驟雨しうう)” の例文
驟雨しうういて力車りきしやに乗り市内を見物して廻つたが、椰子やしは勿論、大きな榕樹ようじゆ、菩提樹、パパイヤじゆ爪哇竹ヂヤワちくなどの多いのが眼に附く。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
これをさまると、一時ひとしきりたゝきつけて、屋根やねかきみだすやうな風雨あめかぜつた。驟雨しううだから、東京中とうきやうぢうにはらぬところもあつたらしい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
驟雨しううあとからあとからとつてるのであかつきしらまぬうちからむぎいてにはぱいむしろほし百姓ひやくしやうをどうかすると五月蠅うるさいぢめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
乗合自動車を乗りてると、O先生と私とは駕籠かごに乗り、T君とM君とは徒歩でのぼつた。さうして、途中で驟雨しうう沛然はいぜんとして降つて来たとき駕籠夫かごかきは慌てて駕籠に合羽かつぱをかけたりした。
仏法僧鳥 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
屋外に出るとざつと大粒の驟雨しううに襲はれた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
驟雨しううが来れば涼しいが、大抵三四十分でれて仕舞しまふとくわつと真昼の日光が直射する。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
が、驟雨しううすさまじさはすこしもない。すぐ、まはゑん座敷ざしきに、畳屋たゝみやはいつてゐたのも、なんとなくこゝろゆくみやこ時雨しぐれて、をりからゑんはしにトントンとたゝいた茣蓙ござから、かすかつたほこりあをい。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろもとなげなくも簇々むら/\みなみからはしつて、そのたびごと驟雨しううをざあとなゝめそゝぐ。あめはたかわいたつちにまぶれて、やが飛沫しぶき作物さくもつ下葉したばつて、さら濁水だくすゐしろあわせつゝひくきをもとめてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
香港ホンコンを発して以来毎日一二回の驟雨しううがあるので想像して居たよりも涼しい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)