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都會
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とくわい
しかし、
御安心下さい。——
雪の
中を
跣足で
歩行く
事は、
都會の
坊ちやんや
孃さんが
吃驚なさるやうな、
冷いものでないだけは
取柄です。
都會の土地は
殊更に
繁昌競ふ大江戸の中にも
目貫は本町通り土一升に金一升といふに
違はぬ商家の
櫛比土庫高く建連ね何れも
魯は
東京に
出てから、
自分は
畫を
思ひつゝも
畫を
自ら
書かなくなり、たゞ
都會の
大家の
名作を
見て、
僅に
自分の
畫心を
滿足さして
居たのである。
始終人間の
作つた
都會の
中ばかりを
駕籠で
往來してゐた
玄竹が、
神の
作つた
田舍の
氣を
心ゆくまで
吸つた
時は、ほんたうの
人間といふものがこれであるかと
考へた。
彼等は
複雜な
社會の
煩を
避け
得たと
共に、
其社會の
活動から
出る
樣々の
經驗に
直接觸れる
機會を、
自分と
塞いで
仕舞つて、
都會に
住みながら、
都會に
住む
文明人の
特權を
棄てた
樣な
結果に
到着した。
但馬守は
新任の
初めから、この
腐つた
大きな
都會に
大清潔法を
執行するつもりでゐた。
其の
辯ずるのが
都會に
於ける
私ども、なかま、なかまと
申して
私などは、ものの
數でもないのですが、
立派な、
畫の
畫伯方の
名を
呼んで、
片端から、
奴がと
苦り、
彼め、と
蔑み、
小僧
彼等は
山の
中にゐる
心を
抱いて、
都會に
住んでゐた。