てい)” の例文
ていに賢人ありて鄭国滅びたるは賢人の言を聞きながら少しも用いなんだからと、室鳩巣むろきゅうそうが言ったも思い当る。それにサアどうだ。
おぬしが関西五路かんせいごろの顔役ていをなぐり殺したため、おれたちにまで、役人の手が伸びて、片っぱしから牢へぶちこみ始めやがった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いらっしゃい」とていは私を見るなりすぐに「いいもの上げようと思って待っていましたよ」と机の抽斗ひきだしから一通の手紙を出して私に渡した。
その後、ていに行き、ちんに行き、再び衞に戻って来たのであるが、彼はそうした遊歴の間に、いやというほど諸侯の心情の浅ましさを見せつけられた。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
(五) 諸国周遊の途中、孔子はていで弟子にはぐれ、独りくるわの東門に立っていた。鄭人が子貢しこうに告げて言った。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「今西君。てい君にそう云ってくれ給え。今夜はどうか私の代りに、東京へ御出おいでを願いますと。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
申不害しんふがい(三九)京人けいひとなりもとてい賤臣せんしんなり。(四〇)じゆつまなび、もつ(四一)かん昭矦せうこうもとむ。
ていの君がその臣蔡仲さいちゅうの専横を憎んで、蔡仲のむこに命じて彼を殺害させようとした時に、蔡仲の娘がそれと知って、もしこの事を父に告げると、夫が父のために殺されるし
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
何時いつころのことであったか朝鮮の王城おうじょうから南に当る村にていと云う老宰相が住んでいた。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
朝鮮人をすべて高麗人と呼ぶのは昔からのならわしである。今も半数は鮮姓を承ぎ、ちんさいていぼくきんりんべん等昔のままである。明治までは特殊な部落であって雑婚を堅く封じられた。
苗代川の黒物 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
これていの子産が音楽を聞いてその国の治乱を知ったゆえんである。
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
てい村の鉄李てつりという男は狐を捕るのを商売にしていた。
「南の村のてい公子の二度目の奥さまでございます。」
阿霞 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
リイさん、ていさん、支那服しなふくさん
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
その後ろにってある沢山な丸裸の豚だの、またそれとよく似ている主人のていが何か筆を持ってかがみこんでいた帳場の辺までを、ジロと大きな眼でめまわした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなは關其思くわんきしりくしていはく、「(一〇三)兄弟けいていくになりこれてとふはなんぞや」と。胡君こくんこれいて、ていもつおのれしたしむとして、ていそなへず。鄭人ていひとおそうてこれれり。
月令に毎夏兵を以て蛟を囲み伐つ由あるは周の頃土地開けず文武周公の御手もと近くがくが人畜を害う事しきりだったので、漢代すでにかかる定例の鱷狩りはなくなった故てい氏が注釈を加えたのだ。
「何をっ」と、ていのこめかみに、太い青筋がムラッと燃えあがった。「——おい、もう一ぺんいってみな。州の提轄だと思えばこそ、さっきから虫をこらえていたんだぞ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むかしてい武公ぶこうたんとほつし、すなは(一〇二)其子そのこもつこれめあはせたり。つて羣臣ぐんしんうていはく、「われへいもちひんとほつす、たれものぞ」と。關其思くわんきしいはく、「し」と。