくもく
)
は三点になった。二点の相違! このままで押し通すであろうか。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
かしこい彼女は、
黙々
(
もくもく
)
として聞えぬふりで歩いていたが、その
瞳
(
ひとみ
)
は、ときどき意外な表情をして民部にそそがれた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
にもかかわらず、いつも
黙々
(
もくもく
)
として式場にのぞみ、黙々として理事長と塾長とのあいさつをきき、そして黙々として帰って行く。次郎には、それが不思議でならないのだった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
黙々
(
もくもく
)
と
千鳥
(
ちどり
)
のように
川幅
(
かわはば
)
を
縫
(
ぬ
)
っていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
黙々
(
もくもく
)
先生がいもだわらを載せた豆腐をにない、そのそばに豆腐屋のチビ公がついてゆくのを見て町の人々はみんな笑いだした。ふたりは
黙々塾
(
もくもくじゅく
)
へ着いた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「ちょっと私から申上げますが」と
先刻
(
さっき
)
から
黙々
(
もくもく
)
として
卓子
(
テーブル
)
の上に表向きにした
牌
(
こま
)
を種類どおりに綺麗に並べあげて、その表をつくづくと眺めていた帆村探偵が言った。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その間、荒田老は、黒眼鏡をかけた顔を
奥
(
おく
)
のほうに向け、
黙々
(
もくもく
)
として突っ立っていた。事務室にいた塾生たちは、入り口の近くに重なりあうようにして、その光景に眼を見はっていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
超短波は電気天井を抜け、地球の
羈絆
(
きはん
)
を切って一直線に宇宙へ
黙々
(
もくもく
)
として前進しているのです。
科学が臍を曲げた話
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
最前
(
さいぜん
)
より
黙々
(
もくもく
)
として、話をきいていたゴルドンは、このときはじめて口を開いた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
岩は
黙々
(
もくもく
)
として室に入った。右手を深くポケットに入れたまま、大変疲れている様子だ。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
警官はサッと三つの隊にわかれ、
黙々
(
もくもく
)
として敏捷に、たちまち行動を起しました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
漆黒
(
しっこく
)
の夜空の下に、巨大な建物が、
黙々
(
もくもく
)
として、立ち並んでいた。
饐
(
す
)
えくさい
錆鉄
(
さびてつ
)
の匂いが、プーンと鼻を刺戟した。いつとはなしに、一行は、ぴったりと寄り添い、足音を忍ばせて歩いていた。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼女は
黙々
(
もくもく
)
として、ウイスキーを私達の前に並べたが
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
辻永は左右へ眼を配りながら、
黙々
(
もくもく
)
と歩いてゆく。
地獄街道
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
検事は
黙々
(
もくもく
)
として
肯
(
うなず
)
いた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
黙
常用漢字
中学
部首:⿊
15画
々
3画
“黙々”で始まる語句
黙々塾
黙々子
黙々生
黙々隊
黙々然々
黙々自若