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とくわい
東京に
出てから、
自分は
畫を
思ひつゝも
畫を
自ら
書かなくなり、たゞ
都會の
大家の
名作を
見て、
僅に
自分の
畫心を
滿足さして
居たのである。
始終人間の
作つた
都會の
中ばかりを
駕籠で
往來してゐた
玄竹が、
神の
作つた
田舍の
氣を
心ゆくまで
吸つた
時は、ほんたうの
人間といふものがこれであるかと
考へた。
流行の心理は
模倣憑依の
概念を以て
律すべからず夏の
都会に
疲れゆく赤き
都会のらうたげさ、太皷ぞ鳴れる。