しげ)” の例文
らねえでどうするもんか。しげさん、おめえのあかしの仕事しごとは、ぜにのたまるかせぎじゃなくッて、色気いろけのたまるたのしみじゃねえか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ねえ、おじいさん、あんなくずが、くつなんかをかっぱらうのだろう。ひとていないとねえ。」と、しげちゃんがいいました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おしげさんでしょう、そんな悪口をいうのは。あの人の口にかかっちゃ、たいていのものはかなわないからね」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鈴木姓は多くしげの名乗りをつけるが、旗本の中にもある。「春は花咲く青山へんに、鈴木主水もんどという武士さむらいが……」などという有名なのがあり、紋所はみんな「稲の丸」である。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あの馬方三吉うまかたさんきちの芝居に出て来るおひとしげ、———立派な袿襠うちかけを着て、大名の姫君ひめぎみに仕えている花やかな貴婦人、———自分の夢に見る母はあの三吉の母のような人であり
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「それでもこの間歌舞伎座かぶきざの立見につれていってやったら、ちょうどしげの子別れのところだったが、眼を赤くして涙を流して黙って泣いていた。あれで人情を感じるには感じるんだろう」
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
しげの子別れをやっていた。女の子の子役がやった馬追いの三吉におすぎは感心した。その子は自分の役が済んでからは、お河童髪かっぱがみの姿になって、花道のわきに行儀よく坐って芝居を見ていた。
夕張の宿 (新字新仮名) / 小山清(著)
此地の鳶頭とびがしらしげさん來りて轉居の荷づくりをなす。
荷風戦後日歴 第一 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
だれからかねえでも、おいらの見透みとおしだて。——人間にんげんは、四百四びょううつわだというが、しげさん、おめえのやまいは、べつあつらえかもれねえの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しげちゃんのにいさんが、ぼうさきで、たきをつついていました。あおけむり自分じぶんほうながれるので、かおをしかめています。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
芳江よしえというのは兄夫婦の間にできた一人っ子であった。留守るすのうちはおしげが引受けて万事世話をしていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
熱海のとびしげ來話。熱海の梅花既に落しと云。
荷風戦後日歴 第一 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
しげちゃん、ここから、学校がっこうのかしのあたまえるよ。」と、ちょうどそとあそんでいたしげちゃんにらせました。
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「でも貞だけでもきまってくれるとお母さんは大変らくな心持がするよ。あとしげばかりだからね」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しげさん。もし、しげさんは留守るすかい。——おやッ、天道様てんとうさまへそしわまで御覧ごらんなさろうッて昼間ぴるま、あかりをつけッぱなしにしてるなんざ、ひどぎるぜ。——ているのかい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しげちゃん、はらっぱへいって、ボールをげてあそぼうよ。」と、しかたがないから、したいていったのです。
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、そのほうがおもしろいや。はやこうちゃん、いらっしゃいよ。」と、しげちゃんは、いいました。それから、二人ふたりは、はらっぱで、ボールをげてあそんだのでした。
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、おうちはいろう。」と、おじいさんが、まずたきのそばからはなれると、しげちゃんのにいさんが、つづいてり、みんながばらばらになって、おうちほうはししました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)